時間ってどうしていつもこうなんだろう。
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記事:ケンイチさま(ライティングゼミ)
確か10代の半ば頃だったような気がするが、今となっては記憶が怪しい。
でも、10代の半ばだとすると、もう35年も前になる。
その頃に、多分、今の私くらいのおじさんに、こう言われたのだ。
「いいかよく聞け」
「・・・・・・はい」
「これからお前が年をとるに従い、時は加速するんだ」
「・・・・・・?」
「今は、まあ、まだ分からないだろうが、10歳年をとるに従い、時はな、加速するんだよ」
「?」
「20代で感じる時間があるとするだろう。
30代はその1.3倍くらい早くなるし、40代はそれが更に加速する、50代も60代も同様に加速するんだ。
70代なんて、1年なんてあっという間だぞ、桜が咲いたと思って、ちょっと暑くなったと思って、ぼっとしていると、また桜が咲いているのに気がつくんだ。 どうだ怖いだろ」
「え?」
そんなことを言われても、10代の小僧だった私にそれが理解できるわけもない。
本当かどうか試しようがないし、どう考えてもそんなことはないだろうと思って、なんだか妙なことという、変なおっさんだなあと、思っていた。
でも、よくよく考えると、小学校の夏休みは本当に楽しくて長かった。
中学生の夏休みは楽しかったものの、そこまでは長く感じられていない。
それに、後で気がついた瞬間、ぎょっとした。
たしか親戚のおじさんだったけど、なんでその話になったか全く覚えていない。
何かの集まりで、親戚一同が会していたのに、なぜか私だけにその説明をしてきた。
どんな意識がそこにあったのか。今となっては知る由もないが、今でもこうして覚えているんだから、よほど真剣に語ってくれたのだろう。
あれから、35年ほど経って、確かに、と共感することもあれば、そうでもないなと思う部分もある。
全体的には言う通りだった。
でもそれよりも気になったのは、日々の時間の方だ。
おじさんが言うから、普通の人よりも時間について観察していたのかもしれないが、日々の時間の進み方が違うんだ。
仕事に熱中している時、自分から集中している時は、寝食を忘れてという言葉があるように、その日のうちでは時間は飛ぶようにあっという間に進んで行く。
辛くて嫌だなと、心の底で思っている時は、もっと、サクサクと、さっさと進めばいいのになと思うくらい、時は長くなる。
そろそろ10分は経ったかと時計を見ても、まだ5分も進んでいない。
ひどい時は数分だ。
SFなのか知らないが、時間銀行という言葉をどこかで聞いたことがある。
どこで聞いたものか、また、そのものの意味はよく知らないが、もし余っている時を預けておいて、後で使いたい時に使えたらいいのになと真剣に思うくらい、進まない時や、足りない時がある。
なんでこんなに強く思ったかというと、時計の秒針を見て、この間ぎょっとしたのだ。
仕事で、あれもこれも、同時に進行させて、失敗なんかする暇がないという、ものすごいストレスがかかっている時は、秒針が一つ進む間に、ものすごい勢いで頭が働いていた。
私は、脳内マルチタスクが苦手なほうなので、というか上手くできないので、シングルタスクで対応している。
そうなると、どんどんスピードを上げていかないとダメなので、どうやらそれが無意識にできていたようだった。
といっても、それは、6−7年前のこと。
なんで、それを連鎖的に思い出したかというと、ここ最近秒針のスピードが異常に早いから。
以前1秒でパパパパパっと考えられていたことが、今はパーーーーーって感じでとろい。
ゆったりと考えているというよりも、人間も持っている本来のリズムだと、自分では思うのだが、秒針がトントントンと いや カカカカカカっと進むのを目にしてびっくりしたからだ。
昔取った杵柄ではないが、パーっとできているのは思考だと思っていた。
でも、今は逆で、秒針がパーっと進む。
親戚のおじさんが言っていたのとは、また違うけれど、時はたったの1秒からでも伸び縮みする。
時間泥棒にあったわけでもないのに、時間銀行に預けたわけでもないのに、利息や利子のやりとりがあったわけでもないのに、時って簡単に伸び縮みする。
どこかに関連性はないかと探ってみたら、どうやら呼吸の仕方が関係しているような気がしている。
息を詰めて、根を詰めて何かを行うようなときは、あっと今に時が過ぎる。
その瞬間は気がつかないが、あっという間に日が暮れるパターンだ。
息をゆるーく吸ったり吐いたりが無意識にできるようになると、脳内労働の進行はゆったりとしてきて、秒針がカカカカカカっと進む。
でも、あっという間に日が暮れるほどの長持ちはしない。
途中で伸縮を繰り返し、やや早いかなくらいで進む。
持って生まれた時間に誰でも限度はあるものの、どうも私はゆったりしたリズムでいるととても幸せな感じがするようだ。
熱意のあるものを、自分の気持ちから進めて、寝食を忘れるという体験も嫌いではないけれど、ただ日常がゆるーく進むのがとても心地良い。
人間らしいこの感覚。
もしも可能ならばこれを、多くの方とシェアしてみたいくらいに悪くない。
最近は人生の長さの折り返し地点を過ぎたことによって、あと何回桜が楽しめるのかなという方に、感じ方がシフトしているが、親戚のおじさんに、どうだ怖いだろと脅かされて、恐怖で忘れられなくなったこのことも、時を考えるのにとても役にたった。
実際に体験しないとわからないことばかりだったけれど、私はおじさんとは別の方法で、時が一定だと思い込んでいる、昔の自分と同じような人に、時は結構伸縮するので、思ったよりも面白いよって伝えていけたらいいなと思っている。
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