リーディング・ハイ

ぼっちでグルメ《リーディング・ハイ》


bocchi

 

記事:住所不定☆ジョブズ(リーディング・ライティング講座)

 

いま、天狼院ではグルメブームが到来しています。正確には、福岡に来たスタッフの中では、と言った方が良いかもしれません。最初に言い出したのは、店主である三浦さんでした。すでに自身のブランドとなっている「いいかげんにしろ福岡」という記事において、「福岡の飯はどれだけうまいか」という部分だけを徹底的に抽出したような文章を書き、読んでいるこちらとしては、それだけでお腹が空いてきます。まさに飯テロ記事です。それに触発されたように、その後に福岡に来たスタッフも、やはり福岡の飯のうまさに感動して、次々と記事をアップし始めました。中には、店員のイケメンさに感動している人もいましたが。福岡は「イケメンの多い県第2位」を誇っているので、それは仕方のない事かもしれません。

 

どちらにしても、天狼院が誇る精鋭のライター集団が、本気を出して飯テロ記事を書いているのですから、どれだけ福岡の飯がうまいのかがわかります。

 

飯テロと言えば、僕の中では絶対に外せない作品があります。その作品は、深夜ドラマという特殊な環境にありながら、異例のヒットを飛ばしました。そして、これまでにドラマも何回も製作されており、放送時間を拡大したスペシャル版も放送されています。

 

その作品というのは「孤独のグルメ」です。ネットにおける視聴者の書き込みを見ると、「飯テロドラマ」として必ず名前が挙がります。そして、オリジナルドラマだと思っている方も多いのですが、実は原作マンガがあります。僕も初めてみたのはドラマでしたが、マンガも構成は基本的に一緒です。

 

よくある料理マンガは、どちらかというと料理する側、つまり「料理人」が主人公になる事が多く、試行錯誤してよりおいしい料理を作り上げる、というパターンが多いと思います。しかし孤独のグルメは、主人公である中年男性「井之頭五郎」が、ただ飯を食って心の中で感想を言うだけです。ある意味、ドラマチックさなど微塵もありません。しかし、ドラマになるとより顕著になるのですが、とにかく美味そうに食べるのです。感想自体も評論家のようなグルメチックなものではなく、我々に近い感覚の言葉で言ってくれるのでわかりやすいです。恐らく、これが飯テロと言われる所以だと思います。とにかく食べたくなる。出てくるお店も高級なところではなく、大衆食堂のようなところが多いので、すぐ手に届きそうなところがにくいです。

 

そんな事から、一部の熱心なファンの間では、作中に登場した場所に実際に行ってみるという行動、通称「聖地巡礼」をする人も登場しました。そこで「井之頭五郎ごっこ」をするのだそうだす。僕もそれにあやかり、聖地ではないですが、思い出のお店で「井之頭五郎ごっこ」をやってみました。オリジナルはマンガですが、僕はライティングを勉強している身ですから文章にしてみました。というよりも、書きたくなりました。書かずにはいられません。この想いをぶつけたいと思います。

 

『横浜ラーメン』

2011年に横浜から福岡に引っ越してきて、それなりに生活も慣れた。だが、食に関しては慣れないものがある。豚骨ラーメンだ。福岡でラーメンといえば豚骨ラーメンの事であり、博多っ子からは「豚骨に非ずんばラーメンに非ず」と、お叱りを受けそうだ。

 

一言で豚骨ラーメンといっても地域によって味が違うので、「豚骨ラーメンがダメです」と言ってしまうと、誤解を招きそうだ。匂いの強いラーメンがどうしても慣れないのだ。それでも、色々な豚骨ラーメンにチャレンジした結果、以前はきついと思ったものでも、改めて食べてみたら平気だったという事がある。だから、時間はかかるかもしれないが、いつかは食べられる日が来るかもしれないと思っている。せっかく飯が美味しいといわれる福岡まで来たのだから、隅々まで満喫したいというのが本音だ。

 

とはいえ、僕の人生の中で一番長く生活したのは横浜なので、横浜のラーメンが無性に食べたくなる時がある。横浜ラーメンは通称「家系ラーメン」と呼ばれており、醤油とんこつのスープが特徴だ。実家に帰省する時は東京を経由するのだが、横浜はそのルートに入っていない。だが、今回の帰省では東京で宿が取れなかったので、川崎まで来る事になった。そこで、少し足を伸ばして横浜時代に住んでいたところに行ってみる事を思いついた。ついでに、行きつけだったラーメン屋にも寄る事にした。だが、お腹も空いたので、まずはお店に直行した。

 

久しぶりにお店の入り口に立つ。何だか感慨深い。外観はあまり変わっていない事を確認して中に入った。

 

「いらっしゃいませ」

 

店員が挨拶をしたが、いきなり違和感を感じた。テーブルの配置が変わっていて、なんだか内装が真新しい。どうやら店内は改装したようだ。席に座りメニューを確認してから、注文し慣れた「ラーメン」をお願いした。店内は他にお客はおらず、僕1人だった。時刻は現在15時。中途半端な時間のせいだろう。そんな事から、僕の注文したラーメンだけを作っていたので、ほどなくしてテーブルに運ばれてきた。

 

見慣れたラーメンが目の前にある。久しぶりの再会に、ちょっと感動ものだ。まずはスープを飲んでみる。そう、この味だ。豚骨と醤油をブレンドした事により、濃厚でコクがあるのに、あまり後味が残らない。横浜時代の事が脳裏に蘇ってきた。

 

続いて麺を食べてみる。中太のストレートといった感じで、コシがあって噛みごたえもある。豚骨ラーメンは細麺が多いので、余計にそう思うのかもしれない。中休みといった感じで、トッピングされているほうれん草とメンマを食べる。こちらも噛みごたえ十分だ。個人的にほうれん草はやわらかい方が好きだが、ラーメンの場合は別だ。何だかこのちょっとしたアクセントが癖になる。そして、一般的な板のりを、4等分くらいの大きさに分けた海苔。これでおにぎりが握れそうだが、海苔はそのまま食べずに、麺を包んで一緒に食べる。僕のこだわりの食べ方だ。海苔のパリッとした食感とモチっとした食感を同時に楽しめるのが、何とも言えない。そしてラストスパートは、残った麺を一気に食べる。あとは、スープを可能な限り飲む。ラーメンは、スープを飲み干してはじめて食べ切ったと思っているので、多少苦しくても飲む。今回も、無事に完食することが出来た。

 

「ごちそうさまでした」

 

ああ、久しぶりに食べたラーメンの味を、時間を忘れて味わってた。何だかラーメンと対話をしていたみたいだ。そういえば、孤独のグルメの主人公である「井之頭五郎」が言ってたっけ。

 

「モノを食べる時はね誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃダメなんだ」

 

たかがラーメン、されどラーメン。この一杯でつらい事も嫌な事も忘れて、心が救われた気がした。そうだな、今度はちゃんと時間を取って、孤独のグルメに登場したお店を巡ってみるのも面白いかも。本を片手に、散策してみるか。

 

 

  
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2016-09-13 | Posted in リーディング・ハイ, 記事

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