14歳からもがき苦しんだ私が見つけた、正しく「美女」になる方法 《リーディング・ハイ》
記事:ほなみ(リーディング・ライティング講座)
中学生の恋、告白はたしか修学旅行だった。
ふられたのか、ふったのかは思い出せない。
恋人らしさがあったかと聞かれたら、たぶんなかった気がする。
ただ、好きな人ができて付き合っているような形をつくって、いつの間にか崩壊していた。
本当にそれはあっけないもので、壊れた直後は「あ、終わったのか」なんてどこか他人事な気分でいた。
だけど、数週間たって明るみになっていく、友人に彼を奪われていた事実や沢山のウソ。
これがすべての始まりだった。
なんとなく感づいていたものの、裏切られていたことが確信に変わったことや、ウソをつかれていたことへの悲しみ、これらを14歳のわたしはうまく消化することができなかった。
消化しきれなさから自己否定がはじまった。
別れた直後に彼と付き合い始めた友人が校内で 高嶺の花 と称賛されていたこともあって、そこから私は“いかに可愛くなるか”が人生の目標になっていた。
可愛ければ、崩壊することもなかった。
可愛ければ、奪われることもなかった。
可愛ければ、傷つくことはなかった。
可愛ければ、すべてがうまくいく。
誰よりも“可愛く”なって高嶺の花になることこそ、私がこれから生きていくのに一番必要なものだと本気で信じた。
そうなりたくて、それを理想として、一心にがんばってきた。
当時は、前田敦子さんを筆頭に、神7とよばれる伝説的なメンバーが集まっていたAKB48全盛期。
世間では彼女らが“可愛い”のアイコンになっていた。
だから、youtubeにかじりついて彼女らの“可愛さ”をひたすら研究した。
『涙サプライズ』のミュージックビデオの前田敦子をまねして髪を15センチ切り、渡辺麻友の握手会へ行って私とは正反対の彼女の華奢な体形や顔の小ささに「骨格までは変われない……」と自己嫌悪になっていた。
高校を卒業してからは、デビューしたての乃木坂46の圧倒的なルックスの高さに魅了された。化粧や巻き髪を始めたこともあり、その力を借りて彼女らのような顔に近づき、彼女らと同じように髪を巻いた。
そんなことを続けて5年目、20歳になる1日前、「彼女こそが女神だ、なるべき姿だ」そう確信してしまう女性に出会った。
それがドラマ『失恋ショコラティエ』でサエコさんを演じていた、石原さとみだった。
無邪気で可愛らしい女性に見せかけて、小悪魔的な一面をもつ彼女の一挙一動から目が離せなくなった。
『失恋ショコラティエ』を数え切れないほど観て、彼女がしそうなネイルをお店に行ってしてもらったり、ドラマ中で彼女が着ていた服を買ったりもした。石原さとみが表紙の雑誌は衝動的に買ってしまい、スマートフォンのアルバムは石原さとみだらけで時間ができれば眺めて、言葉や表情のひとつひとつを自分のモノにしようとしてきた。
こんな風に私は“可愛くなるため”の努力をとにかく積み重ねてきた。
女優やアイドルの体重を調べて、理想的な体形になるために10キロ痩せて、AKB48、乃木坂46、石原さとみとそれぞれの時期にあわせて“可愛い”とされるアイコンに一生懸命近づこうとした。
日々変わる“可愛い”にふり落とされまいと、この一冊に出会うまで、私はずっとずっともがきつづけていた。
実は、この一冊に出合ったのも、もがいている真っ最中だった。
お盆にはいるすこし前、池袋のLUMINEで買い物をしていた。
旅行にむけてワンピースでも買おうと入った大人カワイイがコンセプトのお店、そこの試着室で立ちつくしてしまった。
「二の腕が……たるんでる……」
着てみたノースリーブスの白いワンピース、丸出しになるだらしない二の腕、ただでさえ大きな体は膨張色のせいか、いつも以上に大きく見える。絶望でいっぱいだ。
不規則でバランスの悪い食事をしていたからかな……二の腕ってどうやったら痩せるんだっけ……痩せたところでこのワンピース私には似合わないんじゃないかな……というかこんな私に似合う服なんてないよもう……。
はじまる、お得意のネガティブ。
15歳から“可愛さ”にもがき始めて一度でもポジティブになれたことはない。
どんなに“可愛い”を目指しても、同じ洋服を着て、同じようなメイクをして、“可愛い”と呼ばれることをしても、それが本当に自分に身についた気持ちになったことはなかった。
むしろ、本家の“可愛い”と自分を比較して「やっぱり自分じゃダメだ……」と、がんばればがんばる分だけへこんでしまう。
その調子で、まったく似合わないワンピースはすぐに脱ぎ捨てた。
そして、どうしたら“可愛く”なれるのか、理想になれるのか、気づくと答えを求めて本屋にかけこんでいた。
「彼に愛される秘訣」「二週間で誰もがふりかえる女性に」「幸せのつかみ方」「愛される方法」そんな感じのタイトルの本が並ぶコーナーになら答えがあるかもしれない。
一縷の望みにたくしてみるものの、一面ピンクで目がチカチカして酔ってしまう。
ちがう。
ちがうの。
私が求めているのは、そういうのじゃないの。
もっと、こう、なんていうか、根本的な。
“可愛い”ってなにか教えてくれる、そういうのを求めているの。
どこへ向かえばいいの? なにが“可愛い”なの?
石原さとみ? 白石麻衣? 渡辺麻友?
私もなにが正しいのかわからないんだから、誰か教えてよ。
そんな思いで本屋をさまよっていた時に目に入ったのが、このタイトルだった。
『美女の正体』
ピンク色のコーナーに似つかわしくない、異質な感じ。
シンプルなタイトルに一瞬で惹かれた。
ここになら、私が求めていた答えがあるかもしれない。
帯にもある「圧倒的な説得力」を信じてみよう。
迷うことなく本を手に取り、会計をすませていた。
そして、この勘は正しかった。
ここには、幼少期から美しいものが好きで、名だたる女優やモデルの写真を撮り続け、現在、多くの雑誌の表紙を撮影するカメラマンのひとりである著者が考えぬいた「美女とは何か」がつまっていた。この一冊の中に、ずっと求めていた理想を手に入れるために進むべき方向、答えがあふれていた。
それと同時に、 私が14歳から積み重ねてきた努力は何の意味もなかった という事実をつきつけられた。
「美女の正体」、それを明らかにするひとつひとつの言葉が胸につきささる。
前田敦子に憧れて髪を15センチ切ったこと、石原さとみを真似しようと何時間も見つづけたこと、無理なダイエットで彼女らに近づこうとしたこと、どれもこれも、思い描く自分に近づく手段にはなっていなかった。
むしろ、形にばかりとらわれるがあまり、そこからはどんどん遠ざかっていたみたいだ。
それでも、不思議と「どうしてあんなことしていたんだろう」って、これまでの自分に後悔はなかった。
ずっと努力の仕方を間違えていたからって、落ち込むこともなかった。
だって、今、なりたかった自分になれる本当の道を見つけることができたんだから。
この一冊とわたしはこの道を進んでいこうと思う。
今度こそ、理想の自分になるために。
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