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TOEIC中毒


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記事:杉村仁子(ライティング・ゼミ特講)
 
 
TOEICが好きだ。好きすぎる。
 
TOEICとは何かご存知だろうか? 日本で最もメジャーな英語のテストのことだ。
 
リスニング100問、リーディング100問を2時間で解く。最高点は、990点だ。会場へ足を運ぶ受験形式で、毎月全国で行われている。
 
歴史は古く、国際ビジネスコミュニケーション協会の運営のもと、1979年に第一回目のテストが開かれた。以来、東南アジアやヨーロッパ、中南米を中心とした非英語圏でも開催されているが、日本が最も受験者が多いそうだ。その数、年間212万人。TOEICのスコアを人事の評価にカウントする企業は増える一方で、ビジネスパーソンにとってはお馴染みの資格の一つとなっている。
 
私が初めてTOEICを受けたのは5年位前くらいだったと記憶している。何がきっかけだったか忘れたが、おそらく気まぐれで受けてみたのだ。結果は550点。平均から見ると中の下レベルだった。
 
それからしばらくして、どうしても外資系で死ぬまでに一度働いてみたいと思うようになった。外資系で働き始めた友人がその自由さを吹聴してきたからだ。
 
例えば休憩室に海外の高級な輸入菓子が置いてあったり、ブランドのコーヒーや紅茶を淹れるメーカーが備え付けられていて社員は自由に食べたり飲んだりできる。
 
そのほかにも、ボジョレーヌーボーの解禁の日には、社内でワインを開けてチーズと一緒に試飲したり、クリスマスには高級フレンチレストランを貸し切って、タレントの歌や踊りを楽しんだりするそうだ。
 
もちろん、スタッフには外国人がいて、休憩室ではカップを片手に洋書を読んでおり、その姿がファッション雑誌の写真のようだと彼女は語った。
 
「うらやましい。仕事をしながら海外ドラマみたいに過ごせるなんて」
 
私は、ずっと日本企業で働いてきた。好奇心がムズムズして、どうしても一度そんな環境に身を置いてみたくてたまらなくなった。
 
外資系の採用では、TOEICのスコアが重要視される。彼女の点数を聞くと700点だった。
550点から見ると700点は雲の上の存在に思えた。しかし、夢を叶えるためにやるだけだと決心した。
 
まずは、TOEICの主催協会が出している公式問題集を買い込んだ。現在は、シリーズ9まで出ているが、当時は、シリーズ3が最新だったと記憶している。
 
第一印象で私はその問題集が好きになった。表紙の色のかわいらしさに心が奪われたのだ(写真ご参照ください)。
 
普通、テキストと言うと緊迫感を最大限に高めるようなどぎつい黄色や赤が多用されるが、草間彌生さんの作品をイメージさせる落ち着いた赤やグレー、グリーンが使われていた。どれも絶妙なトーンで、今でも次の公式問題集は何色の表紙かと予想するのが楽しみで仕方ない。
 
実際にこの問題集を机に出すと、ノートや鉛筆だけの無機質な世界がパッと明るくなった。そこにTOEICのセンスの良さを感じ、この挑戦は楽しくなりそうだという予感が生まれた。
 
以来、会社の帰りに毎日2時間図書館で勉強するようになった。
 
リスニングについては最初何を言ってるのか、さっぱりわからずほぼ全滅状態だった。しかし、毎日聴いていると話し手の声に耳が慣れてきて友人のように親しく感じられるようになった。
 
TOEICでは男女を交えた複数のスピーカーが登場し、それぞれアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア英語で問題文を読む。
 
公式問題集で問題文を読んでいる同一人物が、本番のテストでも起用されているから、彼らの声に馴染むことはスコアアップにとても有利なのだ。実際に、少しずつ正解率が高くなっていった。
 
一方、リーディングはさらに苦手だった。だからリスニングに賭けようと思い、そちらに集中して勉強し続けた。すると本番で650点が取れたのだ。
 
結果が出たことがうれしくて、通勤中や散歩、買い物でもリスニングの問題を聞き続けた。次のテストを受けると790点となり、ついに830点と上がっていた。
 
しかし、苦手なリーディングが足をひっぱってスコアが伸びなくなってきた。TOEICでは、最初にリスニングテストが45分、残りの75分でリーディングの空欄問題や長文について回答しなければならない。私は我流でどの問題から着手して何分で何問を解くかシミュレーションを行い、研究した。
 
そこから得た結論は、長文から読むと正解率が高まるというものだった。それが功を奏し、870点までアップした。その時点で外資系へ転職することができた。
 
夢を叶えることができたが、今度はどうしてもスコア900超を目指したいと願うようになった。受験者全体で900を超えているのは、上位3%だと言われる。800点台のスコアを持っている人の大半は、900を超えることを数回の受験で諦めてしまう。そのくらい900の壁は高い。
 
そこには一体どんな世界が広がっているのだろうか。私は、今度はそれが気になって仕方なくなってしまった。
 
新たに英字新聞を勉強法に取り入れることで、先月、スコアが890まで上がった。もうすぐ手が届くのではないか、もうすぐ……。
 
ああ、当分、私のTOEIC中毒は治りそうもない。
 
 
 
 
***
 
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2022-12-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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