チーム天狼院

【予備校も参考書も必要ないです!】書店に行けば、京大入試の「世界史」で高得点を取れる理由 ≪リーディング・ハイ≫


 

こんにちは、京都スタッフ三宅です。
私は現在天狼院書店に関わらせてもらいながら、京大の大学院に通っています。
そんな私も、もはや5年前になりますが、受験生だった時代がありました。

※あ、今日の記事は「天狼院で世界史講座やります!」って話じゃないですよっ。笑

さて、私が住んでいたのは田舎だったので、都会にあるような予備校には通っていませんでした。あと大きな本屋さんもなく、手に入る参考書の種類も少なかった。そして学校は、前年度の現役京大合格者ゼロ。あ、あてにならねぇ!(先生大変お世話になったのにごめんなさい、当時の私はそう思っていたんです)
あらまーどうやって受かろうかなぁ私。

私の志望大学は、京都大学文学部。
さーてどうするべ! というわけで、私が考えたのが、こちら。

「いやー世界史をなんとかせんと」

はい、どうでもいい方はとばして頂いていいのですが、京大入試というのはセンター試験よりも二次試験のほうが重視されるんですね。そして文学部は他の学部に比べ、二次試験での「社会」の配点が割と高いんです。
で、二次試験の科目のうち、国語はもともと得意。数学はもともと苦手。でもたぶんこの二つは他の受験生も同じで差がつかないだろうなー。(文学部行きたいなんてやつの大半は、国語が好きで数学が嫌いなんですよ……) あとは英語と社会。英語は地道にコツコツやるしかない。となると、社会は、予備校でうまい教え方されてそうだから、都会の子たち強そう。差が付きそう。うん、配点の高い社会でなんとか取れるようにならないと受からないなー。
……とまぁぼんやりしてるんだかしてないんだかな思考で受験勉強を始めた私は、二次試験の社会として選択している「世界史」に注目しました。

 

そして何を思ったか、私が真っ先に向かったのは、参考書コーナーの大きくない、町の小さい書店でした。

 

さて、一年後。
無事私は京大文学部に合格し、世界史ではちゃんと高得点を取れていました。書店で逃避ばっかりしてたわけじゃなかったのね! おめでとう!

そしてあれから5年、書店に関わるようになった私は思います。

 

「世界史って、今考えても、楽しい科目だったよなぁ」と。

 

なぜなら。

私の受験「世界史」攻略法は、ほかならぬ「書店」に詰まっていたから。

 

そう、お気づきの方も多いかもしれませんが、私は「本」を使って世界史を学びました。
参考書じゃありません。
小説や漫画を使って、世界史を理解していたんです。

 

そんなわけで、前置きが長くなってしまいましたが、
今日は私が受験生の時利用していた「高校の世界史を学ぶのに使える本」をご紹介いたします!
歴史が苦手な方も大丈夫、小説や漫画としてめちゃくちゃ面白いものしか紹介してないから!!!
あと受験生でも大丈夫なようにそんな長くないのご紹介してますから!!!

大人になって「もっかい世界史勉強したいかも~」という方も、ぜひ。

歴史好きというと日本史好きが多いですが、世界史だって面白いんだよーーーーーーう!

 

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1. 古代

古代。古代ねー。古代はそもそもロマン。大好き。
なんで大好きになったのかというと、はい、こちら。

◆漫画『天は赤い河のほとり』(篠原千絵、小学館)
◆小説『太陽の王 ラムセス』(クリスチャン・ジャック、角川書店)
◆漫画『ヒストリエ』(岩明均、講談社)

最初のふたつはほぼ同じ時代(古代メソポタミア)描いてるので、どっちか読めばいいんですけどね。私は大好きなんですよこの時代が!!!
どっちも読みだしたら止まらないっ。まずいっ。面白すぎる。前者は完全なる少女漫画ながら、ヒッタイトという世界史だと「鉄」としか出てこないマイナースポットが舞台。いやーこの漫画ちょっとアレなんですよっ、えーと刺激が強いんです(笑) 後者も読みだしたら止まらない歴史小説。読めばあなたもラムセス二世のファンになること間違いなしだぜ。
ただどちらも長いのが欠点? ……あれ、受験生におすすめできるのかは微妙? いや私は読んでましたね……。

そして『ヒストリエ』は、私がアレクサンドロス大王やホメロスに胸きゅんするようになったきっかけの漫画ですね……! 『寄生獣』の作者さんの歴史ものとか、面白くないわけないじゃないですか!!! 好き!!!

 

2. 古代中国

◆小説『項羽と劉邦』(司馬遼太郎、新潮社)

『三国志』かと思いましたか!? だって三国志長いんだもんーーー!! 受験生には、三巻で終わる項羽と劉邦あたりで。
私は実は中国史苦手(名前が覚えられん……)なのですが、これは面白かった! さすが司馬先生っ。中国史に苦手意識のある方こそ、ここから入ってほしいっ。中国の「王様」がいかに強いかがわかりますからね。
そして受験生は、この本、世界史の地図と見比べながら読むとめちゃくちゃ勉強になると思います! 「おおおこのあたりを通って行ったのか」とか思うのめっちゃ楽しいのでぜひ。

 

3. 中世ヨーロッパ

◆漫画『チェーザレ 破壊の創造者』(惣領冬実、講談社)
◆小説『王妃の離婚』(佐藤賢一、集英社)

世界史勉強する時になんで「漫画」が偉大かって、「その時代の空気感ごと知れるから」なんですよね。やっぱり、絵があると理解しやすいから。
あとはこの漫画、もう、主人公のチェーザレがかっこいいのなんのってっ。(世界史には出てこないんですけどね、チェーザレ……。泣。)チェーザレファンになって読んでいくと、この時代の「ルネサンスの裏側」(教会がいかに力を持っていたか、大航海時代の空気感とか)が分かるので、大変おすすめな漫画です。大好きー!!! これにハマったら、塩野七生さんの『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』(新潮社)の方も読みましょう。うぇるかむ、イタリア沼。

『王妃の離婚』は、ルイ十二世の離婚訴訟を扱った、いわば「中世版・リーガルハイ」。この時代は「教皇と王」の関係を理解しておくのが一番のポイントですので、ぜひ……っていうか面白いんだよなーー。法律なんて全然興味ないはずの私が止まらなかったんだよなー。

 

4. 近代中国

◆小説『蒼穹の昴』(浅田次郎、講談社)
◆小説『ワイルド・スワン』(ユン・チアン、講談社)

はい出ましたよ『蒼穹の昴』!!! 受験生でも徹夜で読んじゃうくらい面白いんだよ……。科挙の仕組みとか、この当時の中国にとっての「外国」に対する意識とか、理解しておくとぐんと近代中国史が分かりやすくなりますので……っていうかこれ読むと、資料集ですました顔してる袁世凱とか康有為に「ふおおおお」って興奮できるようになります。(変態)

あと『ワイルド・スワン』を読めば、文化大革命が論述試験で出たとき満点とれる!!(実話) それくらいしっかりとしたノンフィクション小説です。共産主義って何ぞや、という方ぜひ読んでね。面白いよ。

 

5. 近代ヨーロッパ

◆漫画『オルフェウスの窓』(池田理代子、集英社)
◆漫画『ヘタリア』(日丸屋秀和、集英社)
◆小説『オリガ・モリソヴナの反語法』(米原万里、集英社)

『ベルばら』もいいですが、池田理代子さんは『オルフェウスの窓』もいいんですよー!! ロシア革命が題材なのですが……実はこれ、私も最初読んだ時は途中でやめちゃったのですが(おい)、世界史でロシア革命をさらっと勉強してから読むと、面白さがぐんぐんと増すんです!! 「あああそこでそういう運命!」って泣きます。

『ヘタリア』は、国を擬人化したほのぼの四コマ漫画なのですが、実はめっちゃ「世界史ミニ雑学」が書いてあるんです。あと、国がキャラ化されるので、国が多すぎてわけわからん近代史も、「そうだよオーストリア君とハンガリーちゃん、くっついたり別れたりしてたよ!!」と覚えやすくなる。助かる。受験生の息抜きにぴったり。

そして米原万里さんは私のだいっすきな作家さんなのです。エッセイが有名ですけどね、この本が一番の傑作だと思ってます。冷戦の時のソ連について、こういうミクロの視点からの物語を読んでおくと、世界史の中で大きな流れを聞いても全体がとらえやすいと思います……し、もうこの小説そのものが傑作すぎるので、世界史とか関係なくても問答無用におすすめなのです。

 

6. で、教科書と資料集に戻る。授業も聞こうね。

はい、ここまでお疲れ様でした。

受験生の方は、ここで「チェーザレのいた時代!」とか「文化大革命!」とかいった“点”を、
教科書を読んで「こうつながってくのかー!!」と理解して“線”にしましょうね。
そして資料集を読んで「あああこの時代はヨーロッパはこうでアジアはこうなのか、そこにイスラムも加わるのかっ」と“面”にするんですよ。

全体の流れが大雑把に理解できると、細部も覚えやすいですからね。ああーこの作業がなんだかんだ一番楽しいんだよなぁ……。「これとこれがつながる!」と思う快感で世界史はできてるんですよ……うっとり。

あと学校の授業も聞きましょうね。なんだかんだ耳から聞いたことって覚えやすいですからね。いつの時代も、神話は「語られるもの」ですから、世界史の先生を物語の語り部だ! と思い込んでしまいましょう。
私は世界史の先生が大好きだったので、本読んだこと先生と話せるのも楽しかったですねー。

 

**

高校で世界史をはじめて習った際、私は思いました。

「すげえっ、伏線の回収の仕方が完璧だ………!!!!」

そう、世界史とはどんな大河ロマン小説も叶わない、一大スペクタクル絵巻なんです。
だって現実世界の物語だもの!!!!
しかも現在進行形!!!!
こんなに面白い物語ないですよー。読まないともったいないです!

 

みなさんが素敵に無敵な世界史ライフを送れることを心からお祈りしております。
そして一人でも多くの世界史好きが増えることを期待してます。
高校生のみなさんは勉強がんばってくださいね。本読みすぎないようにね!!!笑
ではでは。


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