大嫌いな食べ物がある人はラッキーかも?
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記事:Asski Miho(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
皆様は嫌いな食べ物、ありますか??
私は過去、それはそれは猛烈に嫌いな食べ物がありました。
過去形なので、今は好きになり、普通に食べることができますが……。
「え? 大人になったから、味覚が変わって自然と食べられるようになっただけでは……?」
そんな風に思われるかもしれません。
確かに、子供の頃嫌いだったけれど大人になって好きになった食べ物も多くあります。
(茄子、ピーマン、にんじん、コーヒー、などなど……)
でも、私にはひとつだけ、大人になっても食べられない、というか存在そのものが許せない食べ物がありました。
そんな親の仇か! というくらいに嫌いだった食べ物ですが、とある事をきっかけに突然食べることができるようになりました。
そして、今ではなんであんなに嫌いだったんだろう、そう不思議に思うくらいには美味しく食べることができています。
今回はなぜ、突然そんなことが起きたのか、書いてみたいと思います。
私が昔、猛烈に嫌いだったもの、それは
「あんこ」でした。
何が嫌いかと言われたら、茶色くでずんぐりした見た目、甘ったるい味、独特のつぶつぶ食感、なんか舌にいつまでもざらっとしたものが残る感じ、水を飲んでもなお口から消えていかない存在感の強さ、などなど悪口を言い出したらキリがないくらいにあらゆる点がダメでした。
嫌いすぎて、見るだけでイライラしたり、吐き気がしたり。
挙げ句の果てには、なぜ日本人はこんな食べ物を作ってしまったんだ! と、0.1mmも罪のない人々に怒り狂うという理不尽さを発揮してしまったり。
それくらいに嫌いでなるべく避けたいあんこでしたが、あんこって結構色々なシーンで出てくるんですよね……。
どこか親戚のおうちに行くと、おもてなしでぎっしりあんこのくっついたおはぎを頂いたり、母親がお土産で溢れんばかりのあんこが詰まったお饅頭を買ってきたり。
その度に、「あんこ食べれないんですよ」とお断りをしたり(ごめんなさい!)、お饅頭の皮だけ剥いであんこを残したりしていました。(お饅頭の皮は美味しい……)
と、避けても避けてもあんこは向こうからやってきました。
そして、理不尽にもどんどんとあんこへの憎しみを勝手に強めていき、大人になってもあんこだけは嫌いなままで食べようともしていませんでした。(あんこ好きの方、大変申し訳ありません……!)
そんな私にある転機が訪れます。
小さいけれど、街の人に支持されている美味しいパン屋さんで事は起きました。
たまたま、友人と入ったそのパン屋さんで、友人は突然叫びました。
「えっえっええええええ〜!? このっ休日のお昼を過ぎた時間にっ……、このパンがあるなんて……!?」
そんな友人の叫び声にびっくりして、どんなパンだろう? と目をキラキラさせながら視線を移すと、そこにあったのは……
あんパン
でした。(正確にはあんことさつまいものパンだったのですが、あんパンということにしておきます笑)
どんなパンなんだろう!!! とワクワクとキラキラで風船の如く大きく膨らみ、浮遊した心は一気に萎み、急降下しました。
「ちっ……、あんこのパンかよ……」
心の中で私は冷徹に悪態を付きます。
私がまさか、それ程までにあんこを目の敵にしているとは知らない友人は、私にこう言います。
「この時間にこのあんパンが残ってるなんてめちゃめちゃラッキーだよ!!!
このパン、大人気すぎていつも朝には売り切れちゃうんですよ!!!
このパン、絶対に買った方がいいですよ!!! めっちゃ美味しいから!!!」
と、すごい勢いで推してくる友人に若干押され(引き)つつも私は、
「い、いや、私あんこ嫌いだから……」
そう言って、断ろうとしました。
「それって、ただの思い込みかもしれないですよ」
「思い込み??」
友人曰く、過去強烈に美味しくなかった記憶が残っていて、その記憶があんこをまずいって思わせてるだけかもしれない、今思い込みを外して食べてみたら案外美味しいかもという事でした。
そして、他にも「ある食べ物を嫌いだ」と思い込んでいたけど、食べてみたら意外と食べれたといった人の話も教えてくれました。
「確かに言われてみると、昔の記憶が強烈すぎてあんこはまずいだろうとなっているだけかもしれない……、最近は食べてなかったし……」
そう思う私に友人は畳み掛けます。
「一回すごい美味しいやつ食べてみたら、あんこ嫌いは思い込みだったんだってなるかもですよ」
そんな感じで言われると、目の前に置かれているあんパンがなんだか美味しそうに見えてきました……。
なんか、今なら食べることができるかも……! そう思った私は、あんパンを買い、早速ガブっと食べてみたのでした。
「……うんまあああいっ!!!」
衝撃でした。
あんなにまずいと思っていたあんこが、こんなにも美味しい食べ物だったなんて!!
今まで嫌っていたのはなんだったんだーー! これが、思い込みだったのか!? そう思いながら、私はあっという間にそのあんパンを綺麗に平らげたのでした。
この衝撃の経験をしてから、あんこを普通に食べられるようになりました。
見るだけで苦痛だったあんこのたっぷりついたおはぎも、皮だけ剥いで食べていたお饅頭も、綺麗に食べられるようになりました。
また、あんこが食べられるようになったことで、出掛けた先やお土産であんこのお菓子が出てくるかもしれない……といった恐怖からも解放され、その分ほんのちょっぴりですが生きやすくなりました笑。
そして、あれだけ嫌いなあんこが食べられるようになったのだから、食べ物以外でも嫌いなモノやコトも意外とただの思い込みで、もしかしたら案外スルッと好きになれるかもしれないな、向き合ってみようかなと思えるようになりました。
……と、「大嫌いな食べ物が好きになる」たったこれだけの事でしたが、私の人生は大きく変わったように思います。
もし、嫌いな食べ物がある!!! という方は一度とびきり美味しいと評判のものを用意してみて、挑戦してみるのもアリかもしれません。
もしかしたら、その「嫌い」は思い込みだったのかもしれません。
そして、新たな世界への扉が開いちゃうかも……。
***
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