郵便小包で卵を送るとどうなるか ー姉妹が語る実話編 宅配便がなかった時代ー《天狼院ライティングラボ中島悠子さん》
(こちらの記事は、天狼院ライティングラボの中島悠子さんに書いていただきました。)
姉(私)「そういえばこの間、天狼院書店さんのライティング・ラボに行ったときに出た話なんだけど、いまの若い人って郵便小包とか知らないんだよね~」
妹「そっかー、いまは宅配便とか、郵便局もゆうパックだもんね。宅配便っていつごろ出来たんだっけ?」
姉「この『小倉昌男経営学』っていう本によると、昭和51(1976)年に宅急便が出来て、それまでは郵便小包しかなかったって書いてある」
妹「確かにそうだったよね。郵便小包ってけっこう面倒だったよね。茶色いハトロン紙で包んで、麻紐かけて。ほどけそうな結び方して持っていくと、引き受けてくれなかったり」
姉「何しろお国がやっていたんだもんね。お客様扱いはしてくれなかった。頼むと集荷に来てくれるのも、宅配便以降だし」
妹「小包ってほんと、きっちりと結わえるのよね。だから、小包が届いたときは、それをほどくのがたいへん。こっちは小包が届いてワクワクして、早く中身が見たいから紐をハサミで切ろうとすると、おばあちゃんがダメ、っていうのね。ちゃんとほどいて、次に使うって」
姉「うちじゃ、お父さんが単身赴任だったから、よく小包つくって送ってたよね」
妹「一度おばあちゃんが、うちで飼ってたアヒルの卵入れて送ったことがあったよね。あのころはビニール袋とか梱包のプチプチとかなかったから、紙の箱に入れて新聞紙クシャクシャにしてパッキングにしたりして」
姉「そうそう。それで、卵が途中で割れて小包全体に染みちゃって、お父さん、郵便局の人にかなり叱られたらしいよ。こんなもの送られては困ります、って」
妹「昔の小包って、地方から東京だと4~5日くらいかかったよね。わ、夏だったらたいへん。クール便もなかったから、どんな感じで届いたのかしら。想像すると恐ろしい!」
姉「けっこうチャレンジャーなおばあちゃんだったね」
妹「うんうん、一か八かの賭けに出る人だったよね」
姉「確かに…orz」
妹「懐かしいね。あの頃はビニールとかプラスティックもなかったし。だから子供の頃は、リンゴなんか木箱に入って、もみ殻がパッキングだったよね。あれは麻紐じゃなくて縄で結わえてあったかな? 今は便利になってるよね。宅配便とか、あとコンビニとか出来たのも、流通が発達したおかげ?」
姉「だよね、きっと。今は東京でもお正月には丸餅が買えるけど、昔はなくって、四角いお餅ばっかりで、お父さん、小包をほんと楽しみにしてたみたいよ。それに、今はお正月でもお店開いているところがけっこうあるけど、昔は5日くらいまでどこも完全にお休みになってたしね。だから昔は主婦がお節を作らないとたいへんなことになっていた。お正月の意味がだんだん変わってきているのかもしれないけど、そういう変化って流通とも関係あるんじゃないかしら」
妹「お取り寄せとかも考えられなかったね。ところでお餅の話が出たし、食べない?」
姉「いいわね。じゃ、きなこで食べようか」
妹「賛成!(オーブントースターに餅を入れながら)これも昔は火鉢で焼いたよね」
姉「ほんと、火鉢も今は家にないよね」
妹「ところでお姉ちゃんの今年の抱負は何?」
姉「私はね、こういうちょっと前にあって、今はないものとかのこと、書きたいな。昔がよかったとか、そういうことじゃないの。ただ、なくなるものがあると、その周辺も変化していって、そのうちぜんぜん分らなくなったりすることってあるじゃない? たとえば、火鉢がないと、火鉢でお餅を焼くときのコツとかも分らなくなるでしょ。そういうことを書いていきたいなって思うわけ」
妹「それ面白そう。じゃ、今度は火鉢だね」
姉「そうね。あ、今、表でコトって音しなかった? きっと年賀状よ。取りに行ってこよ。
(取ってきた年賀状を見ながら)
あれ? おかしいな。私のばっかりであんたの一枚もない。どうしてかしら?」
妹「だってお姉ちゃん、お姉ちゃんってずっと一人っ子だったじゃない」
姉「そっかー、って、じゃ、あんた誰?」
妹「さぁ~???」
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