チーム天狼院

巨乳で悪いか!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:中村雪絵(チーム天狼院)

「こちらはDカップまでのサイズ展開となっておりますね」
……またか。また巨乳を差別するのか。
「隣の、こちらのデザインでしたらGカップまで展開がございます。お胸をスッキリ小ぶりに見せてくれますよ。いかがですか?」
「いや、ごめんなさい、また来ます……」

下着を買いに行くとだいたいいつもこんな感じになる。
可愛いデザインのブラはDカップまでのサイズ展開で、それ以降はちょっとおばちゃんっぽいデザインになることが多い。
デザインがまあまあ可愛いやつだと『お胸をスッキリ小ぶりに見せてくれる』とか言ってくる。
なぜか巨乳がコンプレックスだと決めつけてくるのだ。
私は私のおっぱいを、最大に見せつけたいと思っているのに余計なことをしてくる。

私は私の身体の中で、自慢できるパーツがおっぱいしかない。
頭が大きく、足が短く、太り気味で、お尻が大きく、6頭身の私。

そんな私の唯一の希望はおっぱいだけなのだ。
それなのに、おっぱいが大きいことはいけないことのように言ってくる。
おっぱいが大きいことがいけないことならば、私の身体は全部ダメじゃないか!

まったく、誰がいつ『スッキリ小ぶりに』見せたいと言ったのだろう。

小さい胸を大きくしたい、とか、
大きい胸が逆にコンプレックス、だとかそういうのはよく聞くが、
大きい胸をちゃんと大きく見せたい、というのは、言いにくい。

調子に乗ってる人だと思われるか、
性的アピールをしたい人だと思われてしまう。

いや違うんだよ。
私は私の唯一の希望パーツ、おっぱいを綺麗に見せたいだけなんだ。
なのに、抑圧されたブラをつけねばならないなんて、嫌だ。
『スッキリ小ぶり』なんて嫌だ。たわわであってほしい。たわわであってほしい。大事なことだから二回書いた。それほどたわわであってほしいのだ。

というか、だ。
なぜ、こんなにも自分の気に入ってる部分を気に入っていると言いづらい世の中なんだろう。

おっぱいだけの問題じゃない。
脚が綺麗な人、肌が綺麗な人、目が綺麗な人、いろいろいると思うが、
褒められても「そんなことないですよー」と言わなければならない空気になるのはなんでだろう。

だから褒めた方も「いやいやー、ほんときれいですってー」と言わなければならず、
褒められた方はまた「いやいやー、ほんとに、全然私なんか……」と言わなければならない雰囲気になる。

あれはなんなのか。

また面倒なことに、褒める方も「そんなことないですよ」を求めているところがある。
「いやいやー」のやりとりを求めているところがある。

「おきれいですね」「ありがとう」で済む話なのに、
「いやいやー」のやりとりは結構長く続く。

例えばこうだ。

「雪絵ちゃん巨乳だねー、うらやましい」
「いやいやー、太ってるだけですよー」
「いやいやー、そんなことないよー、うらやましいよー、私胸ないからー」
「いやいやー、全然、ほんと、胸なんて脂肪だし、より太って見えるからコンプレックスなんですよー」
「いやいやー」

このエンドレスだ。
なんなんだこの地獄のようなやり取りは。
なんで褒められたのにわざわざ自分の嫌なところをいっぱい言わなければならないのだ。
こんなんじゃ褒められることすらプレッシャーになってくる。
調子に乗らない人間かどうか試されているような気持ちになってくる。
だから褒められるのが苦手な人、という人も結構いると思う。

実際、昔の職場の先輩が
「あの子のこと褒めたら『ありがとうございます』って言われちゃってさー、調子乗ってるよね」
と言ってるのを聞いたことがある。そんなの恐ろしすぎる。踏み絵だ。トラップだ。なんでお礼を言ったのに悪口を言われなければならないのだ。

こういう文化が、人を抑圧している気がしてならない。
謙遜は本当に美徳なのだろうか。
いやむしろ、この「いやいやー」のやり取りは謙遜などという崇高なものではない。
卑下だ。
自分を劣ったものとして卑しめることだ。
大きい胸を大きく見せてなにが悪いというのだろう。巨乳で悪いか!
私は絶対、大きい胸は逆にコンプレックスです、肩とか凝るしー、みたいなこと言わないぞ。
『スッキリ小ぶり』に見せないぞ。
褒められても絶対に「いやいやー」と言わないぞ。
「そうです私は巨乳です。ありがとうございます!」と言うぞ。
何を言われようと負けないぞ。

だから今度、あのランジェリーショップに行ったら
「すみません。大きい胸を大きく見せるブラください」
と言おうと思っている。
絶対に引かれると思うけど、言おうと思っている。

***

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