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毎日15分のリングフィットアドベンチャーとは、山椒の実である


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記事:野口桃花(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
私にとって、毎日15分のリングフィットアドベンチャーとは山椒の実である。
 
リングフィットアドベンチャー(以下リングフィットと表記)をご存じだろうか。リングフィットとは任天堂から発売されているフィットネスソフトで、楽しみながら運動ができるという夢のようなゲームだ。女優の新垣結衣さんがCMに出演していることでも有名なこのゲームの人気は高く、抽選販売が長らく続いたほどだ。
 
とはいえ、リングフィットを始めるまで、私はその魅力を疑っていた。最大の売りでもある「楽しみながら運動ができる」部分など、特に疑っていた。なぜなら私は筋金入りの運動音痴で、運動を楽しめたためしがまるでないからだ。幼稚園のころから徒競走は常にビリ、小学5年生の時には「野口さんが逆上がりをできるようになりました!」と学級新聞に書かれるほどだ。大多数の人は逆上がりなど小学校低学年でクリアするものだが、先に述べた通り、私がそれを習得したのは周りより遅かった。そのような経験もあり、私はどうにも運動を好きになることができずにいた。SNSで散見されるリングフィットのプレイ記録も、もともと運動ができるから継続も苦にならないのだと食わず嫌いをしていた。
 
しかし、その考えはがらりと改められることになる。運動とは、生活の質を向上させるために必須とも言うべきものなのだ、と。
 
ある日、弟が抽選販売の切符を見事に勝ち取り、リングフィットはわが家へやってきた。家族というものは多かれ少なかれ似ている部分があるもので、その例に漏れず、私も弟も「熱しにくく冷めにくい」面を持っている。物事に対して慎重な姿勢で挑む一方、見事はまればそれに熱中するといった性質だ。果たして弟のその興味は本物か、と高みの見物を決め込むつもりでいたが、私の予想に反し、弟はひと月ふた月とリングフィットに取り組む生活を継続していくではないか。
 
これは何かあるに違いない。そう察知した私は勢いよく、しかし内心は恐る恐る、CMでよく見たあの輪を握った。そして気づけば、輪を握った日から4か月が経過していた。
 
リングフィットは、運動不足かつ運動嫌いである私の生活をいとも簡単に変えてしまった。しかも、良い方向へと変えてしまった。
 
生活の中で特に変化があった点は、生活にメリハリがついたという点だ。私の仕事はもっぱらデスクワークで、帰宅後のプライベートな時間も画面や机に向き合うことがほとんどだ。常に背を丸め、同じ姿勢で物事に取り組んでいる。意識としては別々の時間だが、身体としては仕事の時間もプライベートな時間も変わらない、メリハリのない生活だ。
 
しかしリングフィットを始めてからは、強制的に身体側の認識も変わった。今までは椅子に座りっぱなしだった時間の中に、身体を動かす時間ができたのだ。すると意識と同様に、身体も仕事とプライベートの時間は別物だと認識するようになったではないか。今までは変化のなかった時間は、リングフィットによって別々の時間へと生まれ変わり、メリハリがつくことでそれぞれの時間の充実度も上がったのだ。
 
加えて、適度な運動の後には爽快感が得られるところも良い点だ。達成感と言い換えることができるかもしれない。同じような作業が続くとき、時間の節目はどうしても認識しづらくなる。ここに性質の違う時間を作ることでメリハリを作ることができるのは先に述べたとおりだが、これが過度なものではいけない。運動であればなおさら、爽快感より先に疲労感がやってきてしまうだろう。だからこそ15分程度の軽い運動にとどめておくことがミソだ。何かを達成したとき、人は爽快感を覚える。毎日15分のリングフィットとは、生活の質を向上させるための適度にして最適な方法なのだ。
 
山椒の実も同じだ。山椒の実はぴりりと辛い。ジャパニーズペッパーとも呼ばれるそれを食べると、軽い痺れと何とも言えない爽やかな風味が口に広がる。それだけを食べれば刺激が強く、舌先は痺れ切ってしまうが、白米と一緒に食べれば相乗効果が生まれる。山椒の爽やかな風味は白米のほのかな甘みを引き立て、白米の甘みには山椒の風味が良いアクセントとなる。白米だけを食べろと言われれば苦行だが、そこに山椒、特にちりめん山椒(余談だが、京都天狼院の裏にある店のちりめん山椒は格別なので是非お勧めしたい)などを振りかければ、それらを単純に足し算をした以上においしくなるのだ。
 
世は年末年始だ。こたつに入ってみかんを食べながらで悠々自適に、といった生活を夢見る人も多いだろう。私もその一人だ。しかし悪いことは言わない。一度こたつから出て、15分だけ体を動かしてみてほしい。運動不足・運動嫌いであってもよいし、運動はリングフィットでなくてもよい。適度な運動は、山椒の実のように爽やかな風を生活に吹き込んでくれるだろう。
 
 
 
 
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2020-12-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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