チーム天狼院

それは本当に「考えている」と言えますか?〜「考える密度を上げる」の正体〜


記事:山本海鈴(チーム天狼院)

「◯時までに、めちゃくちゃ面白いアイディアを、考えてくること」

……”面白い”、か。

ふう、とため息が漏れる。

「面白い」って、何だっけ?

突然与えられた指令に、そんな疑問を呈してしまうようになったのも、一度や二度のことではない。

その時の私は、とにかく新しい企画を出すことが求められていた。

……が、しかし。
思いつかない。
絶望的に、つまらないアイデアしか、出てこないのである。

「とにかく考える密度を上げること」

そう釘を刺される。

しかし、私は、うーんと頭を抱えてしまった。

「考える」って、どうすれば良いんだ!?

そもそも、面白いことを考えられる人は、元の脳の作りが違うんじゃないだろうか?

そんなことはない。本当は分かっていながらも、なかなかアイデアを生み出せない自分に辟易して、卑屈なことを考えてしまう。

パソコンの前に座って、うんうん唸りながらキーボードを叩いてみる。

手を動かした方が頭の回転が速くなりそうだぞ、と、今度は手書きで思いついたことを書き記してみる。

しかし、それでもなかなか、「これだ!」という革新的アイデアは出てこない。

ある程度数を上げたところで、いつも途中で止まってしまう。バリエーションが絶望的に足りない。

これは、「考えている」と言って良いのだろうか……?

そもそも私は、「考えるとは何か」が、できていないのではないだろうか?

そういえば、こんな時に効く処方箋が、あったような気がする。

絶望的な気持ちになりながら、本棚を漁る。

何か壁にぶつかった時、突破口を与えてくれるお医者様は、いつも「本」なのだ。

「あった……!」

白い一冊の本を取り出した。しばらく前にお世話になったけど、もう一度、このタイミングで読んでみることが今の私には、必要に思えて仕方なかった。

『考具』(CCCメディアハウス)だ。

この本は、こんな冒頭から始まる。

「あなたは、考えるための道具を持っていますか?」

ページをめくって、ドキッとする。痛いところを突かれてしまった。

言われてみれば、最近の私は、「面白いことを考える」と言われても、ただうーんうーんと頭を捻って、どうにかこうにかアイデアを絞り出そうとしていた「フリ」をしていただけなのかもしれない。

なぜなら、考えるための「手順」や「方法」に、全く一貫性がなかったのだ。

行き当たりばったりの思考なので、もし運よく良いアイデアにたどり着けば儲けもの……くらいのレベルだった。
そりゃあ、連続して「面白いことを考える」には、ほど遠い思考をしていたことが分かる。

しかし、この『考具』には、「考えるための道具」が、これでもか! と載っている。この「考具」を手にすることによって、身体が「企画の工場」になるというのだ。

『考具』の著者の方は、広告代理店に務め、「いつまでに企画を数十個上げろ」という仕事を、日々おこなっている方だ。
その中で培われてきたのが、「考具」に載っている考え方だった。

「アイデアマン」は先天的なものではない。後天的なものだ。

この本の中でも、はっきりと、そう書かれていた。

ああ、そうか、と気づく。

「考える密度を上げる」

確かに、これは必要なことだ。

けれど、そもそも、「密度を上げる」前に、「考え方」のインプットが足りている状態でないと、密度の上げようもなかったのだ。

「考えろ、考えろ、考えろ」。

生きてきて、何度もそう言われてきたり、自分に言い聞かせてきた。

けれど、考える「方法」については、あまり型式立って勉強する機会はなかったのではないだろうか?

考えるための「法則」を、何度も何度も実践してみる。

さまざまなパターンを試して、その「法則」の数を増やしていく。

そして、何も見ずとも、何も考えずとも、その法則が頭の中で働くことで、いくつもの新しい企画が生み出せるようになっていく。

それが、「考える密度を上げる」の正体だったのかもしれない。

「考える」

口ではそう言って、全く思考密度の足りていなかった自分を、恥じた。

けれど、それは同時に、まだまだ思いつくことのできる鉱脈が、無限に広がっているということではないだろうか?

そう思うと、なんだか、光が見えてきたような気がする。

アイデアマンの思考法を、まずはこの脳にコピーしてみよう。

この本に載っていることを、素直にぜんぶ、実践するのだ。

まずは、そこからだ。


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2020-06-22 | Posted in チーム天狼院, 記事

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