メディアグランプリ

子育ては、痛いのです


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:島本智恵子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
子育ては、ドッジボールだ。
ドッジボールに参加する。ってことは自分で決めたんやけどね。
私が思ってる方向から、思ってるようなボールだけが
飛んでくるわけじゃなかった……。
 
毎回毎回、ボールキャッチするのに必死。
事前に相手チームの生態を雑誌を購入して予習してみたり
先人たちの教えを聞いたりして、綿密に計画を立てて
「さぁ、来い!」
って思って構えてたのに
真後ろからボールが飛んで来たりする。
「えっ、そっち?!」
って思ってる瞬間
バーンってボールが当たって、めちゃ痛い。
 
最初の痛いボールは、授乳中の出来事。
母乳育児推進の産院で出産をしたので自動的に母乳育児を始めたのだけど
私も初めてのこと、もちろん赤ちゃんである長女も初めてのことで
上手に飲めないのだ。
乳首の柔らかさも足りなければ、
首の座っていない赤ちゃんを抱くのにも慣れておらず
おっかなびっくりな抱き方をする母親。
母乳がスムーズに出るような飲み方もまだ知らず
重力と言う名の重い布団を被せられたような状態で
この世界に順応するだけで四苦八苦な赤ちゃん。
 
毎日毎日、1時間から3時間置きに、
ぎこちない二人は初めての共同作業として、授乳の時間を過ごすのです。
飲めなくて、ギャン泣きする赤ちゃんと
お産の疲れも癒えないまま、睡眠時間を削られてぼろぼろの母親は
二人で試行錯誤しながら、24時間おっぱいとおむつを繰り返しながら過ごすのです。
そうして、私と娘は、慣れない授乳を繰り返すうちに、
私の乳首は擦り切れ、しまいには血が滲んでしまいました。
 
「痛ーーーーい!!!!」
しかし、痛いからと言って、授乳を諦めるわけにはいきません。
「少しでもいいから母乳を飲ませるように」
とのお達しが出ているので、毎回きちんと授乳はするのです。
苦肉の策というか、どうにかして、授乳時の苦痛を和らげたい一心で
傷を保護するようなシリコンのカバーを買ってみたり
授乳枕なるものを使ってみたり
授乳中の姿勢を変えるために、抱き方を変えてみたり
搾乳して(母乳を自分で絞ること)哺乳瓶であげてみたり
赤ちゃんが口にしても大丈夫な軟膏を塗ってみたりと
いろんなことを試しながら、恐る恐る母乳をあげる日々。
「へっぴりごしとは、まさにこのことだな」
と痛感しながら授乳していました。
 
そのうち、赤ちゃんの吸う力が強くなり、飲み方のコツも掴みグングン飲むようになる。
それと同じ頃、私の皮膚も再生し以前よりも強くなり、スムーズに授乳が出来るようになった。
 
子育てというドッジボールで初めて私に当たったボールは
この壮絶な日々を体験することとなった
母乳育児による「乳首の裂傷」だった。
 
それを皮切りに、長女は私にどんどんボールを投げてくる。
そのボールをどうにか受け止められるように試行錯誤する。
という日々が始まった。
数年後、次女が生まれてからは、そのボールの数が2倍になった。
 
ある時は、おむつ替えの最中、おむつを開いた瞬間に彼女が「うんち」をしてしまい
顔面にそれを浴びてみたり(長女・生後1ヶ月)
いつも行く飲食店で準備されている豆椅子を
テーブルの周りに6個並べてみたり(次女・1歳半)
めっちゃ晴天なのに、「長靴履いていく!」と言い張ってみたり(長女&次女)
真冬なのに、半袖半ズボンに草履という出立ちで外出してみたり(次女・現在進行形)
保育園で飼ってる猫のしっぽを引っ張ってみたり(長女・2歳)
認知症の母(おばあちゃん)が前日のことを忘れるのをいいことに
カードゲームのカードを毎日買って貰ってたり(長女・7歳)
「あっちの道で行きたかったのにー!」と大泣きしたり(長女・3歳)
学校に行きたくない。と言い始めたり(長女・9歳&次女・8歳)
花火を観に行ったのに、「大きな音が怖いから嫌だー!」と泣き喚いたり(次女・4歳)
乗りたかったポニーに「乗れないなら帰らない!」と
汗ぐっしょりになりながら、30分も大泣きしてみたり(次女・5歳)
近所の男の子と傘でチャンバラして喧嘩して、傘を壊して帰ってきたり(長女・7歳)
もう本当に、たくさんの意図しないボールがどんどん飛んできた。
 
でも、娘達からボールが投げられる度に
・どの方向からボールが飛んできた?
・なんで受け止めきれなかったのか?
・次回、同じようなボールが飛んできた時にどうやったら反応することが出来るのか?
を検証・考察していくと
次にボールが来た時は、前よりも少し早めに反応出来たり、
当たった後の対応が、以前よりも少し上手に出来るようになっている。
気がする……。
 
娘達は、出産前に私が想定していた子育てのボールとは
まったく違う球種で、明後日の方向から投げてくるので
痛い思いをしたり、もやもやしたり、親としての自信を失うこともあるけれど
ボールを受け止めたあと
「あぁ、そうきたか。」
と楽しんでいる自分もいる。
だって、そのボールに当たって痛い思いをする度に
私が受け止められるボールが増えていくのを知ったから。
 
それでも、まだまだボールは取り損ねるし
上手く受け止めきれず痛い思いはするし
年齢が上がるにつれて、ボールのスピードもパワーも上がっていくし
なんなら投げてくる角度まで想像を超えてくることが増えたけど
このドッジボール、年々楽しくなっていくんだよなぁ。
 
次はどこからボールが飛んでくることやら。
 
 
 
 
***
 
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2023-02-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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