【結局何味なの】この時期無駄に出てくるサクラ味とイメチェンの意外な関係性 みはるの古筆部屋
「暦の上ではもう春」という誘い文句に連れられて冬服を完全に片してしまったのは、最近のわたし。
はなから見る気がないテレビを音がないとさみしいからという理由で、朝とりあえずつけることはわたしの癖である。寝坊癖もあるわたしは、歯を磨いたり着替えたりと毎朝必要以上に慌ただしい。
さあ、今日は起きてから何分で家を出られるのか。競う相手もいないのにひとりでタイムトライアルをしている中、聞こえてきたのは知っているような知らないようなお天気お姉さんの声。
「今日は立春ですね！ 暦の上ではもう春です」
そのあとに、「でも、油断はしないでください。まだまだ冬物が活躍する日はありそうです。明日は雨で、気温も……」なーんてことが付け加えられていたことはつゆ知らず。
春か…… となんだか少し嬉しくなったわたしは、そのまま冬物のコートをタンスの奥にしまって出かけた。
お天気お姉さんの言う通り、
そのあと気温が低くかったり、風が冷たかったりで寒い日が何日かあって
でも、タンスの奥にしまった冬物のコートを出すのが面倒で
とか
新しく買った春の新作コートが着たくて仕方なくて
とか
なんだかんだ理由をつけてわたしは２月の終わりから春服を着始めた。
当然、友達には「寒いでしょ絶対！」と笑われてばっかりだけれど。それでもいいんだ、わたしは。あえてそうしているのだから！
だって、季節はもう春ですよ！ みなさんは気づいているだろうか？
気づいていないのだとしたら本当にかわいそう。人生の半分以上損してる！
お寿司が嫌いなわたしに、みんな「え、それはかわいそう…… 人生損してるよ」とよく言いますけどね。今は、そっくりそのままお返ししますよ状態。
まだ少し肌寒い日が多い今、わたしがあえて春服を着る理由が、
冬物を出し直すのが面倒だから、新品の春服を着たいからみたいな薄っぺらいものだけなわけはなく……
ところで、みなさんは友達や同僚の見た目の些細な変化に気づくことができるだろうか？ 例えば、リップの色を変えた。髪を切った、染めた。服の系統を変えた。少し痩せた。鞄を変えた。
いわゆるイメチェン
をしたことに気づくことができるだろうか。気づいても、それを伝えているだろうか。男性が女性の化粧や髪色を見ても変化に気づかないというのは有名な話で、わたしの周りにはそんな男友達は当たり前、女の子の友達でさえわたしの変化に気づいてくれないことがある。
よろしくない
非常によろしくないと思う。男女問わず、イメチェンしたことに気づかないのは罪である。わたし個人としては腹立たしいことこの上ない。
髪を切ったり、染めたりした次の日はそりゃ周りからの反応が楽しみで出かけるわけで。新しい系統の服にチャレンジした日は「似合ってる」の一言がほしいし。嘘でも「痩せた？」と言われたら嬉しい。
見た目の些細な変化に気づけないひとは損をしていると思う。
いや、わたしは友達の変化に敏感ですよ？ 毎回、褒めていますよ？ と思った方。では、
朝、家を出たら深呼吸をしているひとは？
そこで何かの変化に気づくことは？
公園の木の枝の先に目を向けたことは？
ない
そう思ったひとがほとんどではなかっただろうか。本当にかわいそう。人生の半分以上損してる！
朝、家を出て一歩歩き始めると
春のにおいがする。
枝の先には小さいつぼみが見える。
心なしか散歩をしているひとが増えた気がする。
季節もとても小さくではあるけれど、変化している。
冬だった季節が春に少しずつイメチェンしようとしている。
ロングだった髪をバッサリとショートにして、
切った影響で元々の天パがでて、パーマっぽくなって、
髪を必要以上に明るくして、
服も髪型に合わせてよりカジュアルなものに変えて、
ここまでして「イメチェンしたね」なんて言われるのは当たり前。もっと早く変化に気づいてほしかった。
だから、わたしは
暖かくなって
花粉が飛ぶようになって
桜が咲いて
新しい制服やスーツに身を包んだひとが増えて
季節が完全に春だとわかるようになる前に、季節の些細な変化に気づいて「イメチェンしたね」って伝えるのだ。春服を着て。
季節はもう春ですよ！ みなさんは気づいているだろうか？
某コーヒーチェーンやコンビニで最近よく見かけるのはサクラ味。食べても飲んでも結局何味かわからないあの味。季節が必死に春を、イメチェンしたことを伝えようとしている味。
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