傷つきやすい心を持った私が見つけた「敏感さ」という武器《リーディング・ハイ》
記事:kiku(リーディング&ライティング講座)
「お前なんでいつも暗そうにしているんだ」
私が大学生の頃、飲み会のたびに周囲からこう非難されることが度々あった。
特に目立つわけではないが、飲み会の席で、いつも隅っこで暗そうにしている私は、周囲の人からは煙たがれる存在であったのだと思う。
私はとにかく飲み会というものが苦手だった。
人と同じ空間で、同じトーンで話をしようと思うと、会話のテンポについていけなくなり、空回りしてしまうのだ。
今何の話で盛り上げているのか理解できなくなることがしばしばあった。
そのたびに私は、もっと話題を盛り上げなきゃいけないと強気になって、無駄な神経を使ってしまい、楽しいはずの飲み会でもグッタリと疲れた気分になってしまうのだ。
私はいつも飲み会が終わるたびに、精神的に疲れてしまっていた。
何であの時、こう話題を切り返せなかったのだろう……
そんな自己嫌悪に陥ってしまうのだ。
周囲に無駄な気を使いすぎて、グッタリと疲れてしまうため、どうしても飲み会というものを楽しめなかった。
私が飲み会の席で辛そうにしているのは、どうやら周囲にも伝染しているようで、日に日に飲み会にも誘われなくなっていった。
どうせ飲み会に行っても辛いだけだし、別にいいや……
そう投げやりになっていたが、心の底では自分だけが仲間はずれにされていることに気がつき、私は相当ショックを感じていた。
私は子供の頃から人とコミュニケーションを取ることが苦手だった。
クラスの雰囲気に馴染もうと努力はするものの、相手のペースに合わせて会話をすることができず、いつも無駄な神経を使ってしまい、疲れてしまうのだ。
あいつなんか絡みづらくない?
何でいつも暗いの?
そんな声がよく私の耳に届いてきていた。
私は小学生の頃からマイナス思考の塊だったと思う。
人と喋っていても何をしてもいつも自己嫌悪に陥ってしまうのだ。
クラスメイトのささいな目線などを気にしてしまい、私はどんどん対人恐怖症に陥ってしまった。
こんなことならいっそのこと自分の殻に閉じこもった方がいい。
そう思って、数週間学校に行かず、家にこもったこともあった。
大人になってからも私の自己嫌悪の癖は続いていた。
なぜ、世の中はこうも生きづらいのだろうか……
ずっとそんな生きづらさを心の中に抱え込んでいた。
他者とのコミュニケーションにどうしても苦手意識を持っていたのだ。
天狼院と出会い、こうしてライティングの魅力に気づいて記事を書くようになっても心の底で、自分が書いた記事なんて誰も読まない……
面白いと思っていないのではないか? という自己嫌悪を抱えていた。
そんな時、私の記事を読んでくれたとある方からこんなメッセージが届いた。
「人一倍敏感な人っていうのはご存知ですか?」
どうやら「生きづらさ」をキーワードにした私の記事を読み、もしかしたらこの症状かもと思ってわざわざメッセージを飛ばしてくれたのだ。
「ぜひ、この本を一度読んでみてください。少しでもあなたの生きづらさが緩和できたらいいなと思います」
その方がお勧めしてくれた本は「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」という
タイトルの本だった。
人間の5人に1人が繊細すぎる感性を持った(HSP)というものを抱えて生きているという。
繊細すぎるために対人関係で悩んだり、うつ病の原因になったりするらしいのだ。
一般的に見ると繊細すぎる人たちは「ただの神経質……」
「忍耐力が足りない」などと非難され、社会にうまく溶け込むことができないという。
そんな繊細すぎる人たちのために書かれたのがこの本だったのだ。
私は早速、この本を購入し読み始めてみることにした。
この本だけはすぐに読まなきゃいけない……直感的にそう思った。
自分がずっと抱え込んでいた「生きづらさ」の正体がここにあるのかもしれない……
最初のページにあるHSPチェックリストを解いてみると驚いた。
感受性のテストなのだが、平均をはるかに超える数値だったのだ。
人一倍敏感すぎるという判定だった。
本の中身を読んでも、なおさら驚いた。
中に書かれてある内容が完全に私に当てはまるのだ。
ささいな物音が気になって寝付けなくなるのも私だった。
人のささいな変化に気が付いてしまい、コミュニケーションで悩んでいたのも私だったのだ。
そうか……
自分がずっと生きづらさを抱えて悩んでいた原因は感受性にあったのか。
私は24歳にしてようやくそのことに気がつき、なんだか救われたような気がした。
この本の中には、敏感すぎる感性を持つがゆえに、周囲の理解を得られず鬱状態になってしまった人たちの例が数多く紹介されていた。
そして、そんな敏感すぎる感性を持った人たちがどう自分の感性と向き合っていくかが書かれてあるのだ。
「あなたは神経質でも忍耐力がないわけでもありません。敏感さは愛すべき能力です」
私は飲み会の席でも、いつもグッタリとしてしまい、無駄に神経を使っていた。
数分間は休まないと心が平常に保てなかった。
他人の声が気になってしまい、自分の傷つきやすい感性を呪ってしまうこともあった。
しかし、自分の敏感すぎる感性は自分だけが持つ個性でもあるのかもしれない。
私はこの本を読んでいてなんだか心が穏やかになった気がした。
弱い心に悩んでいたのは自分だけではなかったのだ。
敏感すぎる感性に私は振り回され、これまでずっと生きづらさを抱えて過ごしていた。
しかし、ライティングなどを始めて気がついたのだが、敏感すぎる感性が私の中の世界を色鮮やかにしていたのかもしれないのだ。
人一倍、細かい部分まで気にしてしまう感性が、驚くほどライティングをする際に役に立つのだ。
記事のネタを得るために、常に世の中に対してアンテナを張った状態になっている時、敏感すぎるがゆえに人一倍アンテナに情報が入ってくるのかもしれない。
敏感すぎるということは生きづらさを伴うことだと思う。
周囲の理解も得られず、私は子供の頃から苦しんできた。
両親にクラスメイトのささいな目線が気になって学校が辛いと打ち明けても理解をしてくれなかった。
ずっと、自分の弱い心に傷つきながら生きていた。
しかし、そんな敏感すぎる感性も自分の個性であるのだ。
人一倍敏感すぎる感性というものと、どう向き合っていくかが大切なことなのだと思う。
私はこの本を読んでから会社の中でも適度に休憩を挟んで、ゆっくり自分の時間を作って心を落ち着かせる時間を設けるようにしていった。
そうすれば自分のペースでしっかりと仕事に集中できるようになるのだ。
敏感すぎる感性と向き合いながら、社会の中でうまく関わっていこう。
敏感さを言い訳にして逃げてはいけない。
そんなことを思った。
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