あなたがもし、繁盛するお店を作りたかったら
【10月開講/東京・福岡・全国通信対応】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《初回振替講座有》
→【東京・福岡・全国通信対応】《平日コース》
記事:かのこ(ライティング・ゼミ)
茶色いドーナツの形をしたぬいぐるみが2匹、こちらをじっと見つめている。
「じゃあ、90分のコース1枚ください」
私の口から、自然にその言葉は発せられていた。
何だかここのところ疲れが溜まっているなぁ、と思ってマッサージや整体にまめに行くようになったのは今年に入ってからだ。
マッサージ店とかエステというのは、一介の会社員が気軽に通えるものではないので十分に吟味する必要がある。(と私は思っている)
そんな見解も手伝ってか、なかなか通いたいと思うような店には出逢えなかった。
数多のマッサージ師さんたちの沽券の為に言っておくと、私の肩こりは尋常ではない。
だから決まって、「お疲れですね」とか「凄いですね……」とか言われる。
「ここまで放っておくなんて信じられない。一刻も早く通わないとヤバいですね!」と
言い放った輩もいたが、さすがにこの日は一日中ふつふつと怒りがおさまらなかった。
大体、そんなことは言われなくても自分が一番よく分かっている。
多少は不精のせいもあるにせよ、こちらだって好きで重度の肩こりになったわけではない。
せっかく貴重な時間を割いて癒されに行っているのに、そんな言い方しなくても……とつい思ってしまう。
色々な選択肢がある昨今、マッサージ店は病院じゃないんだ。
施術だけ良ければOK、という人もいるかもしれないが、私は心地良く時間を過ごさせてくれる場所と人にお金を払いたい。
このあたりで施術がどんなに良くても通いたい欲求は失せてしまい、
おおよそその後の勧誘はうわの空である。
また、その勧誘のほうも事情は分かるのだが、4万とか5万といった金額を、笑顔で「お得ですよ~!」とさらっと言ってのける施術者たちを見ていると、それって本心ですか? とどうも信用できなくなってしまう。
だって癒されないのだったら、通っているヨガに行ったほうがよほど浄化された気分になるし経済的だし、どこのマッサージ店も大体同じような金額なら、あえてそこにする必要はないし。
そんなこんなで楽しみ半分、少し憂鬱な思いが半分といった心情で、今日も予約しているマッサージ店が入っている、外観が少しあやしいビルへ向かった私だったのだが。
数分後、その思いは覆されることになる。
「このぬいぐるみかわいいですね。タイのキャラクターですか?」
「あっ……それはハワイに旅行に行った時に、マラサダのお店で買ったもので。本当は3匹いるんですよ」
て、私なんで最初からこんなにリラックスしてこの人と喋っているんだろう。
そのお店のインテリアが自分の好みに合っていたということもあるが、
始まる前からこんなにリラックスできたことは今までなかった。
むしろ他の店では、その後に待ちうける私を傷つける言葉の数々やしつこい勧誘の事を考えると、ただでさえ固くなった肩に一層力が入っていた。
「リラックスして、眠っていかれる方も多いんですよ」
そう言って彼女は施術ルームに私を案内してくれた。
はじめは緊張をほぐすためもあってか、二言三言話しかけてくれたが、あとは黙々と施術に専念した。
しかし私は、温かいアイマスクまで付けてもらったのに一向に眠れなかった。
本物のプロの凄さをまじまじと見せつけられたからだ。
最初の一手から、彼女の動きには無駄がなかった。
ものの5分足らずで文字通り、体がほぐれていくのを全身で感じた。
彼女の一挙一動を逃すまい、と一秒たりとも眠りに落ちることはなかったので実際の時間以上に長く感じたし、それは本当に幸福な90分だった。
終わるころにはすっかり施術してくれた女性のファンになってしまっていた。
そして、終わってみてさらにびっくりしたことに、彼女は施術後も、ただタイ古式の由来だったりタイでの施術経験について話したり、私の日常について聞いてくるだけで全然勧誘らしいことはしなかった。多分、そのまま帰る事も出来た。
正直、最初は絶対に次回のチケットを買うつもりなんてなかった。
特に、前回別の店に行った際に半強制的に購入させられかけ、二度とその店にいくかと思った矢先だったから、なおの事、厳しくなっていたはずだった。
でも、私は湧き上がってくる衝動を抑えられなかった。
体が見事に軽くなっている感動や、心身共にリラックス出来た喜び、何より彼女のスキルへの敬意と感謝、それをどうにかして形にしておきたかったのだ。
その対価として、支払ったに過ぎない。
そして、その施術で分けてもらった幸福の膜は、いまも私を包んでくれている。
天狼院だって、今でこそこうして嬉々としてライティングゼミに通っているが、行く前は怪しいところだったらどうしようと本気で思っていた。
私が天狼院に行くきっかけになったのは、SNSで読書会を探していてたどり着いたまとめサイトだった。書店の名前も読書会の名前も何だか少しあやしいし、敷居が高そうというのが正直な感想だった。
でも、イベント内容や、天狼院に集うさまざまな人たちの記事をよくよく読んでみたら信頼できそうだし、何より面白そうだと思い、勇気を出して行ってみる事にした。
実際に行ってみたら、店員さんたちの感じの良さと、そこにいることの心地よさに魅かれた。
そして、流れてくるFacebookのタイムラインでライティングゼミの存在を知った。
そこに綴られた言葉を読んでいるうちに、私も書きたい……という衝動がマグマのようにふつふつと湧いてくるのを感じた。ハードな内容と仕事との両立や、金額など勿論すんなり受講を決めたわけではないが、決断する一番のきっかけになったのはこの衝動を形にしよう、と思ったことだったと思う。
数年前に母が、この記事面白いよ、と私のPCに送ってきた記事が天狼院のものだったと知るのは、もう少しあと、ゼミが始まってからのことになる。
あるいは無意識なのかもしれないが、本当のプロは、多くを語らないで人の衝動に訴えかける。必要な情報と、少しの刺激だけを与えて、あとはこちらに考えさせる。もしくは対価を払ってでもこの人の力をわけてほしい、と思わせてしまう何かを持っている……。
そういう人に、私もなりたい、と
思わず声に出して言ってしまった秋晴れの美しい初秋の出来事だった。
***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
【10月開講/東京・福岡・全国通信対応】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《初回振替講座有》
→【東京・福岡・全国通信対応】《平日コース》
【天狼院書店へのお問い合わせ】
TEL:03-6914-3618
【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
【天狼院のメルマガのご登録はこちらから】
【有料メルマガのご登録はこちらから】