チーム天狼院

【サクリファイス】天狼院を辞めるなら、呪いを解いてから《こじなつからみなさんへ》


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私などいなくても変わらない。替えは、いくらでも利く。私程度の人間など、掃いて捨てるほどいるはずだ。ミスも連発するから、むしろ居ないほうが迷惑がかからないじゃないか。

うん。本当に、その通りだ。どこにも反論する余地なんかない。自分でもそう思うのだから、心底おかしい。

だから、もういっそ辞めてしまおう。

そう思い続けて、もう4か月くらい経った。
呪いがかかっているからだ。だからどうしても、そうすることができなかった。

 

ただでさえ自分は全く貢献できていないと感じていた。受け持つイベントもきちんとこなすことができない、書いた記事だって閲覧数で絶対に勝てない、当たり前の業務すらまともにこなせない。何一つ結果が出なかった。ほかのメンバーと比べて、私がいるメリットなんて天狼院には全くないじゃないかと思い始めたら、考えは悪い方へと転んでいく一方だった。

さらに自分の存在意義を揺るがす出来事が起きて、もう2か月が経つ。まみこが新しい仲間を連れてやってきた。それ以降の私の日記には、嫉妬と不安の言葉しか書かれていない。でも、そのころはまだよかった。その不安が的中することになるとは知る由もなかった。

いつのまにか、私より後に合流したはずの仲間に先を越されていた。
有咲。もともと文章を書くことに関心のあった彼女は、店主に絶賛されて文章を書き続けている。
そして七生。彼女はもはや天狼院に欠かせない存在となった。天狼院CAFÉの刷新に貢献し、SNSを管理し、さらには劇団天狼院の文化祭公演「殺し屋のマーケティング」の主演もつとめる。けいこ場を見学しに行ったときの彼女の真剣な表情を見て、勝てる余地などないのだろうなとわかった。よく、わかった。辞めようと本気で思った。

でも、どうしても言い出せないままここまできた。なぜか今、WEB天狼院に載せようと文章なんて書いている。

その答えはずっと自分の本棚の中に、ずっと前からあったと気づいたのは、先週の読書会でその本を紹介していたときだった。参加してくださったお客様たちにあらすじを説明しながら妙に納得していた。やっぱり私はまだ、ここをやめることはできないんだと。

私にはものすごくお世話になった先輩がいて、まだウインドサーフィンをやっていた1年生のときに4年生だったその人は、私が入部した当初からずっと目をかけてくれた。まだろくに艇の操作もできない私に向かって「お前なら絶対に全国で勝てるようになる」と言ってくれた。自分の予定も顧みず練習に付き合ってくれたし、夏休みの大会で入賞したときに一番喜んでくれたのもその人だった。結果が出なくても、その人は励まし続けてくれた。

その人にとっては、その年が現役生活最後の年だった。全国優勝を目標に掲げ、自分の練習だってしなければならなかったのに、私のためにかなりの時間を割いてくださった。
それにも関わらず私は、その人が引退した直後、何の相談も挨拶もせずに部を辞めた。先輩を裏切ったことについて、一度もその人に謝ったことはない。

部に残り続けるのが難しい理由は確かにあった。辞めたのは自分のせいではないと思う節もなくはなかったけれど、その人を裏切った罪悪感は消えることはなかった。

そんな出来事がなければ私は天狼院に来ることはなかったかもしれない。私はどうしてもその人に詫びたかった。大きな期待をかけてくれ、時間も労力も割いてくれたその人を裏切った代わりに、別の場所で活躍をしたかった。その人の期待を裏切らない人間だったと証明しなければ私は、その人の顔に泥を塗ることになる。そんなことは絶対に嫌だった。その人が認めてくれるような活躍ができなければ、私はここを去るわけにはいかなかった。

 

でも、その人に恩を返すためだけなのかといったら、それもちがう。

「こじなつはできる」と言ってくれた三浦さん、いつも支えてくれるなっちゃん、海鈴さん、ねえさん、そうさん、かなさん、まみこ、ちい、柴田くん、ピカル、新人のメンバー、天狼院を訪れてくれるお客様。友達。これまで育ててくれた両親。

やりたいことなんてない。夢は、まだ見つからない。面倒なことは苦手だし、やりたくないことはやらないで済む方がいいと本気で思っている。

でも私は、今までかかわってくれたみんなに責任がある。自分を信頼してくれた人みんなに責任がある。

近藤史恵さんの「サクリファイス」では、それはただうつくしいものとして描かれていたわけではなかった。時には「呪い」と表現されていたところもあった。それは大きな重圧になる。すべて捨てて逃げ出したいと私ごときでも思ってしまうのだ。

その先輩が期待してくれるほどの人間だっただろうか。三浦さんが「できる」と言ってくれるに値する人間だっただろうか。両親が私を育てる価値があるほどの人間だっただろうか。そんな自信は全くない。そうじゃないと大声で叫びたいのが本当の気持ちだ。みんなが揃って見込み違いをしているに違いないのだ。私には、何もできない。

でも、辞めるんだったらせめて、この呪いをこのままにしておくわけにはいかない。今までかけてもらった期待が全くの見込み違いだったとしても、そんな人間なりに何か成し遂げなければ、私にはここを辞めていく資格はない。

 

だから今も、こうやって記事を書こうと四苦八苦している。このままではいられないから、せめて爪痕を残すことから始めなければと思っている。

その先輩は活字が苦手だといって、私が今まで書いた記事も全然読んでくれなかった。けどこの記事は、どうにかして読んでもらいたいと思っている。せめて私が申し訳なく思っているということが伝わったら、それだけでうれしい。

そして天狼院のお客様にも、スタッフのみんなにも、せめて私はみなさんに感謝しているということが伝わったら、ものすごくうれしい。

 
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