リーディング・ハイ

純文学好きに物申す! 実はこんなに面白いライトノベルの世界《リーディング・ハイ》


sinitagari

 

記事:たか(リーディング&ライティング講座)

 

 

僕は早稲田大学教育学部国語国文学科というですね、まさに純文学を嗜むための学部の卒業生なのですが、いやー、大変申し訳ないことにですね、齢24歳になるまで全然純文学に興味がありませんでした!

 

太宰も、川端も、梶井も、芥川も、三島も、ほとんど読んだことがありませんでした!

高校時代の教科書で読んだか、大学の授業で嫌々読んだものばかり!

 

当時の僕はバンドにのめりこんでおりまして、純文学の面白みが本当わかんなかったんです。

今では例えば太宰の人間失格を読んで、「やばい、俺は葉蔵病にかかっている」とか、そんなことを考えたりもするんですが。

でも、文章が嫌いなわけではありませんでした。

東野圭吾とか、森博嗣とか、朝井リョウとか、その辺りは読んでました。

 

そしてもう一つ、僕がはまっていたジャンルがあります。

 

それは、ライトノベルです。

 

ライトノベルと聞いて、なんかちょっとエロ可愛い女の子の表紙を思い浮かべたあなた!

確かにそういうものもあります。本は買ってもらってナンボですからね。

 

でも、僕が読んでいたのは、そういう感じの本ではなく、挿絵は確かに可愛いけど、物語として純文学や、現代小説に引けを取らないと言っても過言では無いものばかりです。

 

挿絵が受け付けない人も、ライトノベルってどうせ漫画を文章にしただけだろと見くびっている人も、なんか中身なさそうと思っている人も、これから紹介するライトノベルを読んでから、そう考えても遅くは無いです。

 

そして、ライトに読めるノベルということで、普段活字慣れしてない人こそ、これらの小説を足がかりに純文学などにのめりこんでほしい!

 

というわけで、早速参りましょう!

あなたのライトノベルの価値観を変える作品を一挙ご紹介!!!

 

***

 

 

 

1. 文学少女シリーズ(野村美月、ファミ通文庫)

 

まずは、純文学を嗜むぜというあなたにオススメの本がこちら。

主人公は、膝まである黒く美しい髪を三つ編みにした、華奢で、色白といかにも文学少女な外見をした天野遠子。彼女は文学を文字通り”食べちゃうくらい”大好きな女の子です。

僕がこの本を純文学好きに勧める理由は、それぞれのストーリーが全て、名作文学のアウトラインをオマージュしたものだから。人間失格、嵐が丘、銀河鉄道の夜、友情、狭き門など、和洋問わず、かつての素晴らしい文章たちが物語の外枠を作っています。

ただのパクりやん、と思わないでください。名作のストーリーに沿っているかのように見えて、実はオチが完全に異なるんです。だから、原作を読んだことがる人は、「どんなオチが待っているんだ!?」という視点で楽しめるし、知らない人は逆に「これは原作も面白そうだから読んでみたい!」という気持ちになること間違いなし。

もし、これにはまったら、お次は源氏物語を作品の根底に敷いた「ヒカルが地球にいたころ……」も是非。こちらは主人公が光源氏、ではなくそのお供のアイツなんです。

 

2. 神様のメモ帳(杉井光、電撃文庫)

 

前述の遠子先輩が物語を食べちゃうくらい大好きな文学少女となかなか強烈ですが、この物語の主人公もアクが強いです。ニート探偵事務所を経営するアリスは、その名の通りニートの探偵。

部屋には数十台のパソコンがあり、部屋から出ずに常に世の中とつながっているという変わった少女。その取り巻きも、元ホストや大学8年生やボクサー崩れなど異質な人ばかり。キャラクターだけ見るとコメディ要素が強そうですが、扱う内容は麻薬だったりヤクザだったりとディープなものが多いです。

サスペンス要素が強く、事件の核心に迫るまでのハラハラ感がたまらないのですが、真実を白日のもとに晒すことが、果たして常に正解なのか、そんなことを考えさせられる本です。

 

3. 物語シリーズ(西尾維新、講談社BOX)

 

2006年に刊行されて以来、未だにシリーズが刊行され続ける同シリーズ。

西尾維新特有の言葉遊びがふんだんに盛り込まれた作品。ちょっと、アクが強いのでもしかしたら、受け付けない人もいるかもしれません。でも、もしそうでも、シリーズ2作目「化物語(下)」だけは絶対読んでほしい!

収録されている「するがモンキー」は読み終わるまでずっと爆笑していました。本当に。

西尾維新の台詞回しに気づけば笑って、腹がよじれて、それで終わってる。中身がないと言われればないのかもしれないし、あると言えばあるのかもしれない。

全てを投げ出して、何も考えず、物語の世界に没頭したいなら、ぜひご一読を。

 

4. イリヤの空、UFOの夏(秋山瑞人、電撃文庫)

 

僕が初めて手にしたライトノベル。高校一年生の夏、イケメンでオタクの友達Oくんから勧められたことがきっかけでした。

この小説は全4巻で構成されているのですが、ラストの巻がとにかくやばくて今でも印象に残っています。多分読んでいる途中で意味がわからなくなります。僕もそうでした。

タイトルにも付いている通り、夏のそれもうだるくらい日差しの暑い日に読んでほしい。

かっこ悪いことを精一杯頑張っている奴が、実は一番かっこいい。そんなことを思い出させてくれる小説。

 

 

***

 

ライトノベルの特徴として、一巻完結のものがなかなか無く、ストーリーを把握し続けるのが大変というデメリットもあるかもしれないのですが、それを補って余りある面白さを持つ作品を厳選したつもりです。

 

今まで、ライトノベルに手を出したことがない人も、これを機会に読んでみてはいかが?

 

 

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2016-08-29 | Posted in リーディング・ハイ, 記事

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