リーディング・ハイ

日本の文化を徹底的に使い倒して学ぶライティング技術《リーディング・ハイ》


湾岸

記事:住所不定☆ジョブズ(リーディング・ライティング講座)

 

日本はマンガ大国と言われています。恐らく日本人で、マンガを全く読んだ事がない人は、いないのではないかと思えるほどです。夢中になって読んだ時代こそ違うかもしれませんが、老若男女問わず、多くの人が手にした事があると思います。それほどまでに、私たち日本人の生活に、深く浸透しているのではないでしょうか。しかし一方で、マンガをバカにしている、もしくは下に見る風潮もあるのではないかと感じます。同じ内容を扱ったものでも、書き物ならば信憑性があるけれど、マンガだとフィクションと感じる人が多いように感じます。しかし、画で読者に訴えかけるマンガは、書き物と違って圧倒的にわかりやすい特徴を持っています。しかも、先に述べたように日本にはマンガが溢れている事から、読者も目が肥えており、マンガ家も面白くしようと切磋琢磨しています。これで面白くないわけがありません。日本に住んでいるのですから、これを最大限に利用したいと思います。

 

今回は、僕が人生の経書の一つとしているマンガ「湾岸ミッドナイトC1ランナー」を挙げたいと思います。この作品の中で、ライターを目指す僕にとって、とても印象に残ったセリフがあります。要約するとこんな感じです。

 

「(記事を)読んでいる時は面白いと思ったのに、書き写してみるとそうでもなかった。逆に、読んだ時にはつまらないと思ったのに、書き写してみたら面白かった。文章って奥が深いね」

 

天狼院のイベントの中に、「文ラボ」というものがあると思います。「大人のための国語教室」と銘打って、教科書にも載るような名作を音読して書き写すイベントです。書き写す時にはもちろん手書きで行い、さらに原稿用紙を使用するなど、書き上がったものを見たら本当に自分の原稿だと思ってしまうのではないでしょうか。実はお恥ずかしいはなし、僕はまだ文ラボに参加をした事がないのですが、その効用を考えてみました。

 

それは、読書好きならそんな事はないのかもしれませんが、名作であってもその内容を隅々まで把握している人は少ないのではないでしょうか。そして、語り継がれる作品ほどその傾向にあると思います。名前は知っているけど、内容は薄らボンヤリしか知らない、といった感じです。それらの作品を改めて骨の髄まで味わい尽くそう、というのが狙いではないでしょうか。その上で、新しい発見もしてもらい、さらには人生にも活かして欲しい、といった想いがこの文ラボには込められているのではないでしょうか。湾岸ミッドナイトの作中で、先ほどのセリフを言った人物は、昔の雑誌の記事をノートに書き写しているのですが、来る日も来る日も飽きる事なく作業をしています。

 

「(記事を書き写す作業は)オレはバカだから飽きない」

 

まさに、バカになるほど集中して夢中になって書いているのだと思います。だからこそ記事の本質に気付き、冒頭に述べたセリフが出てきたのだと思います。さらに別の人物がこんな事を言っています。要約するとこんな感じです。

 

「『私が講師として受けたライティングセミナーで、受講期間である半年の間に、自分の好きな本で構わないので一冊、まるまる手書きで書き写して下さい』こんな宿題を出しても、やってくる人は一人もいない」

 

耳の痛いセリフです。このマンガを読んでも、天狼院の文ラボの告知文を読んでも、その効果が絶大なのはわかっているにも関わらず、全く出来ていません。書き写す事よりも、自分の記事を書き起こす事に意識がいってしまっています。まさに今、この記事を書いている瞬間といえます。

 

書き続ける事ももちろん重要で、続けるからこそわかる事、気づくこともあります。しかし、名作と言われた文章は、名作であるからこそ生まれ続ける作品群の中でも埋もれる事なく生き残ってきたのだと思います。その作品に深く触れる事によって、ライターとしての考えが深まり、技術が向上するのだと思います。

 

この「湾岸ミッドナイトC1ランナー」は、マンガです。しかし、ここで紹介したテーマできちんと書き物として出版されたのなら、「ライティングの本」として売り出せるのではないでしょうか。ですが、このマンガは「首都高速を誰よりも早く走るための(自動車の)チューニング」をテーマにしています。誰がこのマンガでライティングの勉強をしようと思うでしょうか。

 

マンガにしているという事は、描いているマンガ家もライティングの事をわかって書いているはずです。そして、この内容は本来のテーマから外れています。自分の専門分野ではないので、本当にプロのライターになるつもりで取材をしたのではないでしょうか。もしたら、間違っている部分もあるかもしれません。しかし、文ラボというイベントが証明しているように、手書きで書くという事は理解を深めるのに効果があるという事です。その事は、マンガでも経書になりうるし、学ぶべき事は沢山ある事の証明になると思います。日本が世界に誇るマンガを最大限に活用して、勉強しているという意識さえせない勉強方法で学んでいきたいと思います。

 

 

 

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2016-07-31 | Posted in リーディング・ハイ, 記事

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