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チーム天狼院

【当たり前にこそ、感謝の気持ちを。】鏡が割れると、不幸が起こる?《海鈴のアイデア帳》


天狼院スタッフの海鈴です。

 

先日、鏡を割ってしまいました。

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冷蔵庫の上に置いていたものなのですが、何かの拍子に床に落としてしまったんです。割れ方も、真っ二つ半分に折れるというよりは、きれいな蜘蛛の巣状に、粉々に割れてしまいました。

物を落として割ってしまったのも久し振りだったし、すがすがしさすら感じるような、あまりにも見事な割れ方だったので、直後しばらく放心状態でした。

 

しかし、どこからか、ふつふつと不安がこみ上げてきたんです。

鏡が割れると、不幸が起こる―――

誰かに聞いた、こんな話を思い出したからです。

 

そもそも、どうして鏡が割れるのは不吉の前触れと言われているのでしょうか。

鏡は、自分の姿がそのまま映るものであり、いわば自分の分身のようなもの。

その自分の分身を現すものが割れるということは、自分そのものに傷がつくということであり、決していいイメージは持ちません。

 

でも、実際に鏡が割れた時に、ある対処をすれば不幸になるのを防ぐことができると言われているのを聞いたことがあります。

それは、割れてしまった鏡の破片を捨てるときに、感謝を伝えながら捨てること、だそうです。

なぜなら、自分の姿を長年映してきた鏡には、魂が宿っていると考えられ、その魂を対象物から抜くことが必要だとかなんとか・・・

 

これ、すんごい心当たりあります。

 

例えば、玄関に置いてあるスリッパにつまづいたとする。蹴飛ばしてしまい、ぽーん、と遠くに飛んでいくスリッパ。

今であれば、

「スリッパ出しっぱなしじゃん、ちゃんと元の場所にしまわなきゃ」

とか思うと思います。なんという味気のない対応でしょう。

 

そこで、小さい頃の私がどうしていたかと言うと。

幼い私は、思いっきりの情念を込めて、スリッパをさすりながら、「蹴っちゃってごめんね、ごめんね」と謝っていたのです。めちゃくちゃ覚えてます、これ。

 

そう、私は、ものにはすべて意志が宿っていて、少しでも対象物をないがしろにしようものなら、その怨念から、後に悪いことが起こってしまうだろうという考えを持っていました。

 

 

今でもすごいなと思うのが、

「おばあちゃんのぽたぽた焼」っていうお菓子ありますよね。その小袋の裏に、「おばあちゃんの知恵袋」みたいな豆知識のミニコラムが載っていたと思うんですけど、そこに可愛くていかにも優しそうな、おばあちゃんのイラストも一緒に描いてあるんです。

私、その食べ終わった後の小袋をゴミ箱に捨てられなくて、ずっと取っておいてしまうような子でした。

 

なぜなら、そのおばあちゃんにすっごい感情移入しちゃって、包装紙捨てるイコールおばあちゃんを捨てるっていうことになってしまい、ゴミ収集車に入れられ、そして最終的には焼却場で灼熱の炎に焼かれて一生を終える、おばあちゃんが可哀想そうで可哀想で・・・

 

今考えたら、結構ぶっ飛んだ思考してたんですねえ、私。(笑)

 

 

 

けれど、いつの間にか、そんな風にものに対して心から謝ったり、同情するようなこともなくなっていきました。

成長と共に、自分はとても立場のある存在で、ものがあることが当たり前だと思うようになっていきました。

 


拾うものはあっても、捨てるものはなかと。

(出典)『佐賀のがばいばあちゃん』 著:島田洋七


確かに、小さい頃のまま、どんなものに対してもイメージを膨らませすぎて感情移入していたら、なかなか日常生活を送るのも大変でしょう。けれど、今となっては、ものがそこにあることが当たり前だと思い込み、ものが私の手元にたどり着くまでにどんなプロセスを踏んできたのか、私の手を離れた後にどんなルートで、最終的にどんな形状として、ものとして役目を終えるのか、まったく考えなくなりました。

だって、そんなことは、ものを使うときにはまったく必要のない情報だからです。

 

けれど、やっぱりものが私の手元にあるということは、それは必ず、この世のどこかの誰かの手を介しているわけで。

その誰かが、自分の時間を使い、汗水垂らして働き生み出したものが、いま目の前にある「もの」なのです。

 

そう考えたら、ものを大切に扱うということは、人の想いも大切にするっていうことになるんじゃないかな、そう思いました。

当たり前に自分の目の前にあるものって、そんな陳腐な理由から存在しているものじゃないと思うんです。必ず、誰かの想いがそこにはあるはずで。

だから、「鏡に魂が宿る」という話も、あながち迷信ではないのかな、と。

 

 

 

「おーい。最近、お前、自分におごってないか?」

 

「ちゃんと、当たり前のことに感謝を気持ちを持てているか?」

 

 

あの日、私の目の前で、地面に身を投じながら落下していった鏡の声が、今なら聞こえてきそうです。

 

 

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