小学4年生の私へ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:平野孝子(ライティング・ゼミ集中コース)
「あのタカコさんが、かわったねー」
私の事を知る人は、皆口をそろえて言います。
「まさか犬と暮らしているなんてね!」
「信じられない!」
「しかも、大型犬だよ!」
私の方が信じられません!
犬が怖くて、逃げてばかり。
散歩している犬が向こうから歩いてくると
心の中で、「くるなよー」と念じていた私が
今、ゴールデンレトリーバーと一緒に暮らしています。
犬が怖い!と思ったのは
小学4年生の夏休みのラジオ体操の時の事。
ご近所の同級生が、飼っているドーベルマンを連れてきました。
ラジオ体操が終わると、そのドーベルマンが、急に走り出したのです。
当時から犬が苦手だった私は、自転車に乗り慌てて逃げたのです
ところが、ドーベルマンは私を追いかけはじめました。
一生懸命ペダルをこいだのですが、広場の生垣のところで、自転車が倒れ両肘両膝をすりむいてしまった私。
犬は近づかなかったし、噛まれもしなかったのですが、それ以来、犬は怖いものになりました。
そんな私が、なぜ犬と一緒に暮らすことになったかというと
23歳になる次女が2歳のころの出来事から始まります。
阪神淡路大震災の映像を見て「私、この地震でお家の下敷きになって死んじゃったお母さんワンコと子犬の生まれ変わりなの!」とびっくりするようなことを話しだしました。
「え?」
「何を言ってるの?」と驚きましたが、子供が生まれる前の事を話すと聞いたことがある!
この子に本当に犬の生まれ変わりかも!
でもまさかね。
と、半分だけ信じていました。
外遊びが増えてくると、ご近所の犬に怖がることもなく近づいていく娘。
臆することなく手を出してなでなでします。
少しずつ、「本当に犬の生まれ変わりかも」と思うようになってきました。
犬を飼いたい!と何度も言われましたが、あいにくペット不可の賃貸マンションで暮らしていたので、彼女は泣く泣くあきらめていました。
大きくなるにつれ「かわいそうなワンコのお世話をしたい」と獣医になるのが夢の娘になり、
今、獣医系大学に通っています(獣医にはなりませんでしたが)。
ところが賃貸マンションから、分譲マンションへ移る際、家族で相談して決めた部屋が
たまたま「大型犬可」の部屋でした。
まさかここで大型犬を飼うはずはないよね。と思い込んでいた私。
反対に次女は、
ここなら、犬を飼うことができるかも!とひそかに計画を立てていました。
娘の学校にはケネルクラブという、犬の世話をする学校公認のサークルがあります。
各学年で1匹の仔犬をブリーダーさんから買い、育てて繁殖、卒業後はサークルメンバー1人が引き取るルールになっています。
彼女の学年が購入したのがゴールデンレトリーバーの雌犬。
部長になった娘が3年生の冬に繁殖活動させ、生まれてくる仔犬の引き取り手を全国から募りました。
4年生の春(昨年)にエコーで見ると、おなかに9匹いることが分かったそうです。
引き取り手は10人集まっていていました。
出産予定日の少し前に、娘から「犬を飼うことになったら」というプレゼンをされたのです。
エコーで見る限り9匹しかいない。でも、もしかしたら、万が一、引き取ることができない人が出た場合、11番目の引き取り手になりたい!というのです。
引き取り手が辞退するなんて万が一よね。
もしも、9匹以上生まれたらだもんね。
もしもの時の事だから、もしも、そうなれば、その時もう一度考えよう!と
一応プレゼンを聞き、彼女の想いを受け取りました。
外出自粛中の出産当日はインスタライブで出産の様子を見ることができ、9匹が1時間の間に生まれたそうです。
無事生まれてほっとしたのと、自分のところには仔犬は来ないんだなとちょっぴり残念だった娘。
しかし2時間後、「あれから2匹の仔犬が生まれた!」と大ニュースが飛び込んできました。
合計11匹が誕生!
娘は11番目の引き取り手になれたのです!
まさか!本当に?
どうしよう・・と思いましたが、
犬の生まれ代わりだという娘の、犬を飼いたい気持ちを受け入れようと、一大決心をしたのです。私にとって、大きな決断です。
誕生から約50日後、我が家にやってきた犬は海(カイ)君という名前になりました
最初はケージの外から眺めるだけ。かいくーんと声をかけるだけ。
犬が口を開けた時、あの大きなお口に咬まれちゃいそうで怖い私。
ケージから出てる時は、犬の口に何か咥えさせるといいと教わったので、いつもぬいぐるみを片手に持っていました。
サッと差し出して咥えさせて逃げる。そんな繰り返しをする日々。
少しずつ、かい君を押さえてもらってるときに、頭をちょんと触ることからはじめ、徐々に頭をなでなでできるようになりました。
ごはんをあげたりしつけることは娘の担当なので、私はおやつをあげる担当になりました。
まるで、犬のおばあちゃんです。
おばあちゃんになった気持ちになると、少しずつカイ君との距離もちかづいていきました。
立ったままのなでなでから、座ってできるように。
気持ちよさそうにするカイ君に、怖い気持ちが薄らいできました
次第に首をなでなでできるようになり、時には寝っ転がって私の膝に顔を載せるようになりました。
そんなことをされると、怖いが「かわいい!」になりますよね。
ご飯を作っていると、何かくださいな!と尻尾を振ってくるカイ君。
リンゴやキャベツをあげると、おいしいよーという顔をするカイ君。
そんなカイ君と暮らすようになったら、
他のワンコもなでなでできるようになりました。
怖かった犬が、かわいい犬に変わったこと
自分でも不思議な気持ちです。
大型犬なので、飛びつかれたときは私の身長程あるので、怖いと感じることがありますが、以前のように「くるなよー」と念じることはなくなりました。
4年生の私に「大きくなったら犬と暮らすんだよ!」と伝えたいな。
***
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