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人との競争は、諸刃の剣

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:吉田まりえ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
私は、負けず嫌いの性格だ。それもかなり強い。
人との競争を好む、この性格とうまく付き合えるようになるまで苦労した。
小学5年生の私に教えてあげたいことがある。
 
新学期、小学5年生の新しい担任の先生から話があった。
「新聞記事の要約や毎日の発見をA4レポートにまとめる自由課題を出します。教室に、みんなの名前入りのグラフを張っています。提出したレポート数の分、自分でシールを張ってください」
 
最初は、特に関心はなかった。自由課題とは言え勉強。宿題があるから、やりたくないのが正直なところ。実際、やらなくても問題はなかった。
 
ある日、グラフが目に入った。シール数を数えると一番多い人は「16」。私は「0」。
このままだとどんどん差が開く……。私の負けず嫌いが着火した。
 
帰宅後、毎日1~2時間。レポートを書くため、新聞の朝刊・夕刊と格闘する日々が始まった。このレポートは上限数がない。何枚書いても「これでよし!」という手応えがない。
いつも「もっと書いたほうがよかったのか?」という葛藤を抱えて登校するようになった。
 
毎朝、教室でグラフにシールを張る時が勝負。さっきまでの葛藤を忘れ、ライバルと視線を戦わせた。1学期のライバルはA君。A君のシールの数を見て、負けた時は「もっと書けばよかった!」と悔やみ、勝った時は、なぜかほっとした。目に見えるシール数が全てだった。
 
時々、教室にお手本となるようなレポートが掲示される。
「夕方、お母さんと一緒に近所の魚屋さんに買い物に行った。魚屋さんは、魚の料理方法を教えてくれ、小魚をおまけにつけてくれた。スーパーでは、こんなサービスはない。小さなお店での買い物はとてもお得。ぜひ、近所の魚屋さんに行ってみて下さい。〇〇 B子」
 
「面白い」B子ちゃんならではの体験と考察。私にはない視点やレポートの書き方に、すごく魅力を感じた。一方の私は、新聞の要約のみ。何だか自分のレポートがつまらないものに感じられた。このレポートは、本当は、こんな考察を書くものかもしれないと思った。
 
でも、そんな思いは一瞬だった。
 
考察など考えている暇はなかった。ライバルに勝つためには、1日10枚以上レポートを量産する必要があるからだ。2学期のライバルはCさん、3学期はまたもやA君。ライバルとのデットヒートを繰り広げ、ついに、私は、全学期とも一番になった。
 
3月、自由課題が終了した日。私は、シールを見るのも嫌だった。疲れた……。
 
こんなに長い間、人と競争したのは初めての経験だった。
私は、1番になった達成感より、人に負けるかもしれないという不安から解放された安堵感のほうが大きかった。もう嫌だ。ライバルに勝ったのに、敗北感のような気持ちが残った。私は、この経験から何かを学ぶような力もなく、とにかく人との競争をやめると決めた。
 
それ以来、勉強も、部活も、ほどほどに。のんびりと過ごした。中学3年の夏までは。
 
今の成績では行く高校がない。私は焦りを感じ、夏期講習から個人の学習塾に通い出した。
塾では、毎月テスト結果が張り出される。私の負けず嫌いが猛烈に火を噴いた。人との競争をやめるなど言っている暇はない。私は、心の中でライバルを決めて競争を始めた。Xさん、次はY君。成績は上がったが、冬休み、私は勉強が手につかなくなった。疲れた……。
 
まずい。でも、どうしてよいか全くわからなかった。
 
塾長の先生に「宿題やりませんでした。勉強したくない……」とだけ伝えた。
「おお、どうした、どうした。あの猛烈さはどこにいった」と塾長は驚いていた。
「……」私は、泣きたい気持ちだった。
「志望校はどうする?」
「公立〇高校にしようかと思ってます」
「おお、そうか、そうか。いいな。僕は大人でも子どもでもない中学生の年齢の君たちが、面白いように変化していくのを見たくて独立して塾を始めたんだ。吉田君も面白いな。君の将来が楽しみだ。自分で決めたことをやるのは楽しいぞ。頑張れよ」
 
この時「こんな大人になりたい」と思った。自分で決めたことを楽しそうにやる大人に。
志望校は決めた。まだ、その先にある自分の将来の具体的なイメージまでは持てなかった。
それでも、自分の勉強の目的を1つ見つけた意義は大きかった。
目の前の人との競争に明け暮れていた私に、2つの大きな変化をもたらした。
 
1つは、自分のやるべきことが見えてきたことだった。
受験までの残り3ヶ月間どうするか、自分なりに考えることができた。
英語と数学は、塾の勉強でいいかな。
理科は、特定の分野が苦手。図表の多い参考書を買って、得意な友達に教えてもらおう。
社会は、特に苦手もないが良くもない。1冊の教材を1日3ページ、全体をつぶしていこう。
国語は、勉強方法がわからず、塾の国語先生にお願いしてテストのやり直しで同じ間違えを繰り返さないようにしよう、と決めた。
 
もう1つは、心の中からライバルが消えたことだった。
その代わり、ライバルはもう1人の自分になった。このライバルは「テレビが始まるよ」、「今日は、もうよくない?」などと囁く、手ごわい相手だった。
 
もう1人の自分と戦う日々が始まり、塾と家で勉強と格闘し続けた。
 
3月、受験が終わった日。私は、充実感が全身に満ちていくのを感じた。
ここまでやって落ちたら仕方ないな。自分でも驚いたが、結果が気にならなかった。
人と競争している時は、あんなに結果が気になっていたのに!? こんなに違うんだ。
 
人との競争は、諸刃の剣だ。
 
人生に競争はつきもの。
勝つこともあれば、負けることもある。
上手くいくこともあれば、いかないこともある。
 
負けず嫌いの性格を原動力に、人との競争に振り回され、疲れるのか。
人との競争の中で自分と戦い、自分を成長させるのか。
自分の目的を決めることが、その分かれ目になる。
 
目的を決めれば、モチベーションが高くなり、維持できる。
そして自分なりに考え、行動を続けていけば、次への学びが得られる。
あの充実感が道しるべ。そう思えるようになった。
 
小学5年生の私に教えてあげたい。
 
今、あのレポートに取り組むなら何を目的にするだろう?
 
考えていたら、私が得たものが1つあることに気がついた。
新聞を読む習慣。小学5年生からずっと、今まで続いている。
全力で取り組むことに無駄はないのかもしれない。
 
 
 
 
***
 
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2020-06-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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