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老舗料亭3代目が伝える 50までに覚えておきたい味

はじめに《老舗料亭3代目が伝える50までに覚えておきたい味》


記事:ギール里映(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
記憶はいつも、食べ物と共にあります。
 
昨日、何食べた?と訊かれて、即座に答えられないことがよくあります。普段私たちはそれほど、食べたものをいちいち覚えるようなことをしていないからです。なぜなら、食べることは日常の行為だから。人はお腹がすいたら食べ、それが1日3回、毎日死ぬまで続きます。食べたものを全部覚えておくことなど、到底できないことでしょう。
 
しかし、なかには忘れられない味というものがあります。
 
小学校で泣きながら食べさせられた給食の味や、受験のときにお母さんが作ってくれたカツサンドの味、初めてのデートで食べたチョコレートパフェの味。生まれてから何万回も食べている食べ物のなかで、忘れられない味というものが、どんな人にでも必ずいくつかは存在するものです。
 
なぜなら人の記憶は、食べ物と繋がることで、より鮮明に残るからです。
食べ物は、人の感情を大きく揺さぶる力があります。
 
お祝い事の席では必ず、美味しい食事とお酒が供されます。それは食べることで幸せな気持ちをますます高めることができるからです。
また、お悔やみの席でも必ず、美味しい食事が供されます。それは食べるものが人の心を癒し、沈む気持ちを助けてくれるからです。
食べるものは、人の体を作り、健康を支えるものだということはよく知られていることですが、また同様に心を作り、感情を支えてくれるものだということは、あまり知られていないかもしれません。
 
食べることをただ、空腹を満たすためとして捉えるならば、それでは他の動物とまったく変わらない。生命活動を維持するために食べなければならないのは、動物ならばあたりまえのことです。
 
しかし人が食べるのは、ただ空腹を満たすためではありません。
 
人は、実りある豊かな人生を送るために、食べることで自分の感覚を研ぎ澄ますために食べているのです。
 
食べる時間が豊かであればあるほど、その人生は豊かな記憶で溢れていきます。温かな食の記憶が溢れている人は、いくらお金がなくとも、いくら不幸のなかにいたとしても、心に温かさを感じて生きていくことができます。
 
また反対に、いくらお金がたくさんあったとしても、食べものにまつわる記憶が貧しい人は、心に寂しさを抱えて生きていきます。
 
食べかたは、生き方なのです。

 

 

 

「君が何を食べているのかを私に言ってくれたまえ。そうすれば、私は、君がどのような人であるのかを、君に言ってあげよう」(ブリア・サヴァラン)
 
食べているものでその人がどんな人かがわかる、と言ったのは、フランスの政治学者ブリア・サヴァランでした。美食家でもあるサヴァランは、その著書「美味礼讃」(原題:「味覚の生理学」)で、ガストロノミー(美食学)とは料理と文化の関係を考察するものであり、決して飽食や美食を語るものではないと定義しました。
 
つまり美食とは、ただ美味しいもの、高級なものを食べ歩いて、その蘊蓄を語るものではありません。絵画、写真、舞踏、音楽、彫刻、文芸、建築、といった芸術の体験だったり、物理学、数学、化学、生物学といった学問だったり、さらに人類学、歴史学、哲学、社会学といった、あらゆるジャンルの学問と同等に並んで、その人の人間性を豊かに育むものです。
 
食べることは、人の生きてきた歴史の記憶を作ります。
 
子どものころは「全部食べなさい」と叱られながら、いやいや食べていた野菜も、大人になるころには「この苦味がいいんだよね」と、却って好きになることもあります。
学生のころ大好きだったアイスクリームは、大人になってからは「甘くて食べられない」になったりします。
 
これは、自分の味覚が変わったというよりも、自分の経験値があがったからです。味覚は人の経験値とともに、ますます豊かになっていくものなのです。

 

 

 

人生100年時代と言われる時代になりました。
世界一の長寿国である日本人は、女性で89歳、男性で81歳が平均寿命といわれているぐらい、日本人の人生は長くなりました。
50歳はその中間地点。
 
それまでの50年食べてきたもので、これからの残り50年の生き方が変わります。
 
あなたは、どんな食べ物を、どんな風に食べてきましたか?
 
50歳といえば、普通であれば仕事でもそこそこやり尽くして、定年までの10年間をバリバリ過ごす人もいれば、若くして成功したからと、早々とリタイアを考える人もいるでしょう。
もしくはまだまだこれから、まだ何者にもなれていない自分に歯痒い思いをして、これからの人生に不安を抱える人もいるでしょう。
 
どんな生き方をしてこようとも、50歳とは、自分の生き方を振り返り、そこから残りの人生に向けて再スタートを切るタイミングです。
そんな50歳を迎えるまでに、どうしても食べておいてほしいものがあります。
 
ただ美味しいというだけでなく、あなたの残りの50年が、もっと豊かな時間となるために、これだけは食べておいていただきたいというものを、京都の老舗料亭3代目である私が、御指南差し上げたいと思います。
 
よろしゅう、おつきあいくださいませ。
 
 
<第1章につづく>
 
 

□ライターズプロフィール
ギール里映(READING LIFE編集部公認ライター)

アラフィフ、食べかた研究家。京都の老舗料亭3代目として生まれ、現在は東京でイギリス人の夫、息子と3人ぐらし。食べることが好き、が仕事になり、現職は食べるトレーニングキッズアカデミー協会の代表を勤める。2019年には書籍「1日5分!子どもの能力を引き出す!最強の食事」、「子どもの才能を引き出す!2ステップレシピ」を出版。

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