僕の人生、コミコミでお願いします。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:浦部光俊(超ライティングゼミ)
泣きじゃくる9歳と6歳の娘。
「なんで、なんで」
人生の悲劇が一度にやってきたかのようだ。
すべての財産を取り上げられた上に、
これから先、何をやってもうまくいくことはない。
絶望のどん底に突き落とされた娘たちを見ながら、
ほくそ笑む
これで決まり、僕の勝ちだ。
えっ、なんてひどい親だって?
いやいや、これ、あくまでゲームの話。
先日、家族で久々に桃太郎電鉄をやった時の話
ボードゲームの名作、人生ゲームとモノポリーのいいとこ取りしたようなこのゲーム
サイコロを振ってゴールを目指すのだが、恐ろしいのが突然登場する貧乏神。
とりつかれると、今まで集めたお金は無くなるは、
借金は勝手に増えるは、ろくなことがない。
突然、貧乏神に取りつかれ、
ひっく、ひっく、としゃっくりが止まらない娘たち
そんな彼女たちを見ながら思う。
「たかがゲームじゃないか」
それに比べて本物の人生は、いろんなことが起きすぎる。
いいことも、悪いことも……
そう、人生にはいいことも悪いこともある。
それは絶対に避けられない。
とは言え、正直な気持ちを言えばこう思う。
「いいことだけだったらいいのに」
でも、それはきっと波みたいなもの。
寄せては返す。
いいとこ取り、というわけにはいかないのだろう。
納得いかないけれど、受け入れるしかない。
人生の真実だから。
でも、ふと考えた。
いいことだけの人生
もし本当にそうだったら楽しいのだろうか。
想像してみた。
仕事でバンバン成果が出て、
収入はどんどん増える。
周りにはキレイな女の子ばかり。
みんな、僕のことが大好き、選び放題。
インプットは無いけど、アイデアがあふれ出て、
作った映画、書いた小説は、ハイパーコンテンツ
やっぱり最高、
なのだろうか……
どうもしっくりこない。
考えてみると、これってすべて、
今の僕が持ってないもの。
だから、欲しい。
でも、お金も名誉も成功も(そして、素敵な女の子も)
全てが毎日のことだったら、
欲しいと思うのだろうか。
たぶん思わないのだろう。
XXは3日で慣れるけど、
美人は3日で飽きるというやつだ。
「今」 欲しいものを手に入れても、
結局、次から次へと欲しくなる。
もっともっとの無限ループ。
結局いつまでたっても
満足することができない。
うーん
どうも、いいことだけの人生というのは、
いいことだけ、というわけにいかないらしい。
人生には、いいことも悪いこともある、
やっぱりこれは真実なのか……
もう少し考えてみる。
さっきは、「いいこと」 目線だったので、
今度は「悪いこと」 から考える。
悪いことってなんだろう。
仕事で失敗してお客さんを失った。
受験に失敗して、希望の学校に入れなかった。
台風で家が流された。
あげ始めたらキリがない。
つらい、苦しい、もう人生、終わりにしたい、
そんなふうに思ってしまう。
意味なんてなさそうだ。
でも、必ず起こる、それが真実。
なぜだろうか。
意味があるとしたら、それは何なんだろうか。
失敗から学ぶ、
やりなおしがきくと勇気をもらう、
家族や友人の大切さ、
今という時間の尊さに感謝し、
これからの人生をより大切にしようと思いなおす
人生の「いいこと」に気づけるきっかけ。
そういうことなんだろう。
僕たちは、毎日をなんとなく過ごしてしまう。
どんなに恵まれている環境にいても、
それが当たり前だと思ってしまう。
そんな僕たちが、今あるものの尊さを理解して、
前向きに進んだり、努力するためには、
「悪いこと」 が必要なのかもしれない。
きっとそういうことだ。
「綺麗事」
「本当につらい経験がないから、簡単に言えるだけ」
そんな声があるだろう。
その通りだ。
僕はまだ本当につらい思いをしていないだけなのかもしれない。
だとしても、
人生に悪いことが避けられないのだとしたら、
悪いことコミの生き方をしたい。
いいことも、悪いことも、コミコミで、
楽しいとまでは言い切れないかもしれないけれど、
味わい深いものにしたい。
それは人生には必ず限りがあるから。
人生のもう一つの真実。
それは、人は必ず死ぬということ。
いつかは終わるこの人生を
変えられないものを嘆いて過ごすなんて、
時間がもったいない。
後悔しても手遅れだ。
リセットボタンを押して、
再スタートは切れるかもしれないけど、
過ぎた時間だけはとりかえせない。
そう、人生はゲームのようにはいかない。
人生はゲームとは違う。
そういうことだ。
それにしても、ゲームというのは不思議なものだ。
いいことも、悪いことも、コミコミで楽しんでいる。
ムカついたり、大声で叫んだりしながら、
でも、やめない。
次こそクリアしてやると、あきらめない。
どんなに理不尽な設定だとしても、
いや、理不尽だからこそ燃えてくる。
だいたい勝てるのがわかっているゲーム、
楽勝にクリアできるゲームなんて全然やりがいがない。
うーん、ゲームが面白いのは、うまくいかないからなのか。
失敗があって、悪いことがあって、そして理不尽だから、
上手く行った時、いいことがあった時、その嬉しさが倍増する。
それを知っているから必死になれる。
ゲームにはいいことも、悪いこともある。
いや、ゲームには悪いことが必要なのだ、
いいことを味わうために。
そういうことか、
と思った時に、ふと気づかされた。
これって、人生も同じじゃないのか。
いいことも悪いこともある、だから面白い。
「もう一回、やる」
娘たちの声に我に返る。
鋭い視線には、今度こそ、という強い意志が感じられる。
どうせ、また貧乏神に取りつかれて、泣きじゃくるんだろうな、
勘弁してくれ、と言いかけて、思い直した。
涙の後には笑顔あり、笑顔の後には涙あり、
その繰り返しが人生だ。
人生はゲーム、
いいことも、悪いことも、コミコミで
味わって生きいけばいい。
そして、いつだってやり直せる。
そういうことにしておこう。
***
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