オリンピック閉会式のトーキョーショーで感動した人に絶対読んでほしいー!!!書店員がガチで勧める近未来SF作品!《リーディング・ハイ》
オリンピック、盛り上がりましたね!
そして本日、閉会式で行われた、2020年の東京オリンピックに向けたショーが話題になりました。
マリオやらドラえもんやらが登場する楽しい映像が流れた後、中田ヤスタカさんや椎名林檎さんが手がけた音楽とともに流れる、近未来的な、不思議なダンスショー。
プロジェクションマッピング等の日本の科学技術をフル活用した、すごくかっこいいショーでした。
例に漏れず、私も「すごーい」とテレビにかじりついたのですが、
あのショーを見ていて一番思ったのが、
「なんか、日本って、近未来的なイメージの国に近づいてる……!?」
ということ。
今までああいう場における日本といえば「和」なイメージを全面に押し出していたと思うのですが、今回は近未来的なイメージと和のイメージがうまく融合されていましたよね。
見ていて、エキゾチックな雰囲気も残しつつ、SFちっくで、科学技術と都市が融合したショーだなぁと思ったのです。
そして、はっと気がつきました。
この感覚、デジャヴ。
このイメージ、どっかで見たことがあるぞ。
私は「ああああ」と叫びました。
「『ニューロマンサー』だ!!!」、と。
昔、ウィリアム・ギブソンという作家さんが書いた『ニューロマンサー』というSF小説。
この小説は、近未来的な日本が舞台になっております。
なんというか、あの小説で描かれた日本のイメージが、今回のショーとぴったり重なっていたのです。
するとどんどん、日本を舞台にしたSF小説が浮かんできました。
日本の日常の中に入り込んだ、VR、AR、ロボット、電脳空間……。あの小説に描かれていた生活がもしかして現実に!?
今まで「日本の文化」といえばまず「和」だったけれど、
これからは、外国に先駆けて、SF大国JAPANになるのかもしれない……!?
と、ショーを見ている間、私はそんな妄想を膨らませてしまいました。
というわけで!
「日本の未来はSF大国」!?
そう思ってしまう小説を、一挙ご紹介でございますっ!
夏の終わり、SFの世界にどっぷりつかるのも一興かと思いますよ!
***
1.ニューロマンサー(ウィリアム・ギブソン、ハヤカワ文庫SF)
「港の空の色は、空きチャンネルに合わせたTVの色だった」――痺れませんかこの書き出し! 今読んでも色褪せない、1984年に書かれたサイバーパンクの先駆。
はじまりの舞台は、未来の日本・千葉シティー。トーキョーじゃありません。脳とコンピューターを直結できるようになった時代に佇む、犯罪が溢れかえるハイテクと背徳の街・千葉。かっこよすぎるぞ、千葉。
なんかもう男の子のメカごっこを見てるかのような、ハイテク言葉の洪水に最初は圧倒されます。慣れたらこっちのもの、あなたもきっと電脳空間の渦に飲み込まれることでしょう。『マトリックス』や『攻殻機動隊』の元祖となった小説、日本に生まれたからには一度読んでみては。
2.know (野崎まど、ハヤカワ文庫JA)
こっちの舞台は、和の街・京都! しかし内容は、脳みそが拡張される技術を駆使した超ハイテク社会。この小説の何が面白いって、SF的要素がよくわかってなくても、ストーリーに圧倒されるんですよ!!! ラストのどんでん返しが、ほんっとうに面白いの! いやー野崎まどは天才だ、と舌を巻きます。
アクションあり、政治劇あり、美少女あり。しかし「けっきょくこの情報過多の時代で、知るってどういうことになるの?」という問いに、ここまで真正面に取り組んだ本、ほかにないと思います。
ウエアラブル、ビッグデータ、人工知能……日本の技術の行き着く先は、きっとここに描かれた世界。
3.煙突の上にハイヒール (小川一水、光文社文庫)
「ヘリコプター」とか「ロボット」とか、まるでドラえもんみたいに、様々な近未来的小道具が題材となる短編集。SFとかむずかしくてよくわからんって方におすすめしたい!
近未来というより、もう2020年にはどれも実現されてんじゃないかなぁと思うような技術たち。しかし技術がいくら進んでも、それを使うのは、変わらず私たち人間なのです。どんなに技術が進んでも、彼氏と別れる時には別れるし、ネクラな性格は変わらないし、他者にはいつまでも残酷だ。だけどそれでも、私たちは進むしかありません。だって文明はもう始まってしまったもの。
SFって、科学技術を使って、私たち人間をぴかっと照らす物語のことを言うのかもしれない、と思う一冊です。
4.秘密(清水玲子、白泉社)
漫画もいってみましょー! っというわけで現在映画公開中、名作少女漫画。映画もいいけど、漫画もぜひ!! 読んでください!! 少女漫画ですがどう考えても男性が読んで面白いですから!!!
死んだ人の脳の中身が見れるとしたら……あなたは、見たいですか? 逆に、あなたが死んだとき、脳の中身が見れるとしたら……あなたは、見られたいですか?
私たちは簡単に現実を歪めます。妄想を重ねて現実を解釈する。感情を込めて記憶するから、愛おしい人と憎い人が同じように見てるわけがない。幸か不幸か、この漫画を読むと、そんなことに気づいてしまうんです。
ああーこの技術が開発されてほしくないよー脳の中身見られたら困るよーっと思いながら、未来の日本の犯罪調査を覗いてみますか?
5.レダ(1)~(3)(栗本薫、ハヤカワ文庫JA)
理想社会、と言われる社会の中でも、人は苦しまずに成長できないんだよなぁ、と思う。成長とは痛みが不可欠なんです、たぶん。だから少年や少女が、自分らしさや人を愛することを手に入れていく過程には、いつもひりひりするような痛みが伴うんです。
理想社会の中で、主人公の少年は、不思議な少女・レダに出会います。その出会いが少年を変えてゆく……というとよくあるSF世界のボーイ・ミーツ・ガールに聞こえるけれど、この小説は、その設定をもとに、本当に真摯に少年少女の成長を描きます。その様子は、SFというジャンルを超えている気すらします。
自分が自分であるってどういうことなのか、本気で考えたい10代のあなたにおすすめしたいSF小説です。
***
さてさて、私たちの社会は一体どこへ向かってゆくのでしょうね?
生きてるうちに体験できるかわからないことも、本を読めば体験することができる。
やっぱりSFって素敵だな、と私は思います。
来る2020年に向けて、「未来の日本」を少し先取りしてみてはいかがでしょう?
ほかにも近未来の日本を描いた中でおすすめ作品があれば、ぜひ教えてくださいね!
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