身から出た錆だけど・・・・・・《リーディング・ハイ》
記事:Shoji THX Yamada(R&W講座)
「こりゃ、えらいことになっちまたなぁ」
心地良い感動の中、小生は映画館のシートで呟いていたらしい。
小生は、意志は薄弱であるが、負けん気が強く意地っ張りだ。しかも、頑固で短気だ。要するに、極めて扱いにくい輩(やから)である。自分で言うのは、おかしいが・・・・・・
いい歳した大人なので、性格は変え様がないことは、十分承知している。
せめてもの償い(世の中に対し)として、自身がややこしい人間であることを、最近になって自覚することにした。
一応、先に述べておくが、小生は、かなりの映画マニアである。映画を観ることに、何らの苦痛は伴わない。ただし、小生が“好きそうな”映画とのコーションは付いてしまうが。
そんな小生が、今年の年初から映画に関し言い続けてきたことが有る。
「今年のベスト1映画は『ブリッジ・オブ・スパイ』で決まり!」
映画好きの小生は、取りまとめ役をしている映画サークルで、毎年、会員たちが投票するベストテンを集計している。
勿論、小生も投票する。もう、40年以上続けて。
この作品は、巨匠スティーブン・スピルバーグが監督した、実話を基にした、サスペンスドラマだ。
ラストで、二重に成った‘ポジ抜け’に感動した。
小生が、観たのは1月9日だから、かなり気の早い話ではある。周りの友人達は、
「もう決めていいの?」
とか
「後になって、また変えるんじゃないの?」
なんて、言ってきた。
中には、
「男が一旦言ったことを、変えるのって格好悪いよ」
なんて、嫌味な忠告をする者まで出てきた。
意地っ張りな小生は、当然
「俺は、一度言い出したことを変えたためしがない」
と言い返し、今でも言い続けてきた。
9月18日に開催された‘天狼院映画ラボ’でも、今年のベストワン映画はこれと、同じ映画を自信たっぷりに発表した。
‘二重ポジ抜け’についても、ネタバラシの様な無礼をせぬよう注意して話した。
ところが、映画ラボから一週間も経たない9月24日、TOHOシネマズ六本木2番スクリーンL列22番シートで、終映間もない13時半過ぎに、冒頭の言葉を呟いた。
正確に書くと、呟いたらしい。当人に自覚がないので、伝聞なのだ。
観た作品は『ハドソン川の奇跡』
今や、巨匠の一人に数えられる、クリント・イーストウッドの作品だ。
2009年に起こった、航空機事故を主軸に、事故に至るドキュメント・タッチと、その後に起こるドラマを、ヒューマンタッチに描いた映画だった。
作品の出来の良し悪しは問うことは好かないが、小生にとって‘ド’ストライクな感動作に仕上がっていた。
特に、ちゃんとポジティヴに抜けるあたり、流石にアメリカ映画の真骨頂といったところだ。
その上、ラストのセリフが、最高の余韻を残し、かつ、エンドタイトルで流れる実写(当時の)が、素晴らしいクライマックスになっている。
改めて、「ABCユニット」や「ポジ抜け」といった技法を、天狼院のライティングで学んでいて良かったと思った。
この齢になっても、学ぶ事は沢山あるのだ。
ところで、何がえらいことになったかというと、未だ映画館のシートから立てない(感動で)小生の脳裏に、今年の年初に友人たちから言われた言葉が、いくつもリフレインしたからだ。
本当は、今年のベストワンを入れ替えたい気分になってしまった。
意地っ張りな小生は、素直に今の感動を伝えられるだろうか。
意地っ張りな小生は、素直にどちらがベストな映画か検討出来るだろうか。
意地っ張りな小生は、大見得を切ってしまった天狼院映画ラボの仲間に、素直に「ごめんなさい」が言えるだろうか。
どれも、小生にとっては‘えらいこと’である。
全て、身から出た錆であることは自覚出来ていてもである。
一つ、妙案が浮かんだ。
9月の天狼院映画ラボのテーマが、「上半期のベスト映画」というものだった。
ここは、石坂マネージャーの案をお借りして、小生も自分の2016年映画ベスト10は、前後半に分け合計20本上げれば良いのだと気が付いたのだ。
勿論、反則ではあるが。
ここに改めて、自信をもって宣言します。
今年の上半期ベストワン映画は『ブリッジ・オブ・スパイ』
今年の下半期ベストワン映画は『ハドソン川の奇跡』
如何でしょうか。
ロードショー中の『ハドソン川の奇跡』
大好きな、大好きな映画です。
映画館を出る時、必ず笑顔になること請け合いです。
映画館が明るくなる前、きっと、拳を引き付けてガッツポーズしたくなります。
映画館から外に出ると、少しだけ優しくなった気がします。
そして、この映画の印象だけで、今年中は心のエネルギーが保つはずです。
必ず、映画館で御覧下さい。
出来れば、映画館へ急いで下さい。
小生は、こんな映画が好きな男なのです。
………
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