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チーム天狼院

【天狼院的感動の作り方】30時間 で1000冊完売 糸井重里秘本の裏側とは《店長山中のつぶやき》


人一人の’心を動かすのにはどれだけの労力が必要なのだろうか。
「感動しました」といってもらえるためには、どれほどのことをすればいいのだろうか。

天狼院書店に出会ってから2年。
知り合いから「面白い本屋がある」と聞いて、慣れない池袋に降り立つようになってから、もう2年になる。
毎度毎度2時間かけて通い、毎度毎度2時間かけて帰る往復の旅ももう慣れたものである。

この2年は本当にあっという間だった。
しかしそう思う一方で
まだ2年しか経っていないという事実を自分が一番信じられなかったりする。

私が入ったばかりの頃の天狼院書店は「こたつがある」ということで一部のメディアから注目され始めている程度であった。
部活も今のように30近くあるわけでもなく、部活第一号のフォト部が始まったばかり。
まさか2年の間に雑誌を作るなんて思わなかったし、
映画を撮るなんて信じられなかった。
劇団を持つなんて何言ってるんだと思った。
表参道に店舗に自分が立つなんて想像できなかったし、
福岡の店舗で映画を鑑賞するなんて夢にも思っていなかった。

本当に色々な夢を描き、実行に移し、天狼院なりに実現してきた。
よくまあここまで出来たものだと人事のように感心してしまう。
それほどまでにこの2年間は濃密で、昔からもう何年もここでやっているような感覚にとらわれる。

一つ一つ。どれをとっても一大イベント。
そこには様々な思いや、ストーリーがあった。
イベントに参加した方に「感動しました」といってもらえることもあったし。
本を購入してくれた方がわざわざ感想を伝えに店に来てくれることもあった。

人の心を動かす。

天狼院という場にはそんな「感動を生み出すなにか」があるのだと思う。

そんな中でもここ最近で一番印象に残っているのが「秘本」の販売だ。
30時間で1,000冊。
数字だけ聞くと何のことかと思う。
これは「糸井重里秘本」と呼ばれる天狼院の商品が販売開始から予約を受けた数。
30時間で1000冊完売。
その時商品自体はまだ店頭にも届いていない状態だった。
つまり、まだ実体ののないものが30時間という期間で1000人の心を動かしたのだ。

糸井重里さんの力ももちろんあった
秘本を販売することが決まったこの記事の力ももちろんあった

いっそ、駄作ならよかったのに。

そのストーリーが多くの人の心を動かし、多くの感動を届け、
パソコンの画面上で通販商品として魅力的に感じさせた。そしてお客様に購入していただくことがきた。
しかし、私たちはそれで終わらせてはいけない。そう思った。

「この方が嬉しいよね」
そう海鈴が繰り返し、繰り返し言っていたようにおもう。

その時の東京天狼院はまさに戦場だった。
1000冊の予約を受けた後はその商品を実際にお客様に届けるためにすることが多くある。
1冊の秘本をつくる。といってもその作業工程は実に多い。

ご注文のメールを確認する
情報をリスト化する
ラベルを印刷する
ダンボールを開ける本を取り出す
欠損がないか確認する
スリップ(間に挟まっている紙)を抜く
ブックカバーをかける
本を入れる箱を作る
箱にご案内、等々を入れる
向きを揃えて本を入れる
ドリンクチケットを手書きで記入する
住所のラベルを貼る
住所のお名前とドリンクチケットのお名前が一緒か確認して入れる
シールで閉じる
秘本スタンプを押す
郵送のシールを貼る
郵便局まで運ぶ
配送完了メールを送る

思いつくだけでもこれだけある。この作業の繰り返し。

これをスタッフ総手で協力して行っていく。
とは言っても手伝ってくれるほとんどは学生で、学業の合間に手伝える時間に来てもらうという形だった。

東京天狼院の店舗坪数約15坪、そこに
ダンボールと、おまけと、ブックカバーと、通販用の箱と、シールと、チラシと、ドリンクチケットと……
本とそれ以外のものでうめつくされていた。
この時ばかりはまさに「書店」ではなく「秘本工場」と化していた。

しかも、幸か不幸か天狼院はほぼ年中無休。よなよな風呂敷をひろげてはそれを営業時間までにしまうという日々。
「秘本合宿」と呼ばれたその秘本製作の現場はスタッフの体力をものすごい勢いで奪っていった。

しかし、そんな戦場においてもスタッフはみんな笑っていた。
秘本及び、11月16日17日18日の天狼院の大文化愛の実行委員長としてすべての管理を行っていた海鈴は常に手を動かしながらこうつぶやく。

「この方が嬉しいよね」

誰がどう見ても辛くてしんどくて、苦しい状況である。
でも、そんな状況でも笑顔がたえなかった。
「開いた時にこう本が入っていたほうが天狼院のロゴが見えていいよね」
「カード一つ一つにメッセージとスタッフの名前が入ってたほうが嬉しいかも」
「秘本の㊙っていうスタンプがあったら面白くない?」
「この方四代目秘本も注文してくれてる!そのことも返信メールの文面に入れよう!」
こんな会話が終始飛び交う。笑顔で。楽しみながら。

「秘本をお客様に届けること」これは私達にとって単なる反復作業では決してなかった。
スタッフ全員が共通して秘本を届けるお客様をイメージして、そのお一人お一人に大切な1冊を届けていくと考えていたのだ。
だからこそ、私たちはひとりとして文句も言わず、この苦境を乗り越えられたのだと思う。

やらなければいけない作業だった。しかし、それは決してやらされていたのではなかった。
その一つ一つの行動は確実に誰かのためのもので、そのために自らで考えて動いた結果だった。
皆がそれぞれに自分で意思をもって

ご注文のメールを確認し
情報をリスト化し
ラベルを印刷し
ダンボールを開け、本を取り出し
欠損がないか確認し
スリップ(間に挟まっている紙)を抜き
ブックカバーをかけ
本を入れる箱を作り
箱にご案内、等々を入れ
向きを揃えて本を入れ
ドリンクチケットを手書きで記入し
住所のラベルを貼り
住所のお名前とドリンクチケットのお名前が一緒か確認して入れ
シールで閉じ
秘本スタンプを押し
郵送のシールを貼り
郵便局まで運び
配送完了メールを送っていた

ことの真相はここにあるのではないかと思う。

「感動を生み出すなにか」は
「感動を生み出す何かを作りたい」と思い、
「感動を届けたい誰か」を思い行動していくからこそ生まれる。

秘本販売の波を終え、文化祭という一大イベントも終え、天狼院書店は少し静かになった。

「いらっしゃいませ。当店のご利用は初めてですか?」
「はい。これって使えますか?」

差し出された小さな紙には、こうある

〇〇様
この度は「糸井重里秘本」をお買い
上げいただき、ありがとうございます。

本券は、天狼院書店店舗にて360円
相当のドリンクチケットとしてお使い
いただけます。

ぜひ、お店にも足をお運び下さいませ。
スタッフ一同、お待ちしております

天狼院書店 山中菜摘

目に見えなかったお客様が、店頭に実際に足を運んでくださる。
自分で書いたカードの名前を見て、頑張った夜を思い出す。
そして、この時初めて気づく。

一番感動してるのは、まさに苦労して秘本を作ったスタッフ自身である。と。

 

 

 

秘本製作、及び天狼院大文化祭みなさまお疲れ様でした。
スタッフ、お客様、みんなで作り上げていく天狼院。
毎度毎度全力疾走でへとへとですが。その疲労感の分、感動できるのだと信じております。
改めまして、感動をありがとうございました。
しっかり休んでくださいね。

そんな文化祭のお疲れ会も兼ねて、天狼院旅部が12月5日(土)に開催されます。
皆様のご参加お待ちしております。

12月5日(土)天狼院旅部HP

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TEL:03-6914-3618

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