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双子というもの。


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記事:庄司華(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
「双子なんです」
客との打ち合わせにて、本編に入る前のほんの雑談。姉妹はいるかと聞かれそう答えると、大抵の人が目を輝かせる。どのくらい似ているのか、比べられて大変だったか、入れ替わって遊んだりしたのか、友達と暮らすようなもので楽しそう……。
そんな言葉を矢継ぎ早に浴びせ、すべてに回答しないと本編に行けないのは、結構時間のロスだ。それに実のところ、双子というのはそう面白いものじゃない。否、二卵性の双子というのは、そう面白いものじゃない。
 
今日は双子(二卵性バージョン)について、お話ししたい。
 
まず、私の双子ーー結について紹介すると、彼女は私より数十秒ほど早く生まれた。私より数センチ体が大きく、数ミリ目は小さく、数段穏やかな顔立ちで、数倍メンタルが強い。私より社交的だが、私よりは話すのが下手で、私よりよく食べるし、私よりよく眠る。
つまり、普通の人間だ。私との共通点は「よく見ると似ているね〜」という、一般的な姉妹が持つものと同じ程度。趣味嗜好はほぼ合致しないので、血がつながっているだけの他人である。双子と聞いて想像する、生写しのような存在じゃ全然ない。
 
じゃあ全く姉妹と同様かと言われると、そうでもない。同い年の人間が同じ家にいるのだ。義務教育の頃は、同じ学校にも通う。
幸い両親は「結はできているのに」とか「華を見習いなさい」みたいに私たちを比べはしなかったが、究極まで同一の条件で比べることが可能というのは、主に成績の面でシビアなときもあった。
他にも、同じ学校内で結と仲の良い人は「結ちゃん、華ちゃん」、私と仲の良い人は「華ちゃん、結ちゃん」という。交友関係がばらけてからは特に何も思わなかったが、同じくらい仲の良い友人がどちらの名前を先に言うかは、ひそかに気にしたりもした。
 
また、互いについても、きっと姉妹では持ち得ない感情を抱くことがあった。例えばテレビのチャンネル争い。歳に差があれば「お兄ちゃん/お姉ちゃんだし譲ってあげよう」で済む話かもしれないが、完全に対等となると譲る理由が思い浮かばない。それに、相手に手加減する理由がない。だから、すぐに大喧嘩へ発展する。今では喧嘩することなどほとんどないけれど、当時は髪を引っ張ったり、腕に噛み付いたり、酷い有様だった。
これは性格によりけりな部分が大いにあるかもしれないが……。
 
とはいえ、良い点もある。
厨二病になるのも、反抗期も、受験も、そろそろ結婚を前提とした恋人を作らないとまずいのか? と不安に思うのも同タイミング。両親から圧をかけられたって「また言ってらあ」と笑ってかわせた。究極的に同じ立場の人間がいるというのは、本当に心強いものだ。否、これも双子だからというより、私と姉がいろいろな意味で「同レベル」で「似た価値観同士」だったことがメリットにつながっただけかもしれないが。
 
他にも、同じ年数働いているのでだいたい同じ額の収入を得て、同じ額の貯金がある。つまり同程度の、プライベートに使う金銭的余裕がある。「ちょっと行ってみたいけど友達を誘うほどでもない。でも誰かとは行きたい」なんて場所へお伴にするのに、双子というのは丁度良い。
先日は鳥取に行ったし、この前は同人即売会に売り子として来てもらったし、もっと前はホテルのビュッフェへ繰り出した。無論、誘いやすさの点では母親でも「家族」という点で変わらないのだろうが、誘える範囲という意味では双子が圧勝する。
だって、鳥取やビュッフェは「親孝行かな?」で片付くが、同人即売会に親子参加はちょっと見ていられない。(ここで指す同人即売会とは、性癖の限りを詰め込んだ作品を頒布しに行くイベントだ)
それ以外にも、例えばゲイバーに行きたい、例えばストリップショーが見たい、例えばちょっと過激な映画が見たい、例えば元彼からもらった指輪を日本海に投げ捨てに行きたい、などなど、親と一緒では気まずいが、双子ならまあ許容という場所はたくさんある。
この認識は結も持っているようで、私たちはしばしば二人きりで変な場所へ出かける。移動中無言でも気にならないし、ホテルでの風呂上がり、全裸で歩いたって許されるのが超楽だ。
 
双子語り(二卵性バージョン)をするくせに根拠が実体験のみなのは、いかんせん偏っているんじゃないかとも思う。が、別に「双子ってのはこう」と言いたいわけじゃない。
私が伝えたいのは。二卵性の双子は別に面白いもんじゃないが、皆がつい興味を持ち、羨ましく感じてしまうくらいには、楽しい関係性を築ける間柄だ、ということだ。やや自慢になって失敬。一人っ子や兄弟姉妹がいる方にもそれぞれの「自慢」があると思うので、寛大な心で見逃していただきたい。
 
とはいえ、打ち合わせ冒頭の雑談で1から10まで説明するのはかなり面倒なので、「姉妹いますか?」「二卵性の双子がいますよ。ほぼ姉妹みたいなもんです」でさっさと本題へ入るのが最近のお決まりだ。
 
 
 
 
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