【10/5追加重版決定!】いっそ、駄作ならよかったのに。【糸井重里秘本/追加分予約受付開始】
【通販〆切(10月29日12:00)&ご開帳について】
★最新情報:【10月29日(木)12:00】をもって、通販での受付を締め切りました。
なお、店頭受取りでの予約は、在庫がある限り受け付けております。
電話・メール・メッセージでお問い合わせください。大変ご好評いただいている「糸井重里秘本」ですが、ついにご開帳(作品タイトル公開)が迫って参りました。
ご開帳は11月4日(水)12:00に決定しました。
ご開帳は、天狼院のHP、および、天狼院公式Facebookページで発表いたします。それと同時に文化祭(3日目)の「糸井重里秘本ご開帳イベント」の登壇者の発表をしたいと思います。糸井重里さんと著者の方のご登壇が決定しております。
それにともない、ご開帳まで皆様のお手元に届くように、通販での販売の〆切を設けさせていただきます。
*10月2日(金)に重版分1,000冊分予約で完売致しました。
*10月5日(月)、追加重版決定、10月6日(火)追加分予約受け付け開始
天狼院書店店主の三浦でございます。
予約受付開始から思いがけないご好評をいただきまして、およそ30時間で1,000冊完売致しました「糸井重里秘本」ですが、この度、版元さんのご理解、ご協力により、追加重版が決まりました。
予約〆切から、大変多くのお問い合わせをいただき、本当にご迷惑をおかけしました。本日(10月6日)より、追加分の予約受付を開始します。
改めて、様々な方の想いと協力によって、本を売ることができるのだと、痛感しました。
本当に皆様、ありがとうございます。
どうぞよろしくお願いします。
天狼院書店店主の三浦でございます。
あれは、先日、糸井重里さんが天狼院に遊びに来たときのことだった。
こたつ(注:冷やしこたつ)を囲んで、かれこれ、二時間ほど話した最後に、糸井さんは思い出したようにこう言ったのだった。
「そういえばさ、いい本があるんですよ。小説なんだけど、とってもよくて」
糸井さんが紹介してくれた本は、とあるアーティストが書いた小説だった。
聞いたことがないタイトルで、著者の名前を言われても、ちょっとわからなかった。
糸井さんは、この本を、もっと世の中に広めたいと言う。
そして、そのために、僕と天狼院の力を借りたいと言う。
そもそも、糸井さんが僕のことを知るきっかけになったのは、長岡花火に本を売りにでかけて惨敗した、あの記事だった。
「ほぼ日刊イトイ新聞」で糸井さんが担当されている「今日のダーリン(2015年7月11日付)」でも、こう紹介されていた。
ここの代表の三浦さんに、ぜひ会いたいと思ったのは、
「長岡の花火大会」に、じぶんの認める花火の本を
300冊だか持っていって売ろうとして、
10人のお客さんに買ってもらったという話を
読んでしまったからです。
夜空を見上げる100万人だとか言われている善男善女に、
本を売ろうって、正気の沙汰とは思えません。
しかし、それをお調子者の新人がやっているのではなく、
社長が(たった一人で)実行しているんですからね。
バカはバカでも、ただじゃすまされないナニカですよ。
(ほぼ日刊イトイ新聞/「今日のダーリン」より)
「バカはバカでも、ただじゃすまされないナニカ」な僕は、これは引き受けなければ面白くない。
ノリと直感で「やります!」と言ってしまう僕だが、言ってしまってから、のちほどスタッフと頭を悩ませることになった。
天狼院には、「天狼院秘本」という大人気のシリーズがある。
それは、カバーをかけて、ビニールをかけて、タイトルも著者も秘密で、返品も不可能という、超ドSな売り方で、これが大ヒットしてた。今まで四代目まで発売しているのだが、一代目の『蔦屋』谷津矢車著は、通算で400冊ほど売れていて、二代目の『白菊』山崎まゆみ著も200冊、3代目の『GO GIVER あたえる人があたえられる』(海と月社)も180冊以上、初めてセットで売りだした現行の四代目も130セット(260冊)以上売れていた。
つまり、タイトルを隠して売る「天狼院秘本」は、秘本ならば面白いに違いないと、天狼院にとってのブランドとして定着していたのだ。
糸井さんが推す本を、天狼院秘本として売ってはどうかという案にスタッフは反対した。
天狼院秘本は、天狼院が築きあげてきたブランドであって、天狼院らしさが最も現れたものなので、ここは天狼院でやるべきだ、と。
たしかに、そう。
けれども、こんな売り方ではお客様に届かないというのも、わかりきっていた。
「あの糸井重里さんが推す本なので買ってください」
もちろん、糸井さんのネームバリューである程度売上は伸びるだろうと思った。
けれども、それは間接的であって、そこには本屋にとって最も必要な「当事者意識」が欠如しているので、売ることに対してある種の「狂(クレイジー)」を込めることが不可能だ。
本を売るには、やはり、直接的な熱狂が必要なのだ。
それほど言うなら、買ってみようか、騙されてみようと思わせるのは、それに込められた「狂」に買う側が反応するからだ。
僕らの結論は、天狼院の基準として、駄作ならば、断ってしまおうというものだった。
その本を取り寄せて、読んでみた。
短編小説で組み上がったその一冊の本の、最初の一編を読んでみた。
まずいことに、いいのだ。
困ったことに、うまいのだ。
僕はちょっと眉間にシワを寄せながら、二編目を読んだ。
実にまずいことに、とてもいいのだ。
これはすべての編に共通して言えることだが、最後の「抜け感」がとてもここちよくて、その話の中にもっと留まっていたいような、抜け切ってしまいたいような、絶妙な余韻をこちらに残してくれる。
読書体験として、じつに、ここちいい。
二編まで読んだ時に、その出版社にいる販売担当のS君に電話をかけた。
呼び出し音を聴きながら、僕はため息ながらにこう想っていた。
いっそ、駄作ならよかったのに。
駄作なら、断ってしまえばそれで終いの話だが、これが間違って傑作だった場合、なにか、めんどうなことになりそうな予感が働いたのだ。
S君は僕よりちょっとだけ年下で、次世代を担う出版社営業の麒麟児である。違う出版社にいたときに、僕と意気投合し、朝7:30に毎週六本木のスターバックスに繰り出して、どうやれば100万部を営業戦略で達成することができるかと、様々策を練って、戦った同志であり、戦友だった。
彼なら、全幅の信頼を置くことができた。
糸井重里さんが推している本があって、これを天狼院で仕掛けようと思う。
この本は、今、どういう状況か。
経緯を全部話した。そのうえで、S君の意見を聞いた。
三浦さん、とS君は実に言いづらそうに言った。めずらしいことだった。
「わるいことは言わないから、やめたほうがいい」
僕と同様に、攻めに攻めるS君がこう言うのである。
S君の目の前にあるパソコンのディスプレーに示された数値が、惨憺たるものだということがありありと想像ができた。
僕は、営業戦略のプロでもある。
おそらく、出版社の営業が指標とするいくつかの指標のすべてが、ありえない低空飛行を示しているのだろう。
最初から刷り部数が少ないので在庫はない。けれども、売れ行きが好ましくないので、重版はありえない。
僕が出版社にいて、S君の立場でも、同じ決断を下すだろう。
とりあえず、状況がわかりつつ、風前の灯になりつつある、その本の続きを読んだ。
読み進めるほどに、不思議に、止まらなくなった。
ほとんど知らない人間の、私小説のような作品だが、いつのまにか、自分の物語になっていた。
絶望的に忙しいさなかだというのに、一編読むと、また次の一編も読みたくなった。
僕は風呂に入るついでに、湯船の淵に、氷を入れたカルピスを用意しながら、この本を読んだ。
気づけば、汗だくになりながら、本を読んでいた。
カルピスの氷は、全部とけてなくなり、カルピスは飲めないくらいに薄くなっていた。
ちょっとのぼせながら、風呂からあがるときには、頭を抱えたい思いだった。
駄作ならよかったのに。
舌打ちしたい気持ちで、またそう思った。
ところが、この本は紛れもない傑作だった。
家族が苦手な著者が、おそらく永遠に憧れる家族について書いた、そして、自分と同じようにぎこちなく世の中を生きている人々を、精緻に描き切った傑作だった。
物書き志望だった僕が、逆立ちしても書くことができないくらいに、純度の高い、切れ味のいい作品だった。
あるいは、この小説が、本年度の芥川賞です、と言われて手渡されても、何の疑いもなく、
「今年の芥川賞は質がいい」
と、少なくとも納得してしまうほどの傑作であった。
つまり、本屋として、この本はどうしても売らなければならないということだった。
もし、天狼院が退けば、おそらく、この本は世の中で「品切れ重版未定」というステイタスになってしまう。
多くの場合、それは実質的な絶版という意味である。
しかし、営業戦略を知っている僕からしても、この本を重版することはほとんど不可能だということは間違いなかった。
ただ、今の天狼院には、秘策がひとつだけあった。
また、その出版社のS君に電話をかけた。
「この前の本だけど、もし、天狼院が1,000冊買い切ったとしたら、重版の可能性はあるだろうか」
それは、できれば使いたくない選択肢だった。
ハードカバーの本を1,000冊仕入れるということは、車一台分くらいの仕入れ代金が必要になるということだった。
今、大改装を含めて3店舗をオープンさせたばかりの天狼院には、そんな資金的な余裕はなかった。
「いや、もし1000冊買い切るとしたら、たしかに可能性がなくもないが」
と、S君は言いよどんだ。
知っていた。S君が言いたいことは痛いほどよくわかっていた。
市場でまるで動きのない商品を1000冊抱えることは、天狼院にとって、大きなリスクになると、S君は心配してくれているのだ。
しかし、ここで退いたら、僕が天狼院を創った意味がなくなってしまう。
僕が天狼院を創ったのは、お客様のためにより良い「READING LIFE」を提供するという方向性の他に、そのままでは世に埋もれてしまう才能や作品を、天狼院の力でひとりでも一作でも多く世の中に羽ばたかせようという、かねてよりの目標があったからだ。
それが、天狼院が世に生まれ出た理由のひとつだった。
もう、僕にとって、糸井さんどうのということは、問題ではなくなっていた。
僕と、その作品の間には、なにひとつ干渉するものがなくなっていた。
僕がどうしても、世の中に問いたい才能だった。作品だった。
「S君。天狼院で、1000冊買い切るよ。だいじょうぶ、僕らは全部売り切るよ。だから、重版を考えてくれないか」
S君は、僕の覚悟を汲みとってくれたらしい。
そうとなれば、S君は強い。
かならず、思ったことを実現してくれる。
おそらく、上司を説得するのに、相当苦労しただろうと思う。
重版とは、出版社にとって、大きな決断だ。
大きな費用がかかる話で、もし、返品が多くある場合、ロスに繋がる。マイナスにもなりかねない。
それも、単価を考えると、1,000冊では、割にあわない。おそらく、少なくとも2,000冊、ふつうに考えれば3,000冊くらいで重版しなければ出版社の利益は計算出来ない。
それだから、僕の方でも、出版社のほうに、利益になる条件を用意していた。
ちょうど、僕のFacebookの投稿をみて、一緒に売りたいと言ってくれる出版関係者の方が現れていたのだ。
多くの書店で展開されたほうが、売れる数が増えるので、出版社にとっていいだろうと考えた。
そう伝えると、S君はこう言った。
「いいですよ、1000冊だけ重版します」
「いや、だって・・・・・・」
それじゃあ、利益にならないだろう。
そう言おうとするのに、かぶせるようにS君は言った。
「僕らは三浦さんと糸井さんを信じて、今回は1000冊重版します」
しかも、その重版は、条件は言えないが、完全買い切りではなかった。
S君が僕らの「狂」をその熱量のままに、上司に伝えくれたのだろう。
そして、この1000冊の重版を決めてくれたのだろう。
その電話のやり取りをしながら、僕は胸が熱くなるのを感じていた。
「S君、あとは僕らに任せてくれ。必ず損はさせない。この1000冊がきっかけとなって、この本は全国の書店で売れるようになるよ」
それというのも、今回の天狼院秘本の特別版「糸井重里秘本」は、ある時期に「ご開帳」することが決まっていたからだ。
ご開帳後は、全国の書店で売ってもらいたいと僕は考えていた。
S君は、それを聞いて笑った。
「期待してますよ」
きっかけは、たしかに糸井重里さんの一言だった。
けれども、この本は、もうすでに、僕ら天狼院スタッフも、そしてS君をはじめとする出版社の販売部も売りたい作品になっていた。
1000冊の重版出来は、10月中旬。
皆様のお手元に、この本が届けられることを、本屋として、本当に嬉しく思っております。
糸井重里秘本も、天狼院秘本と同じルールで販売させて頂きます。
・タイトル秘密です。
・返品はできません。
・他の人には秘本のタイトルを教えないでください
どうぞよろしくお願いします。
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全国の天狼院書店各店、天狼院書店「東京天狼院」(池袋)、天狼院STYLE表参道(表参道)、天狼院書店「福岡天狼院」(福岡)でご予約を承ります。
また、通販での販売も承ります。通販でのご予約は、下のPayPalからお買い求めください。
通販の場合、入荷後の10月中旬後に順次発送します。
また、糸井重里さんとほぼ日さんのお計らいで、「糸井重里秘本」を予約された皆様には、ほぼ日さんからのプレゼントもお付けします。ほぼ日さんからのプレゼントは数に限りがございますので、お早めにご予約ください。
ご予約は、店頭、天狼院へのメール、お電話、Facebookページでのメッセージでも承っております。
通販のご希望の方だけは、事前にPayPalで決済してください。
どうぞよろしくお願いします。
【「糸井重里秘本」通販/PayPalでのご予約・お買い求め】
糸井重里秘本 ¥1,650+税+送料手数料¥500
*重版出来以降・10月中旬から順次発送いたします。
*送料をいただく代わりに、天狼院書店各店でご利用頂けるコーヒーチケット(360円相当)をお付けします。
*糸井重里さんとほぼ日さんからのプレゼントをおつけします。数に限りがございますので、お早めにお申し込みください。完売御礼(10月2日21:00)
本当にありがとうございます。
10月中旬以降に入荷予定の重版出来分から順次お送りします。
これ以降のご予約に関しましては、その次の重版があった場合、その入荷分からの対応になります。
どうぞよろしくお願いします。追加重版決定(10月5日)/追加分予約受付開始(10月6日)
*10月5日(月)、追加重版決定、10月6日(火)追加分予約受け付け開始
天狼院書店店主の三浦でございます。
予約受付開始から思いがけないご好評をいただきまして、およそ30時間で1,000冊完売致しました「糸井重里秘本」ですが、この度、版元さんのご理解、ご協力により、追加重版が決まりました。
予約〆切から、大変多くのお問い合わせをいただき、本当にご迷惑をおかけしました。本日(10月6日)より、追加分の予約受付を開始します。
どうぞよろしくお願いします。糸井重里秘本(追加入荷分) ¥1,650+税+送料手数料¥500
*重版出来以降・10月中旬から順次発送いたします。
*送料をいただく代わりに、天狼院書店各店でご利用頂けるコーヒーチケット(360円相当)をお付けします。★最新情報:【10月29日(木)12:00】をもって、通販での受付を締め切りました。
なお、店頭受取りでの予約は在庫がある限り受け付けますので、電話・メール・メッセージでお問い合わせください。
「四代目 天狼院秘本」も、ひきつづき店頭・または通販で受付しております。
【四代目天狼院秘本《特設ページ》】
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