【高学歴女子の苦悩】私たちはガラスの靴を自らプレゼントせねばならんのんじゃないのか! ~京大女子による映画「シンデレラ」の感想~《三宅のはんなり京だより》
映画『シンデレラ』を見に行ってきました。
※ネタバレは盛大にしていると思いますがご了承ください。(しかしこの映画、あらすじほぼアニメの通りで、あんまりネタバレ関係なさそうだとも思っております)※
のっけから失礼致します。
この映画を見て、私が一番最初に思ったのが、ざっくり言うと
「いやシンデレラ何もしてないやんけ!!!!!」ということでした。
『アナと雪の女王』や『イントゥ・ザ・ウッズ』といった最近のディズニー映画をわりと面白く見ていたからでしょうか。おとぎ話を実写化した映画である、ということを忘れ、映画を見終わった私の頭の中を占めたのは「いやシンデレラただのラッキーガールじゃないですか」という盛大なるツッコミでした。(や、まぁそういうおとぎ話だしいいじゃんそれで、というツッコミも入れられそうですが)
映画の中では「優しさと勇気を持つことが何より大事☆」というメッセージが明確に打ち出されるのですが……私、シンデレラがいつ優しさと勇気を使ったのかワカラナイのです。見出せたのは、ネズミに対する優しさと、王子様の前へすっぴんオシャレなしで出て行く勇気くらいのものじゃないですか!?優しさと勇気の定義を教えてくれディズニー、ってな気分になりました。
映画を見終わった後、隣にいた京大の女友達とひとしきり感想を言い合ったのですが、出された共通見解が、こちら。
「シンデレラ、受け身すぎるだろう」
いやシンデレラ確かに可愛いし素直だけど、結局何もしてないじゃないか!最後継母のことを「許すわ」とか言っておきながら国外追放してるし!むしろそれってちょっと傲慢なくらいじゃないんかーい!
……そんなささくれだった感想を、二人で言っていたときのことでした。
私たちと同じように、シンデレラを見た後であろう女の子たちが、前を通り過ぎていったのです。
彼女たちは、言いました。
「もうめ~~っちゃ感動した~~!」
…………マジで?
私と友達は、シンデレラへの不満を言いまくっていた口をつぐみました。
女の子たちは、そんな私たちに気づかず、口々に感想を言い合います。
「なんか心洗われたよ~」
「ディズニーって最近キワモノっていうか凝った設定のやつ多かったけど、やっぱ王道はいいね!」
「シンデレラみたいになりたーい!」
女の子たちは、私たちの前を笑いながら通り過ぎました。
一方私たちは、お互い顔を見合わせ、無言で映画館を出たのです。
「……私たちって、心汚すぎかな……」
「スレ過ぎてるんだろうか……」
「心黒すぎ……?」
「もしかしてシンデレラに嫉妬してんのかなこれ……」
あのシンデレラを憧れとして、素敵って思うのがふつーの女子の反応なんだろうか?
ていうか「心がきれいな」シンデレラを「受身すぎる」とかって感じるのって、最早心が汚れてる証拠?
ていうかていうか結局、私たちって、シンデレラに嫉妬して意地悪した継母と同じ側……!?
そんな言葉が私の頭をぐるんぐるんしている中、その友達がぽつりと口を開きました。
「でもさ、私、あのシンデレラに憧れてたら、勉強なんてしてこなかったと思う」
―――ああ、そうだね。
私は、こくんと頷きました。
シンデレラに憧れなかったから、私たちここに来てるんだもんね。
皆さんは、シンデレラに憧れますか?
私はあんまり憧れません。というのも、シンデレラがあの後苦労しなかったとはあんまり思えないからです。
心と容姿がきれいだからって、プリンセスとしてやっていくうえでの教養やマナーをシンデレラは身につけているのでしょうか。今から頑張るのかもしれませんが、結婚する時点で相手は既に王様ってことはすなわち即ファーストレディってことで、そんな勉強する暇があるのか微妙なところじゃないのでしょうか。
それに自分の容姿に一目惚れした夫なんて、歳をとったらもっと若くてきれーなお嬢さんと浮気するんじゃないのかと思わざるをえない。(『イントゥ・ザ・ウッズ』はそんな話でしたね。いやあの王子どう見てもチャラくないですか!!!)
そしてもし万が一離婚騒動になった時、その後生きてく術はあるんでしょうか……うう考えただけでおそろしや。(プリンセスって転職……いやそれはできそうかもしれない)
それに「自分に意地悪した人=悪人」なんて考えで、果たしてプリンセスが務まるのでしょうか。二人で独裁政権になっちゃだめだよ~~~!
―――とかなんとかごちゃごちゃと後日談を考えてしまう私は、シンデレラにそこまで憧れを持たないのです。
うらやましさはありますが、そうなりたいかって言われたら、きっとノーって答える。
たとえシンデレラよりも腹黒くたって心が汚れてたって(あっこれはちょっとかなしい)スレてたって、他人に期待するより自分で自分の幸せつくるほうが楽しいもん。
そしてたぶん、世間の高学歴女子と呼ばれる皆さんも、同じような想いを抱えているんじゃないのかなぁ、と思うのです。
勉強して、自分が行きたいところに行ける努力をして。自分のやりたいことは、自分でつかめるように。自分のしたいことができる自分になれるように。
来るかどうか分からない、今頃白馬から落馬してるかもしれない王子様を待つよりも、自分で森を開発してくほうが絶対人生楽しいって!!!
そーんな風に思ってしまうのが、高学歴女子の性なのではないでしょうか。や、みんな王子様はいつでも大募集だと思いますが。
……しかし。はたと気がつくと。
これって男子からするとぜんっぜんかわいくな~い女子の思考なんだよな……!という、高学歴女子最大の壁にぶつかります。
やりたいことやりたい!自分の人生は自分でつかみたい!……けど、そんなたくましい女の子に王子様は果たして手を差し伸べてくれるんだろうか……?
自立心旺盛すぎて、そんなシンデレラそそられんわ~と嘆く王子の顔が見えそうです。
やっぱりシンデレラのように可愛く素直に☆いることが、女子としての幸せをつかむ一番の方策なのでしょうか。
だとすると、じゃあ女子の幸せって一体っ!とかいう無限ループに陥ってしまうのです……。
女子って、たーいへん。
まぁ私がここで思うのは、
人生において優しさや勇気を持つのが大事ってシンデレラは言うけれど。
優しさも、勇気も、自分が満たされてはじめて他人に与えられるもので。
子ども時代は親が満たしてくれたかもしれないけれど、大人になったら、自分で自分を満たすところから始めなきゃいかなくて。
そのためにはまず他人を僻まず卑屈にならない程度の自己肯定やそのための自己実現が必要、
……なんではないでしょーか、ということなのです。
自己肯定や自己実現の方法は、勉強を頑張ること、仕事を頑張ること、キレイになること、人それぞれでよいと思うのですが。
まずは、他人に優しくなれて、土壇場で自分を信じる勇気を持てるように、自己肯定感というか自信をつけることが大事なんじゃないだろうか、と。
そのことにたぶん高学歴かどうかなんて関係なくて。女子はみんなそういうことが大事なんじゃないのかなぁ、と思います。
シンデレラに憧れてても憧れてなくても、
みんながみんなシンデレラみたいにラッキーガールになれないことを思うと、
女子は自らガラスの靴を生み出す方法を見つけねばなりません。
私はそれってやっぱり「自信」みたいなものかな、と思うのです。
もしかしたら、「自分を好きになる」とかなんとか現代にあふれすぎてるメッセージは、私たちにガラスの靴を履くかわりにすべきことを教えてくれているのかもしれません。
自分だけに合うガラスの靴を見つけられてはじめて、優しさも勇気も持てる、のかも。
魔法使いがガラスの靴をくれなくったって、私たちは、自分で自分にガラスの靴を履かせたげられる。
女子ってたいへんだけど、それでも幸せに向かって貪欲になれるのも女子の特権なんだろうなぁーと私は思うのです。
シンデレラに憧れるみなさんも、憧れられないみなさんも。
きっと現実世界はおとぎ話の世界よりも長くて複雑で難しいですが。
だけどそれでもどうにか、
みんな自分なりの生き方で、幸せになれるといいなぁ……なんてことを今日も私は、願うばかりです。
や、まずはその前に自分の幸せですね。ふえーがんばろーっと。
追伸:あ、シンデレラのことはなにやらこき下ろしましたが、映画自体は映像もテンポ感もすばらしい傑作でした……!「あらすじもオチも分かってるのに最後まで退屈しないってすごい」って本気で思いました。まだ見てない方はぜひぜひ。
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