ブログで発信することに迷いがある人へ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:田口ひとみ(ライティング・ゼミ12月コース)
「まーじーかーーーー!!!」
調べ物をするためにネット検索をしていてヒットした、とあるブログを読み進めていて、思わず声に出してしまった言葉である。
あなたはブログを書いた経験があるだろうか?
もしかすると、ブログを書き続けてきた人かもしれないし、ブログなんて書いたこともない人かもしれない。ブログ書いてみたかったんだけど、なかなか手が出なくって……と思っている人かもしれない。
けれど、もし、あなたがブログを書こうかどうか迷っている人ならば、私は迷いなくブログを書くことをおすすめしたい。
かくいう私は、noteという媒体をブログ代わりに使っている。いろいろなブログを漂流し書いては放置を繰り返した結果、一番シンプルで使いやすく、デザイン性も良いところが気に入り、今はこれ一本。さまざまなコンテンツがある中にブログのような文章を書き連ねている。
noteの話はさておき、ブログを書くことは漁師に似ていると思う。
毎日魚が獲れれば良いが、そうはいかない日もある。凪もあれば荒波に揉まれることもあり、天候が悪すぎて船を出せない日だってある。とはいえ、海に出れなかったとしても、やることはたくさんあって、網を修繕したり、次の漁の準備をしたり、英気を養ったりして、せわしく暮らしていたりするのだ。
だから、ブログを書くためのネタを考えたり、他の人の記事を読み漁ってみたり、天狼院のライティング・ゼミに投稿してみたり、と日々鍛錬しているわけなのだけれど、ブログを書くことを人におすすめするきっかけとなったエピソードを紹介したい。
私は大人になってからバレエを始めた。ママさんバレーではなく、踊る方のクラシックバレエ。アン・ドゥ・トロワ〜の方だ。
30代を目前にした頃、結婚して数年し生活は安定、仕事もそこそこ順調ではあったけれど、このまま一生何事もなく過ごしていくのかと考えたら急に怖くなった。そして、何か一つくらい、自分が心から好きだ! と思えることをやりたいと考えた。いわゆる趣味と呼べるものをつくりたかったのだ。
そこで、手始めに探しはじめたのはヨガ教室。
今でこそ、オンラインでヨガ受け放題! などと、誰もが手軽に飛び込めるようなものが一般的で市民権を得ているが、当時はネットで「ヨガ」「〇〇県〇〇市」などと検索すると「宇宙と繋がるヨーガ」だの、「覚醒のためのチャクラ道場@公民館」だの、なんとなく怪しげなものか、もしくはフィットネスジムのなんちゃってヨガクラスくらしか見当たらなかった。さすが田舎。
都会ではヨガマット片手に電車に乗ってスタジオに通います、なんてことに全く違和感がない時代が始まっていたけれど、地方ではヨガ習っています、と言おうものなら「あの人変わってるよね」「宗教?」などと陰でささやかれたとしてもおかしくなかったのだ。
そうか、ヨガはだめか、と田舎暮らしを呪いかけた時、目に入ってきたのがバレエ教室だった。実はクラシックバレエは高校時代の部活の一環として少しだけ齧ったことがあった。だから、若干のアドバンテージがあるし、しなやかな生き方や美しい所作に憧れがあったので、すんなりシフトした。
今振り返ると、バレエ習ってます、も相当「変わってるよね」案件だったのだが、そんなことには全く気づかず、翌週には見学に行き、1か月後にはスタートしていたのだから、我ながら驚く。
バレエを習い始めてわかったこと。それは想像以上に激しい運動だということ。優雅なマダムが昼下がりに嗜むようなものではなく、ママさんバレーもまっ青な、ガチで基礎から鍛錬に鍛錬を積む週2回が始まった。今からプロのダンサーを目指すわけでもないというのに、先生の上達させたい! という熱意に絆され、まるで部活のように次第にのめり込んでいった。
1回目の発表会が終わる頃、トウシューズの許可がおりた。つま先で踊るための、あの靴だ。トウシューズのつま先部分はとても固く、脚の筋力がしっかりできていないと立つことさえ難しい。それなのに、あの靴で踊るのだ。ジャンプしたり回ったり。確かに憧れはあったが、同時にどえらいものに手を出してしまった感が押し寄せてきた。
大人からの習いごとにおいて、もっと上手くなりたい! 上達したい! と思った時に武器になるのは「知識」である。いくら柔軟性の高い子どもたちであったとしても、体の使い方や筋肉、動きの理屈まではわからないだろう。言い換えるとすれば、柔軟性やら感性やらが足りていない大人は理論を学ぶのが上達の近道だとも言える。
そこで私は上達のためにと、バレエのレッスンブログを書き始めた。その日のレッスンで学んだこと、わからなかったことをネットで調べて少しずつ勉強し、記憶させるためにブログに残す。こういう地道な作業を繰り返すことで、自分の拙い踊りがちょっとだけバレエのようなものに近づいて行った。
人間とは欲深いもので、次の段階に進むためには、更なる武器を手に入れなければならない。理論武装の次に向いた矛先は「道具」だった。
大工の見習いがカンナの刃の調整を覚えるように、そして木の種類と特徴を知っておかなければならないように、ダンサー見習いもトウシューズの加工や、自分の足の特徴を知っておく必要がある。つまり、手入れの行き届いたすばらしい道具で削った木であれば、立派な家を作るための部品になるのと同じように、自分の足にピッタリ合ったシューズであれば、踊りやすくすばらしいパフォーマンスを生み出すことができるのだ。そこで、自分の足について、そしてトウシューズの加工について、これまでどおりいつものようにブログに綴る日々が続いた。
数年続いたバレエ生活も、親の病気の介護でままならなくなり、仕事も社内のポジションが代わり、ほとんど残業でレッスンに通えず中断を余儀なくされてしまった。大人の習いごとというものは生活の中にあるから、こうなることは仕方がない。そして時は流れ、父を看取り、ようやく仕事にも慣れた頃、バレエに復帰することにした。
過去に積み上げてきたものは、崩れ去ってゼロになってしまうことはないが、元の状態に戻すまでにはそれなりの労力が必要だ。そこで、復帰後の上達にドライブをかけるためにひたすらバレエの情報をネット検索しまくる日々を送っていた。
本当に自分はどこを目指しているんだろう? という疑問がよぎらないでもないけれど、トウシューズの加工と自分の足(特に極端に短い足の小指)について、何か参考になる情報はないかと検索に検索を重ねる。
「トウシューズ」「足の小指」「短い」でポチリ。
検索結果の一番上に出てきたのは、私がいつも愛読している、バレエの解剖学を教える人の情報サイトだった。やっぱりねーと関心しながら、2番目に出てきたものをポチリ。
ある人のブログだった。トウシューズを履き始めて、まだ間もないその人のブログには、私と同じく、足の小指が短いのでトウシューズの時にどうすればいいものか、という悩みが綴られていた。
そうか、同じように頑張っている人もいるんだなぁ……と勇気をもらいつつ、読み進めていき、「まーじーかーーーー!!!」となった。
勇気をくれた相手、それはなんと! 過去の自分だったのだ。
そういえば、こんなブログをやってた時期があったかも。未だにネットの海に転がっているとは! 文章読んで気づかないなんて……。でも過去の私ったら、なかなかいい文章を書いているではないか。
私があなたにブログを書くことをおすすめしたい理由。それは、過去の私が、今の私に勇気をくれたように、あなたの言葉が未来の誰かに勇気を与えることがあるかもしれないからだ。そして、自分の中にある何気ない言葉たちが海を漂い、誰かの元で宝物になっている、なんてことがあったらすてきだな、などと思いを馳せながら、私はブログを書き続けている。
***
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
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