57歳の僕は、この本を独身の後輩や友人には決してすすめない、と思った《リーディング・ハイ》
記事:西部直樹(リーディング・ライティング講座)
え、この本を読みたいの?
う~ん、どうかな。
……
だから、この本は、ちょっと薦めるのは躊躇うなあ。
いや、読んでもいいけど、これは物語だからね。
この本を読んで、
この本のようになるかな、と
夢を見てはいけない。
まさに、夢のようなお話なんだから。
本当には、
現実には、
こんなことはないよ。
たぶん、おそらく、きっと、
だいたいにおいては
主人公たちと違うんだから。
状況も、姿形も、何もかも。
30も半ばを過ぎた女性が
亡くなった祖母の家に住むことになる。
その家の離れには、その昔、祖母に憧れていたという独り身の大学教授が居座っている。
二人の奇妙な同居生活がはじまる。
主人公のつぐみは、大手電機会社の管理職になるほどのやり手、全てをそつなくこなす美しい女性だ。しかし、恋愛はそつなくこなすには至らない。
勝手に同居する大学教授海江田は、50代の独り身だ。
この本を紹介してくれた友人は、
だって、海江田は51歳で お腹は出ていないし、髪の毛も豊かなんだよ。
格好良すぎるでしょう。
といって、
わたしの少し自己主張をしている腹部にちらりと視線を投げかけ
寂しくなりはじめた頭頂部から目を逸らした。
いや、わたしは57歳だし
結婚しているし、
お腹が出ていても
髪の毛が寂しくても
いいのですよ。ええ、いいんです。
30代半ば、バリバリ仕事ができて、でも、少し鬱屈していて
人生に諦観しているような美女と知り合っても、
どうしようもないじゃないか。
そもそも知り合わないし……
でも、でも、あのあれは、参考にしよう。
いや、そのあれだからね。
だから、この本のようなことを期待してはいけない。
こんなことはないのだから。
仕事ができて、独り身で、美人で、恋愛に不器用な女性と
大学で教えるほどの知性と教養を持った、独り身で、腹の出ていない50男が
一つの家で同居をはじめるなんてことは、
現実にはあり得ない。
でも、
少し、不器用でも
真っ直ぐに相手を想う、そのことが
愛の結実に至る道なのだ、なと思えるのだ。
その道程は、曲がりくねっているけど。
まあ、愛の結実を手にする一つの方法を知りたいなら、
まあ、いいかな。
ほんとうに、
これは夢のように、素敵な物語なのだから。
「娚の一生」 1~4巻 西炯子 小学館フラワーコミックスα
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