チーム天狼院

『家族』について、考えた。


記事:永井聖司(チーム天狼院)
 

『今、幸せですか? とたずねられたら、やっぱり幸せなんだろうな。これは、家族と縁を切ったからこその幸せやし、自分の人生に希望を持ち続けたからこその幸せでもあると思います』
 
つい先日、とある記事を読んでいた時に出てきた、衝撃を受けた言葉です。
機動戦士ガンダムの主人公アムロ・レイのコスプレをしてモノマネをする芸人・若井おさむさんへのインタビュー記事でした。

若井さんは、幼い頃から母親にひどい虐待を受けていたそうです。父親も若い内に自殺し、16年間母親とも音信不通の状態でしたが、母親に対する怒りの感情を払拭するために会いに行き、その時の母親との会話を通して、縁を切ることを決断した、との内容が、記事の中では書かれていました。

更に記事の中で若井さんは、こんなことも言っていました。
『5年前のあの日、思い切って会ってよかったと今も思います。何年も抱えてきたモヤモヤが、会ったことでスッキリしました。今後、会うことは絶対にありません』

 
親とこの先一生会わない、と宣言させてしまう親子関係が、僕には全く想像できませんでした。
この記事を読んで僕は、僕自身がとても幸せな環境にいるのだということを、思い知らされたのです。

 
僕は、栃木の田舎にあるごくごく一般的な家庭に生まれました。父と母と、7歳離れた兄と6歳離れた姉、そして数年前に亡くなった祖父との6人暮らしの生活でした。両親の職業は、幼い頃はしいたけ農家で、途中で作物を変えて今はトマト農家。父は、僕が今まで見てきたどんな大人よりも、長く働いている人です。1日中家にいてゆっくりしているだとか、そんな姿は、僕が生まれてから今まで、1度も見たことがありません。
そのせいで、家族旅行をした、という経験が僕にはありません。小学校や中学校の夏休みや冬休み明け、〇〇に旅行に行ってきた、という友達のことを、いつも羨ましく思っていました。実家が本家であり、母方の実家も車で1時間ほどの距離にあるため、帰省のためにどこかに行く、ということもなかったのです。

「どこにも連れて行ってもらったことなかったよね、自分」

中学生だったか高校生の頃、兄と姉が上京し祖父も亡くなり、両親と僕との3人で夕飯を囲んでいた時のこと。僕がボソッと言ったのです。
あの時の沈黙、気まずい雰囲気を、僕は一生忘れないでしょう。
両親を傷つけるつもりはまるでなかったのですが、ポロッと言ってしまったのです。

でも、これまでの人生で、両親に対する不満があるとすれば、それぐらいのものです。
最近になって、聖司が小さい頃はお金が大変だった、など話してくれるようになりましたが、息子としては、誕生日の時にはゲームやプレゼントなども買い与えてもらえ、進学もさせてもらい、生活する上で不安を抱いたことはありませんでした。

 
『あと何回、親に会えるだろう?』
という広告を見れば、寂しくも感じますし、夏季休暇と年末年始ぐらいしか顔を出さないのを、もっと頻度を上げなければいけないかなとも考えます。今の状況下で、会いたくても会いにいけないという状態に、少なからずストレスも感じます。

若井さんの記事の中でも、(虐待されていた)当時はこの状態がおかしいと思っていなかった、ということが書かれていますが、家族の中のことこそ、普通の基準がわからなくなってしまうことはないのです。
僕の場合で言えば、祖母が近くにいない環境が普通であり、家族旅行に行ったことがないことが普通でしたが、どちらも経験がある人からすれば、理解できないものなのかもしれません。

同級生や隣人、親戚など、近しい存在だと思っていた人たちについても、『家族』という単位で見てみた時に、1つとして同じ形をしたものはないのです。

『家族』という単位で見たときにも、それぞれ個性があり、得意・不得意があり、好き・嫌いがあり、合う・合わないもあるのでしょう。人間と、同じなのです。

 
人間ならば、個性があって当たり前と思うのが当然かもしれませんが、『家族』として見たときに、同じように考えられる人が、どれぐらいいるでしょうか。

少なくとも僕は、今回の若井さんの記事を通して、『家族』という固定化されていたイメージに、僕自身がとても縛られていたことを、実感しました。
これからもっと、時代が進むにつれて、今まででは考えられなかったような『家族』という形がきっと出てくることでしょう。全く価値観の違う人や、外国籍の方と触れ合うときと同じぐらいのカルチャーショックを覚えることが、きっとあるのでしょう。

『会いたい』と、自然と思える関係性でいられるよう、両親や兄姉が育ててくれていたことへの感謝を覚えると同時に、『家族』という単位で、もう少し世の中を見られるようにしていこう。
そう、思ったのでした。


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2020-04-27 | Posted in チーム天狼院, チーム天狼院, 記事

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