夕空をみたぶん、あなたは幸せになる
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記事：ナオ（ライティング・ゼミ2月コース）
最近、夕日や夕空をみましたか？
このまえ、いつ見たか憶えていますか？
誰かと一緒に夕日をみたのは、どこですか？
ハーバード大学の成人発達研究では、75年間もの追跡調査において、生活の様々な要素と幸せ度合を研究している。生活習慣と病気の相関、人間関係と幸せの相関。それらを、ハーバード卒業生および貧しい市井の人々とで比較分析。調査対象となる人々が生きている限り、現在も続けている。
わかったことは、ハーバード卒業生であろうとなかろうと、幸せと関係するのは、信頼できる人間関係があること。人数は問わず、一人でもいい。信頼できる人との人間関係があれば幸せなのだ。
残念ながら夕空や夕日をみた回数と幸せ度合については、調査項目に入っていなかった。そういうわけで「夕空や夕日を見たら、そのぶん人生が幸せになる」との統計的エビデンスは得られていない。
でも、エビデンスはなくても真実は真実だ。
＜夕空や夕日をみたぶん、あなたは幸せになる＞
夕方、青い空がだんだん黄昏れ、ピンク色に染まってくる。
日によってオレンジ色や黄金色に輝いてみえるときもある。
赤ほど強くなく、ピンクやオレンジが夕闇に向かう人々を暖かく包む。
ピンク色の心理的効果： 幸福感、リラックス効果。 例）赤ちゃんの肌の色
オレンジ色の心理的効果： 安堵感・親近感・食欲増進。 例）火、太陽
昼でも夜でもない、あわいの時間、
青とオレンジ・ピンクが混ざったときの、なんとも言えない色。なんという色だろう？
毎日違う夕空に目を向けるひととき、
それが数秒であっても、まぎれもなく「いま、ここ」を味わっている瞬間。
ふと自分に戻るマインドフルネスな時間。ほっと緩み、安堵、カタルシス、癒しがやってくる。
＜夕空や夕日をみたぶん、あなたは幸せになる＞
先日、京都でみた鴨川に映るあかね雲がとても美しかった。
いいなぁ、こんな景色が日常だなんて羨ましい。
友人に「夕日はどこで見るの？」と尋ねたら、「えっ、どこでも見られるよ」と言われた。
京都市は高さ規制があり、最高45mまで、地区により6段階に規制している（ちなみに京都タワー131m、これは別枠）。京都では、鴨川でもどこでも広い空が見える。
東京では、ビルの谷間から夕焼けを探す日々だ。
強化ガラスを壁面に使った高層ビルが増えたため、空が切り取られる反面、反射してきれいな夕焼けが出ていることに気づかせてくれることもある。
でもビルで空が塞がれることには変わりない。
東京23区内で美しい夕日や夕空を思いっきり眺めようとしたら、皇居周辺、上野公園、代々木公園、青山墓地などだろうか？ 日常的には、広い道路や歩道橋、電車で河を渡るときがチャンスだ。
制約があるものの、都会の生活でこそ夕日や夕空は重要。
気ぜわしく余裕のない日々、これをやっていて先につながるのだろうかという不安。
それらを抱えながら生きている僕たちに、誰にでも・無料で魅せてくれる。
残業確定した夕方、トイレへ行く途中の窓から空をみたとき。
一緒に頑張ったメンバーと見上げた夕空。
そんな瞬間が、僕たちの内側を潤してくれる。
そういえば長野の高原で、大きな空が刻々と色を変えていくさまは見事だったなぁ。スマホで撮った写真、色調整したのかと友人からツッコミが入るほど見事なグラデーションだった。
日本各地にある美しい景色。太平洋に沈む夕日、ダイヤモンド富士、アルプスの山に沈む夕日、島々が浮かぶ瀬戸内海に沈む夕日、日本海に沈む夕日……当たり前のようにそこにある。
＜夕空や夕日をみたぶん、あなたは幸せになる＞
夕方は、仕事をしているから見る暇なんてナイよ！
窓のない場所で働いているんです。
そんな余裕があるから幸せなんだよ。
いろいろな反対の声が出るかもしれない。
でも私は声を大にして言いたい。夕空をみたぶん、あなたは幸せになると。
外に出て、真上を見上げたらそこは空。
別に、誰かのために空が美しく色づくわけじゃない。
でも誰にも等しく、惜しげもなく見せてくれる。
夕日は、一日を包み込んでくれるように穏やかで暖かく、自然の懐の大きさを感じさせる。刻刻と沈む夕日に、宇宙の星の営みのなかで生きていることを思い出す。
夕空は徐々に青さを増していく。雲が形を変え、さっきまで白かった雲がいまはピンク色。ほんの数分の違いだ。
見たら写真に撮りたくなるかもしれない。そして誰かに送りたくなるかもしれない。
あなたのスマホに、夕空の写真が送られてきたことがあるかもしれない。
SNSに写真をアップしてくれる人だっている。
感動。
それしかない。
それがある。
見ないわけにいかないじゃないか。
もし目の端に夕空が見えたら……夕日が射していたら……
そっちの方へ視線を向けてみよう。なんなら角を曲がって見てみよう。
もうあなたも思っているだろう。
夕空を見よう、たぶん、幸せになる。
＊＊＊
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