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メディアグランプリ

レンズ越しに


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:萱原 健司(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
仕事で、保育園で行われる運動会や発表会、入園式や卒園式などのイベントに撮影に行く事がある。
保育園なので、0歳〜5歳までの子ども達がいる。発表会では、音楽に合わせておもちゃの楽器を鳴らしたり、先生が作ったヒヨコの被り物を着て踊ったり、年長さんになると『美女と野獣』などの劇を披露したりする。
 
運動会では、ハイハイ競争で親御さんの所まで楽しそうにはって行く子どもや、その場で座って泣いちゃう子ども。
玉入れやかけっこ、組体操までみせてくれる。
 
0歳〜5歳までの子どもたちが、今できる精一杯を表現している姿を見ると、他人の子どもでも感動する。
 
いっぱい練習したんだろうなぁ……。
 
失敗して泣いてしまう子もいる。
 
失敗して泣くほど悔しいと思えるほど、全力で取り組んだ事ってどれくらい前なのだろう……。
 
子ども達の一生懸命な姿、今やっている事に全身全霊で取組む姿を見て、自分を省みると情けないというか、何やってるんだろうという気になってしまう。
 
学ぶことが多すぎる。
だからこそ、そんな一瞬をしっかり残してあげたいなぁと思って、こちらも全力でシャッターを押している。
 
最高に良い顔を、頑張ってる姿をちゃんと残したい。
そんな熱い思いにさせられてしまう。
 
親御さん達はさぞかし感動しているんだろうなぁと思い、ふと観覧席に目をやると……
 
ほぼ全員がスマートフォンや一眼レフのカメラ、ビデオカメラで撮影している。
そりゃあみんな撮るよなぁと思ったが、ちょっと違和感がある。
 
その違和感が最初は分からなかったし、気にもしなかった。ただ、友人達に子どもができて、子育ての大変さや、どんどん成長する驚きなどの話を聞く機会が増えたことで気がついた。
子ども達が全身全霊で頑張っている姿をレンズ越しにしか見ていないのだ。
 
私は、かれこれ20年以上音楽活動をしていて、ロックバンドでドラムをやっている。
残念ながら売れているわけではないので、大きな会場で単独公演! はできないが、小さなライブハウスで月に2〜3本ライブをやっている。いわゆるインディーズと呼ばれる音楽シーンなので、ライブ中にお客様が動画を撮ったり写真を撮る事ができるのだが、ここでもレンズ越しにしかライブを観ていない人が多くいる。
 
たしかに、録画したものや写真などを家に帰ってから何度も観て楽しんでもらえるのは、それはそれで嬉しい。しかも今はSNSがある。そこに投稿してもらえたら、より多くの人に我々の音楽が届く可能性があるからありがたいとも思う。
 
ただ、ライブハウスで行われているのは『ライブ』なのだ。
同じライブは2度とできない。生のものだ。
ライブの醍醐味といえば、照明が創り出す雰囲気やスピーカーから流れる爆音。
それによる音の振動を感じたり、リズムの揺らぎ。さらに、共感できる歌詞や極上のハーモニー。
その全てを全身で感じることで、日常を忘れさせてくれるところだと思う。
(まぁ、それが出来ていたら今頃はもっと売れていたのかもしれないけど…)
 
せっかくゴールデンタイムにライブハウスに足を運んで、チケット代を払い、ライブを観に来ているのだから、レンズ越しではなく、自分の目で耳で五感の全てで感じて楽しんでもらいたい。
 
やはり演者としてお客様に望むものはそれに限ると思う。
 
それなのに、動画や写真を撮っていて、レンズ越しにしか観てもらえないのは演者を軽んじる事になるのではないかと思う。
もちろんつまらなければそれでも良いと思う。時間とお金を使って観に来ているのだから。
 
でも保育園の子ども達は違う。
この世で一番軽んじてはいけないものの一つが子どもだ。
子ども達の頑張る姿はライブなどとは違い、エンターテイメントではない。
生き様を見せてくれているとしか思えないのである。
だからこそ保育園の運動会や発表会、入園式や卒園式で頑張る姿はレンズ越しではなく、自分の目でしっかり観て欲しいと思う。
 
こういった事も、デジタルデバイスの発達の弊害の一つなのかもしれない。
記録しておけばいつでも観られるから、今起こっている事も、今観なくて良いと思ってしまう。
マインドフルネスや瞑想がもてはやされているのに、それとは反対のベクトルで技術が進歩しているようにも感じる。だからこそマインドフルネスや瞑想が流行っているのかもしれない。こればっかりは、鶏が先か卵が先かみたいな事なので、しょうがない事ではあるが……。
 
せっかく気付けたのだから、今後はより意識的に、今目の前で起こっていることを全力で観て感じて考えていきたいと思った。
 
 
 
 
***
 
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2022-11-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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