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メディアグランプリ

クリームのついたケーキのフィルム、舐めるという選択肢


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:石野敬祐(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
今日は集中して本を読みたい。そんな時は家よりも集中できる場所、コメダ珈琲に行くことが多い。
 
今日はビジネス書を1冊鞄に入れて、1人でコメダに向かった。
席へ案内される途中、ケーキをおいしそうに食べている女性2人組が目に入った。
それに触発されたスイーツ系男子の僕。甘いものも頼もうと思った。
 
メニューを見て、久々にモンブランでも食べてみようかと思い注文。すみません、本日は終わってしまいましてと店員さんに言われる。あら。でもケーキが食べたい。じゃあ、ケーキの中でまだ残っているのはどれですかと店員さんに聞く。結局1種類しか残っていなかった。チョコレートケーキだ。
 
飲み物とケーキが運ばれてきた。
ケーキを包んだフィルムを剥がす。三角にカットされた頂点を自分側に向け、時計回りにフィルムをめくる。剥がしたフィルムにチョコレートのクリームと少しのスポンジのかけらが付いている。
 
ああ、フィルムのクリーム舐めたいなぁ。
こんな年になってもそう思う。でも、実際に舐めることはない。
 
でも。正直、フィルムについたクリームがケーキよりも美味しかったんだよなぁなんて思うんだけど。
 
届いたケーキを先に食べてしまった後、コーヒーを飲みながら持っていったビジネス書を読み進めていった。
 
たっぷりサイズで頼んだコーヒーも飲み終わり、コップの水も飲み終わった時、ちょうどキリのいいところまできた。
 
うん、今日はここまでにしようかな。今日も集中して読めた。
 
本を鞄の中に入れ、机に置いたスマホをポケットに突っ込み、帰ろうと立ち上がる時。ふと、テーブルの上、お皿の上に置いたケーキのフィルムが目に入った。
 
最近、写真とかアートに興味を持っているせいかもしれない。今までと違う視点みたいなことを意識してみようとしているので、そのためかもしれない。いつも目がいくことなんてなかったのに。
 
そうやって僕の視界のなかで、ケーキを包んでいたフィルムは、いやクリームやスポンジはなんだか寂しそうに見えた。心がキュッと痛んだ。
 
会計を済ませて家に帰る途中でも、
帰った後もずっとケーキのフィルムのことを考えていた。
 
なんでケーキのフィルムってなめちゃいけないんだっけ。
 
昔、フィルムについたクリームを舐めてたら、親からみっともないとか恥ずかしいと言われて、やめなさいと怒られたなぁ。でもよく考えてみると、理屈弱いよなぁ。恥ずかしいが、舐めたいとか美味しくて幸せな気持ちよりも強いんだっけ? ちゃんと考えたことなかった。
 
ふと思い出した。罪の文化と恥の文化。ルース・ベネディクトだったっけか。菊と刀。本自体は読んでないけどこの内容は知っている。日本の恥の文化は、他人の目を意識して行動するというもの。まぁ恥ずかしいって1人じゃ起こらない気持ちだよなぁ。
 
なんだか「恥の文化」にちょっと逆らってみたくなった。
 
考えてみたら、フィルムについたクリームも、どうせ捨てるだけでしょ? クリームさんとかスポンジのかけらさんの立場なら、美味しく食べてもらいたいと思って僕や誰かのもとにきたはず。仲間の大部分が美味しいなーと思いながら胃に収められる一方、偶然フィルムに近いところに配属されたため食べられず、胃の中ではなくゴミ箱に、なんてあまりにもかわいそうではないか。
 
そういえば、Twitterだか何かでこんな記事を見たことがある。「料理の付け合わせでパセリの多くが食べられず、捨てられているということにどう思いますか」と、パセリ農家の人にインタビューをしたそうだ。「そうですか…… 美味しいパセリができたと思ってるんけどね……」と悲しそうな答えだったと。
 
救える命じゃないか。なんて大袈裟な言葉が頭に思い浮かんだ。
まぁ意図せずできたフィルムについたクリームと、意図的に作ったパセリの話を一緒にするのは失礼な話かもしれないが。
 
フードロスなんて社会問題のことを言いたいわけじゃない。ただ、残したくない、クリームを舐めたいと思う気持ちがあって、食べて欲しいと思っているかもしれない、フィルム上のクリーム達がいるなら、そのクリームを舐めるということは、一概に悪いこととかでもないんじゃないか。
 
もちろん嫌がる人もいるのはわかってる。誰かと一緒にいる時なら、相手に不快に思われてしまうかもしれないから避けた方が無難。でも、相手も同じようにフィルムについたクリームが気になってる人だったら、ここが一番美味しいよねと盛り上げれるかもしれない。舐めちゃいけないものだと決めつけず、選択肢として持っておいてもいいんじゃないかと思う。
 
なーんて、きっかけはたかがフィルムのクリームの話。これはちっぽけな話なんだけど。選択肢を持つ、違った見方をするって大事だなと思う。
 
フィルムについたクリームを舐めたいなと思ったとき。舐めてもいい。舐めなくてもいい。選択肢を持っていると、ちょっとスッキリする。結果が同じであっても、自分で「選ぶ」ってできるとちょっと楽になる。そして当たり前、常識、と思っているところにも、世界を楽しめる要素が眠っているのかもしれない。
 
寂しそうにしていたフィルムのクリームに、新しい価値を見出せたかな。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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