リーディング・ハイ

【口下手DJが眠れないあなたに贈る読むラジオ】最強モテ女に聞く、愛されのひみつ〈星降る夜に一冊の本を〉《リーディング・ハイ》


おはなさん

 

記事:おはな(リーディング&ライティング講座)

 

ふー。

 

呼吸を整えて、防音室の扉を開けると、ギーッと重たい音が鳴る。

目の前に広がる音響機器が緊張感を煽ってくる。

椅子の高さを調整し、座り心地の良い位置を探る。

ヘッドホンとマイクが一体になったヘッドセットを装着。

この微妙な位置の調整が、その日一日の出来に関わってくる。

「ふ」の音が当たらないように。死んでも鼻息がかからないように。

 

よし。

 

時計の針が、頂上を目掛け、駆け上ってくる。

 

ピッピッピ、ピーン

 

心地良い間と共にオープニングテーマをスタート。

聞こえてくるのは、小気味良いジャズピアノ。

ポップスのジャズアレンジを得意とする彼女の演奏が聞こえてくる。

メロディに鼓動を乗せ、絶妙なタイミングを計る。

 

自然なスピードでフェーダーを下げBGMレベルまでボリュームを落とすと同時にカフを上げる。

 

——時刻は午前0時を回りました。

口下手DJが眠れないあなたに贈る読むラジオ。

星降る静かな夜、あなたの願いを叶えてくれる一冊の本を今夜もお届けします。

 

さて、今日はどんな願い事が届いてるでしょうか。

今日はこちら、文字ラジオネームまるこちゃんの願い事です。

なるほど。これはもう、老若男女問わずというか、命あるものみんなの願い事じゃないでしょうかね。ふふふ。

せっかくなので、BGMを落として、エコーをたっぷりかけてみんなで叫びましょうか。

いきますよー?

せーのっ!

 

 

「モテたーーーーーーーーーーーーーーーーーいっっ!!!!」

 

 

あはは。いいですね。響きましたねー。

あ、音読してる人、突然叫びますからね、気をつけてくださいね。

 

さて、BGMを心地良いレベルに戻して。

 

うん、これはもう魂の叫びですよね。いいですねー。

願い事はシンプルであればあるほど、叶いそうな気がします。

 

ではでは、このまるこちゃんの願い事を叶えてくれる一冊は、こちらの本です。

 

『まあいいか』大竹しのぶ 2015年 朝日新聞出版

 

はい。大竹しのぶ大先生でございます。

 

完全にわたしの個人的な主観なんですが、日本で最強のモテ女(じょ)は、大竹しのぶさんなんじゃないかなと思っていまして。

だって、あの明石家さんまさんに結婚を決意させたんですよ?

「彼に結婚を決意させるにはどうしたらいいか」と世間の女性は悩んでいるわけですけど、その頂点を極めたようなものじゃないかと。

だったら、そのモテの秘訣、愛される秘密をしのぶ先生から学ぼうじゃないかということで、この本をぜひご紹介したいと思います。

 

やー、でもねー、正直なところ、すごいところに手を出してしまったなとビビっております。

うん。もうね、この本を読んでしまったら、小手先だけのモテテクみたいのは、完全に使えなくなりますね。そんなことを考えてる暇がなくなる。

 

というのも、なぜ大竹先生がこんなにも愛されるのかというと、他の女の「80倍」生きているから、なんですね。80年分じゃないですよ? 80倍! あはは。妖怪。

これは、巻末のリリーフランキーさんとの対談の中に出てくる内容なんですけど、「しのぶさんは、一般的な女性の人生の80倍ぐらい生きているような、いろんな体験をしてるじゃないですか」って言われるんですね。ご本人はそんなには生きていないって否定されるんですけど、これがねー、さすがリリーさん! ですよね。本当に納得します。おっしゃる通り! と。

 

確かに、一冊読んでみると、もう色んな経験をして、何度も舞台の上で生き死にを繰り返して、喜怒哀楽の感情もあちこちに振り切っていて、もう存在自体が、発することばのひとつひとつが、濃縮還元ジュースみたいに濃いんですよね。これはねー、一度味わってしまったら忘れられないと思います。そりゃ、明石家さんまさんも、勘三郎さん(18代目)も、野田秀樹さんも、みんなみんな惚れてしまうだろうなー、と。あ、惚れてまうやろー! ってなると思いますねー。

 

で、この本の中で、大竹先生のモテの極意をまさに表している一文があるんですが、

それが、「愛は重い。軽くてたまるか」という、コラムのタイトルにもなっている言葉です。

いやいやいや。

重いとだめだよ。重い女はウザがられるからだめだよ! ってわたしなんかは思っちゃうんですけど、もうそこが真のモテ女と、非モテ女の違いだったんですね。イタイねー。

 

これは2012年に亡くなってしまいましたが、日本で最高齢の現役映画監督だった新藤兼人さんとのエピソードで。新藤監督が、当時95歳で映画の撮影に挑まれていた時に、大竹先生は、絶対元気になるから! って言って、お酢をプレゼントするんですよ。で、実は新藤監督は酸っぱいものが苦手なので、「フー、愛は重いねー」と言いながら笑って飲んでいたと。

そのおかげもあってか、撮影は無事終わった、という話。なんです、が!

そう、愛は重いんですよ。ズッシリと。

え、じゃあ、なんで重たい女が嫌われるか、というと、それは恐らく「愛されたーい!」「わたしを見てーー!」が、気持ちの中にぎっしり詰まっちゃってるから、重苦しくなっちゃうのかなー、と。この本を読んでいるとそんな風に感じます。

そうじゃなくて、純粋に相手を思う気持ち、まっすぐに向ける愛っていうのは、それ自体が重くて、受け取るほうは最初びっくりするんだけど、でも持ってみたくなってしまう。

わー、何これ、何が入ってるんだろう。置いちゃいたいけど、でも誰かに持って行かれたら嫌だし、とか思ってるうちに段々その重みに慣れてきて。で、ふと他の軽いものを持ってみると、あれ、全然違う。こんなの持っても面白くないから、やっぱあのズッシリした本物がいいなってなって。でも、本人は別に、「わたしを見てー!」「愛してー!」ってそこに立ち止まって待っていたりしないので、どんどんあちこちに飛んで、全力投球の愛を届けて歩いてるんですよ。で、気付くといないんですよね。だから、自然と追いかけられる。

これはもう、驚きでしたねー、わたしにとっては。

重くなりたくないから、できるだけ軽く軽く、ワガママも言わず、気分も害さず、なんて、結局都合がいいだけなんですよね。

いつでも真剣に、全力投球で。魂を込めて。

これはやっぱり、80倍生きている人だからこそ、成し得る技かなとも思いますが、ぜひ日々修行を積んで、いつかそこにたどり着いてみたい、ですね。

 

特に、「怒りスイッチ、久々に」というコラムは、もう、この重たい愛を剥き出しの状態で突き刺していくような、そんなエピソードで。これは息子さんとの話なんですけど、なんだかわたしにまで、その愛の矛先が刺さってくるような、それぐらい勢いと重みを感じました。

 

ほんとにねー、15分の優しさとか、美しい汗のにおいのする鈴木さんとか、いまるちゃんのガムとか、ご紹介したいエピソードはありすぎるんですが、そんな日常の何気ない出来事や出会いのひとつひとつを真剣に受け止めて、消化して、そうやって生きているからこそ、他人が見た時に、愛さずにはいられない。そんな存在になっているのかな、と思います。

 

文字ラジオネームまるこちゃん。ぜひ、重い愛を、身近な大切な人に届けて、そして、ブッダに恋をしてしまうような、そんな女性を目指していきましょう。きっとそうするとふと気づいたときには、みんなから愛されるモテ女になっていると、信じています。

 

今日も流れ星のように、1冊の本があなたの願いをを叶えてくれますように。

 

ここまでのお相手は、DJおはなでした。

 

 

フェーダーを上げ、再び心地良いBGMが鳴り響く。

 

ふー。

ヘッドセットを外し、一息つく。

 

明日も、あ、もう今日か。良い一日になりますように。

 

 ***
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2016-06-19 | Posted in リーディング・ハイ, 記事

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