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リーディング・ハイ

大人になってアニメを観なくなった者たちに告ぐ!魔法少女まどか☆マギカだけは観ておいたほうがいい。《リーディング・ハイ》


 

記事:牛丸ショーヌ(リーディング&ライティング講座)

 

深夜アニメから始まった「魔法少女まどか☆マギカ」(略省まどマギ)が映画、漫画、ゲーム、音楽CDから関連グッズに至るまでのメディアミックスを果たして久しい。

 

僕が初めて「まどマギ」を観たのは2012年の春ごろであった。

2011年の1月から始まった深夜のアニメ放送は、東日本大震災における報道番組の影響で一時は休止になり、通常は1クール3カ月で終わるところが、時期をずらして特別枠で最終話を含む2,3話を集中放送したとのことで、ネットのニュースになっていたのは何となく知っていた。

放送が終了してしばらく経ったころ、先に視聴した妻から「とにかくこれは観たほうがいい。絶対に面白いって言うよ」と強烈に薦めてくるため、しょうがないなと思いつつも1話だけを観た。

 

結論から言うとそのときは、ハマらなかった。

齢30を越えた大人の男が「魔法少女」と頭についたアニメを観て「ハマる」ことに躊躇もあったと思う。

それでも妻の「先を観れば、絶対面白いのに!」という言葉は何となく記憶にあった。

そして、最初の放送から約1年が経ち、テレビで再放送があったときに、録画しておいたものを休日に何となく観てみた。

正直いうと、期待はしていなかった。

アニメ好きの妻の影響で僕は当時から週にアニメを10本は観ていたし、本、漫画、映画にドラマと、ありとあらゆるエンターテインメントを消化することが日常化していたのだ。

端的にいうと、目が肥えていた。

ちょっとやちょっとのものでは驚かないし、世間が「面白い」と言うものに「そうか?」などと天邪鬼な態度をとったりもしていた。

自分の「面白い」と感じる基準が高くなっているのかなぁなどと、粋がっていた節があった。

 

その日、僕は「まどマギ」を1話から一気に観終えていた。

1話30分のアニメを全12話。

CMをカットしたとしても300分はぶっ続けで観たことになる。

そして、僕は落涙していた。

 

「ドラえもん」でも、「フランダースの犬」を観ても泣かなかった。

なのに、30歳を越えた大人が、ただただ感動の涙を流していた。

 

その後、「まどマギ」は日本だけじゃなく、世界でも社会現象規模のブームを産み出し、良質の「コンテンツ」になっていくことになる。

 

「まどマギ」の何が凄いのか?

僕がこのコンテンツに惹かれた原因を冷静に考えてみると、まずは最初に思いつくのが「ギャップ萌え」である。

人間は最初の印象からギャップがあったほうが、驚きが大きいし、強烈に記憶に刻まれることになる。

タイトルの頭に「魔法少女」をかざし、ほんわかしたキャラクターデザイン。

まどかという主人公が魔法少女になって敵を倒すバトルアニメかな? くらいにしか想像しない。

ところが、である。

 

視聴者はテレビシリーズの3話の終わり、劇場版前編46分の衝撃の展開を経て、当初の想像とは全く違った印象を抱くことになるだろう。

この物語はそういうことだったのか?

僕はここまで観終わったあとで震えてしまった。

「戦慄する」という言葉は知ってはいたが、実際にその状態になるなんて思っていなかった。

カッコよすぎるのだ。

何が?

そこに至るまでのストーリー展開。

登場人物たちのセリフ。

戦闘シーンの独特な絵柄及び背景。

そして、エンディング曲とともにアニメーションが流れたときに僕は悟った。

この先、とんでもないものを視ることになると。

これが、「まどマギ3話問題」である。

※この用語はオリジナル

 

僕はまどマギを人に推すときは、必ずここまでは我慢してでも観るように薦める。

今のところ、観た人がその後にハマる成功率は100%である。

 

そして、ここまででハマったら、あとは物語の渦の中に身を委ねるだけでよい。

怒涛の展開が待っている。

 

しかし、ただストーリーラインを追って、この物語を理解できるほど単純ではない。

考えながら、観なければならない。

気を抜くと、パラレルワールドに意識が飛んでしまうかもしれない。

この難解な物語展開こそが中毒者を続出させているポイントである。

 

宇宙物理学、哲学、西洋宗教、仏教。

この先、さまざまなものを包含しながら、予期せぬ方向に物語は向かっていく。

 

そして僕が最も心動かされるのは、暁美ほむら(あけみほむら)の存在である。

この物語の主人公である鹿目まどか(かなめまどか)はある意味でオブジェだと思う。

象徴的な置物であり、芸術的な物体。

または概念。

ほむらこそが真の主人公であると気づいて観れば、この作品のテーマは「献身」なんだと確信してしまう。

最期まで観終えたとき、きっとまた最初から観たくなる。

 

凄いアニメだった。

もうこれで終わってほしかった。

なのに……なぜ、続編があるのか。

複雑な気持ちで「新編」叛逆の物語を観た。

想像をはるかに超えていた。

どこまで行くんだ、まどマギは!

 

2017年は21世紀になって18年目になる。

新しい世紀になって最高のアニメは何か?

間違いなくそれは、魔法少女まどか☆マギカであると断言したい。

 

大人になって、アニメを観なくなった者たちへ言いたい。

ジブリアニメしか観ていない大人たちにも言いたい。

まどマギだけは絶対に観ておくべきだ。

 

まどマギの作品理解はおそろしく難しい。

これほど、物語と世界の捉え方を深く考えさせられ、登場人物たちの心情に感動するアニメが近年あっただろうか?

 

もう一度、言う。

男性も女性も老いも若きも、まどマギだけは、観ておいたほうがいい。

 

僕は観終わったあと、この物語の創造主たちに畏怖の念を抱きながら、自分の中のクリエイティブ部分が存分に刺激されたのを感じた。

 

紹介作品

・魔法少女まどか☆マギカ テレビシリーズ全12話

・劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[前編]始まりの物語

・劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[後編]永遠の物語

・劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語

 

 

 
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2017-01-25 | Posted in リーディング・ハイ, 記事

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