NHK大河ドラマ『花燃ゆ』に見る書物に学ぶということ《天狼院通信》
天狼院書店店主の三浦でございます。
NHK大河ドラマ『花燃ゆ』の第一回目を観て、僕は強烈に学びたいと思いました。
九州遊学、長崎で書物を胸に抱えながら、時を惜しんで書物を読む吉田寅次郎の姿は、実に美しく映えました。
吉田寅次郎は、その遊学中に長州藩では手に入らない『海防憶測』を熊本藩士宮部鼎蔵から譲り受けます。
『海防憶測』とは幕府の海防の弱さをついた本で、禁書扱いになっていたものだった。旧式の装備では、到底西洋列強には対抗することができないといった内容が書かれてきたもので、それは知識人の間では常識だった。
この書物が、第一回目のキーとなる「小道具」となります。
一方、幼き日の高杉晋作は儒学者の小田村伊之助にこう問います。
「学問は何のためにするんですか?」
これは、僕も含めた視聴者に対する問いかけでしょう。
あなたは、何のために学問をするのでしょうか。
いい大学に入るため?
親を安心させるため?
いい会社に入るため?
自分のため?
儒学者小田村は母親にこう言います。
「お願いします。今しばらく江戸で学ばせて頂けないでしょうか。この日本国を守るために、私はもっと学びたいのです」
小田村伊之助が河原に落としていった『甲陽軍鑑』のラベルの下には、奇しくも、『海防憶測』が隠されていました。
つまり、小田村は、『甲陽軍鑑』を読んでいる振りをして、禁書の『海防憶測』を読んでいたのです。
いったい、学ぶとは、何なのでしょうか。
吉田寅次郎は、叔父の玉木文之進によって、5歳のときから徹底的に鍛えられました。
学んでいる最中に蚊に刺されて、頬を掻けば、痒くて掻くのは己のためだ、と殴られる。
「己のためでなく、公のために学べ」
そのうちに、幼き日の吉田松陰寅次郎は、自発的に本を読みたくなる。
「本は、人じゃ」
本を通せば、昔の人も、世界中の人とも出会うことができる。
「本を通して、人と出会うことで、兄は天命を受け入れることができた」
そして、吉田松陰は、若くして長州藩の山鹿流兵学者として立つこととなった。
皆に問いたい、と吉田寅次郎は言います。
「人はなぜ学ぶのか」
それに対して、吉田寅次郎はこう答えます。
「己を磨くために、学ぶのじゃ」
僕らは、幕末の人々の、100分の1でも真剣に本に向き合っているだろうか。
学んでいるだろうか。
そう考えると、空恐ろしくなりました。
学ぶとは、まずは書物を読むことです。そして、それを通して、「人と出会うこと」であり、実践して、人生を、そして世の中を変えることでもあります。
電子書籍でも、インターネットでも、紙でも何でもいい。
重要なのは、学ぶということです。
志を高く、己を磨くために学ぶ。
己を磨くために学ぶことが、やがて、公のためになる。
はたして、自分にとっての公とは何なのか?
それは、学び、実践することによって、ようやく見えてくることなのではないでしょうか。
学びたい。もっと、もっと学びたい。
たとえば、中学生が大人になりかけた女子に恋焦がれるように、僕は実に青々しい心持ちで学びたいと思ったのでした。
そしてまた、そういった書物を商うという仕事が、改めて尊くも愛おしく思ったのでした。
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