メディアグランプリ

20年前の忘年会幹事経験がいま活かされる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:小野勝秋(ライティング・ゼミ)

毎年この季節になると落ち着かない。

年の瀬とか師走という言葉があるくらいだから、それは僕だけのことではないはずだが。
僕の落ち着かない理由はある年の忘年会の記憶だ。

僕が勤めていた会社は、毎年欠かさず全社員が集う忘年会を開催していた。設立後の少人数だった頃は、居酒屋やレストランでこじんまりとやっていたのだが、社員数が50名を超えた頃から、ホテルや結婚式場を使って、ブュッフェスタイルで開催するようになった。

会場はだいたい2時間で予約しているのだが、乾杯までの挨拶やら、功労者表彰やら、どうでもいい時間が長く、歓談の時間は1時間半くらいになる。

ブュッフェスタイルの場合、最初の30分くらいは食べることに夢中になったり、久しぶりに会う仲間と話が弾んだりして、結構盛り上がる。
だが時間が経つにつれて、お腹も満たされ話のネタも尽きてくると、なかなか間をもたすことが大変なのだ。特に僕のいた会社のように、普段パソコンとばかり会話しているような社員が多いと、気の利いた話ができない奴らだらけだからやっかいだ。

折角話しかけても、会話が続かずに気まずい思いをしたり、苦手な上司に話しかけられて逃げられなくなったり、慰労のための忘年会なのに、返って疲れてしまうことになりかねない。

そんな忘年会が続いたある日のこと。
「これは俺が何とかせねば!」いつも変なことに熱くなる癖を持った僕は、忘年会を盛り上げるプランを考えることが、いま自分のなすべきことであると思い込んでしまった。

その当時、宴会ゲームといえばビンゴゲームが定番だった。しかし僕がやりたかったのは、ありきたりのゲームとかでお茶を濁すのではなく、参加者が心から楽しめるエンターテイメントだった。

どうすれば人は笑わせることができるのか?
それを身につけるため、僕は実践的な方法を試みた。テレビで島田紳助が司会をしている番組を徹底的に分析したのだ。
話のフリ方、ツッコむタイミング、声のトーン、間の取り方……。
天才と呼ばれる彼の話術は、学ぶところだらけだった。録画して何度も何度も繰り返し見た。トイレや風呂場で島田紳助になりきり、ひとりでツッコミの練習をした。

頭の中で会社の社員や役員の顔をイメージしながら、その人が言いそうなことを想定して、ツッコミを入れるシミュレーションをした。

大きな笑いを起こすためには、立場が上の人に対してツッコむことが有効であることはわかっていたが、それは失敗したときのことを考えると、大きなリスクであった。場合によっては自分自身の進退にも影響しかねない。
少し臆病になった僕は、ツッコむ対象は、できるだけ寛容そうな人に限定した。

通勤時間、休み時間には、何度もシミュレーションを繰り返した。その度に新しい想定トークが出現して、シナリオ変更をすることになった。

仕事でこんなに真剣になったことはなかった。正直ここだけの話、そんなに真剣になるほどの価値ある仕事があると思ったことがなかった。それほどこのミッションは僕にとっては重要なことだった。
もし仮に僕が僕の上司だったら「お前は何をしてるんだ!」と恫喝していただろう。幸いに僕の上司は、結果だけ出していれば他のことは気にしない人だった。

準備に準備をかさねて迎えた当日、朝から落ち着かなくてどうしようもなかった。想定したシミュレーションが全て裏目に出て、何もしゃべれなくなって固まってしまっている自分が、脳裏に浮かんで消えなくなっていた。自分は極めてポジティブな人間だと思っていた自信が、足元から脆くも崩れていくようだった。

昼休みは食事もできずに、シナリオのおさらいをした。これまで何度も練り直して作ったシナリオだったが、いまになって全然オモシロくないのではないかという不安が、突然発見された悪性腫瘍のように、僕の心を恐怖に陥し入れた。

こんな状態では、夜の本番まで体も心も持たなくなってしまうと感じた僕は、職場をこっそり抜け出して、近所の昼営業しているスナックに行ってコーヒーを注文した。そのスナックを経営しているおそらく後期高齢者に属するママは、僕の話を聞いて、
「男がそんなことでビクビクしてどうするの! あんた、なんのために立派なものぶら下げているのよ、しっかりと自分の手で握ってみなさい!」
といういつもの下ネタで僕を勇気付けてくれた。

少し落ち着きを取り戻した僕は、終業時間になったとともに、ひとり急いで会場に向かい、セッティングを入念にチェックして開会に備えた。

あの日からすでに20年近くが経とうとしている。
毎年この季節になると、僕はその日のことを思い出して、なぜか落ち着かなくなる。

結果をいうと、その年の忘年会は大盛況だった。これは自分自身を過大評価している訳ではなく、客観的に見ても参加者のほぼ全員が満足していたと思う。僕の描いたシナリオは、全てが予定通りとはいかなったが、自分でも気付かないうちに、それまでの訓練が本番で即興として活かされることとなり、結果的にいい方向に転じていったのだ。

そして、その年から管理職になるまでの数年間、毎年忘年会の幹事を引き受けることとなった。

これは、僕の数少ない成功体験となった。
ただ、これが職務経歴として、明記されることはなかった。
まあ他の人にすれば、これを仕事として認識することはあり得ないのかもしれないが、僕にとっては他のどんな仕事よりも、自分の成長に寄与したことは間違いのないことだった。

そしていま、僕は重要なことに気がついた。

20年前に僕がやっていたこと。人を喜ばせること笑わせることを徹底的に研究して、参加者を想定して流れを考えてシナリオを作り、そして本番では想定外のことを即興で乗り切ったこと。
これはまさにマーケティングだったのではないか。

なぜこれまでに気付かなかったのか不思議だが、僕は20年前に立派なマーケティングを実践して成功していたのだ。

いままさに、これから新たなビジネスを進めていくために、マーケティングが必要なとき。そうか、20年前に自分がやっていたことを、またやればいいだけのことだったのか。

そうと気づいたから、早速明日から20年前にやった時のように動き出すことにしよう。

そうだまずは、島田紳助に代わる人を見つけることからだ。
 ***
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2016-11-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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