「記録」より「記憶」《リーディング・ハイ》
記事:山田THX将治(R&W講座)
元々無神経で図太い方だと思っていたが、このところ少々凹んでいる。
毎週の様に、天狼院のゼミで記事を3本書いているが、なかなか関所を突破出来ないでいるからだ。小生の実力不足である。これは間違いない。
手をこまねいていては進歩が無いので、一先ず遮二無二それでも書くことにした。
これは本心だが小生は、褒められようとか、バズを起こそうとして記事を上げている訳ではない。自分が納得出来る文章を、何かの形で残そうと考えているだけだ。ただ、生身の人間なので多少の認めをもらえないと、気分が落ち込むことがある。
そこで考えた。
誰からも褒めてもらえる記事を書こうとするから、無理が生じるし、小生向きの物が書けないのかもしれないと。
今後は、記録に残る記事よりも、唯一文でもいいから小生らしいキャラの立った記事を仕上げようと思ったのだ。
世の中には、その記録よりも存在感というか個性が際立っている人がいる。野球の世界で言えば、長嶋茂雄さんがその代表だ。記録では、王貞治さんに遠く及ばないが、人気と存在感は決して引けを取らない。
そして忘れてならないのが、キーポイントやチャンスの時に期待を裏切らないことだ。
ハードルを下げようとしたのに、どんどん高めてしまったが、要は何が有ってもやり続ければ、何かの痕跡が残せるのではと、このところ考えている。
書き続けることは止めない。これだけは、自分を裏切らない様にしよう。
そんなことを考えつつ、いかにも今の小生向きな映画に出会った。
『マダム・フローレンス ! 夢見るふたり』が、その映画だ。
この作品を要約すると、1940年代、ニューヨークに住む大金持ちの夫人が居た。社交界のトップでもあった。趣味は音楽で、金の力に物を言わせ、何とカーネギー・ホールで唄うことになった。ただ、問題が一つ。彼女の歌唱力は、問題が山積していた。
これは実話で、カーネギー・ホール後の顛末が、今の小生の背中を押す結果となった。これだけで、良しとしたい。
何事も、続けていくことが何より肝心と教えられた。例え、その実力が有ろうと無かろうと。
事実、歴代のカーネギー・ホール出演者の中で、マダム・フローレスは今でもダントツの人気者だそうだ。その理由が、映画では短くしかし的確に表現されている。
そこで、小生も記事の出来の良し悪しよりも、書き続けようと誓ったのだ。
いつかは、誰かが思い出してくれるかもしれない。ゼミ仲間では、評価して下さる方もいるかもしれない。もしかしたら、意外な人の目に留まるかもしれない。
そうだ、誰に頼まれた訳でなく、自分から選んだことなのだ。
他人(ひと)から評価されることより、自分をを納得させられるし、自分だけは憶えていられる。
『マダム・フローレス ! 夢見るふたり』
これからも毎週、映画について書き続けるぞと、改めて決心させてくれた、“記憶”に残る作品です。
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