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【天狼院恋物語】古都の路地に迷い込んだら、ちょっと怪しい「未知の恋」が落ちているかもしれない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:長谷川 賀子

「ねえ、もうすぐ京都に行くから。だから。待ってて」

彼が、そう、言ったとき、
嬉しくてたまらなくなるのと同時に、
若干の、恐怖にも似たような感情を、覚えた。

わたし、もう、もとの自分には、きっと、戻れなくなってしまう。
彼に出会って、壊れかけたわたしは、きっと、完全に壊れてしまう。
そう、悟ったから。

彼は、もともと東京と福岡にいて、月に一度だけ、京都に来てくれていた。「もうすぐ京都に行く」という彼の言葉は、これからは毎日、彼に会えることを意味していた。
嬉しくない、はずがない。
「恐怖にも似た感情を覚えた」なんて言ったけど、口元は緩んで、目なんて、きっと、彼に完敗していたに、違いない。
好きすぎて、つらい、とは、
こういうことを言うのだろうか。

だけどやっぱり、どこか、心が、ざわざわしていた。

わたしは、彼に、わたしの中の「何か」を壊された。信じていたものが崩れていくみたいに、めためたにされた。
毎日なんて、彼に、会ったら、
きっと、わたしは、完全に壊れて、
きっと、もとのわたしには、戻れなくなって、
きっと、今まで静かにコツコツ生きてきた、私の人生は、絶対に狂う。
彼のせいで、わたしの中の、開いてはいけない扉が、開いてしまう。

そして、そのくせ、彼は、みんなに、そうするんだ。
みんなの「何か」を壊していって、
夢中にさせて、
「待ってて」だって、みんなに、同じように、言っているんだ。

こんなところで、拗ねるなよ! 関係ないし! と、言われそうだけど、
関係なくも、ないのだ。
君がそう言っていられるのも、ほんの束の間。
だって、彼が京都に来るっていうことは、
あなたも、うっかり彼に、会ってしまうかも、しれないのだから。
きっと、あなたも、彼の「犠牲」になるのだから。

だから、わたしは、あなたのために、彼について、話しておこうと、思う。
「わたしはそんな、まじめに生きてるんだから、そんなことにはならない」、そう思っている人にこそ、読んで、もらいたい。
だって、わたしが、そうだったんだから。
あっ、男性だからって、油断したら、駄目よ。
彼は、男女問わず、平等に、分け与えていくのだから。

わたしと彼が出会ったのは、SNSだった。
正確に言うと、、わたしが一方的に知ったに過ぎなかった、が、
Facebookに映っていた、彼に、わたしは一瞬で、心を奪われていた。
一目惚れなんて、わたしは、信じていなかった。
しかも、SNSなんていう、ある種バーチャルな世界でなんて、ありえないと、思っていた。それに、いつもの恋愛の仕方だって、自分の中で「好き」か、どうかを、何回も確認して、その結果、結局、結末は、片思いだった。ほかのことについてだって、どこかに安心できる根拠のようなものがなかったら、口に出したり、信じたりする、なんてこと、しなかった。
だけど、今回ばかりは、彼のことに限っては、一目見た瞬間、わたしは、確信してしまった。
「好き。彼に会わなきゃ、わたしきっと、後悔する」
本気で、そう思った。そして、SNSであったとしても、そこで感じた彼の魅力は本物で、もし彼に会わなかったら、一生後悔するだろうと、ただ自分の直観のままに、信じ切っていた。根拠は、彼の中にあるのだと、信じてやまなかった。

だけど、すぐに彼に会いに行くことは、できなかった。大学生のわたしは、お金がそんなにあるわけではないから、距離の問題は、なかなか大きい。だけど、そんなことで諦めるわけにはいかない。普段はのんびり屋のわたしだが、この時ばかりは、似合わぬ「行動力」が自然と顔を出していた。

いつもにやにやしている目を、ぎらぎらさせて、会える機会を探っていた。そして、機会を探りながら、彼のことを、隅から隅まで、調べていた。この前まで、好きな人のSNSを監視する女の子ってほんと怖いって、同じ女ながら怯えていたのに。今ならわかる。知りたい。彼のFacebookの投稿も、毎日追って、彼がやっているWebページは、隅から隅まで読みつくした。その行動は、意思をもって、というより、どこか惹きつけられているようにも、思えた。そして、一瞬の機会も逃さないように、わたしは、うずうずしながら待った。

待って、待って。彼が数週間後、彼が京都に来るという、知らせを聞いた。迷わず、連絡を、入れた。「知らない電話にでちゃだめよ」と厳しく教えられて育った女の子は、大学生になって、まったく知らない、別に仕事先とかでもなんでもない、そんなところに迷わず連絡をしてしまった。一年も二年も一緒にいたって、「会いたい」とか、「好き」なんて、絶対言えなかったのに、どうしたことか、ただ画面の中でしか知らない、一目ぼれした相手に、会いたいと、言っている。
自分でも、びっくりだったが、どこか、当然のことに思えるのだった。
当然のことと思えるほど、彼の魅力は、わたしの判断の基準を壊していた。

そして、やっと、当日が、来た。
初めて、会う、その日。
京都の碁盤の目を通って、路地に入って、なんだかお洒落な町屋が、その日の、待ち合わせ場所だった。そこは、後に彼が来る場所ではなくて、まだ仮初めの場所ではあったが、彼の空気がその場を支配し、わたしの心は、高鳴った。

間違ってなかった。

私の一目惚れは、正真正銘だった。
というより、わたしの一目ぼれの期待なんか、はるかに越して、わくわくした空気に飲み込まれそうだった。
そして、何の疑いもなく信じていた根拠は、わたしが確かめるなんてしなくても、まったく疑いようなんて、ないのだった。

わたしはそれから、月に一回だけくる彼のところに、会いに行った。
次と、その次の待ち合わせ場所は、お洒落な文化財の建物の中だった。

そして、いつ会いに行っても、どこで話しても、彼と一緒に過ごした後は、何か、胸にきらきらしたものが、残っていた。

その気持ちは、その後もずっと、残っていて。
それが、気持ちをくすぐらせて、わたしは、いてもたってもいられなくて、ついつい「あること」をしてしまうのだ。

そして、その「あること」の痕跡を、嬉しくて、人に、話してしまう。自分のSNSにアップしてしまう。しまいには、彼の名前を一緒につけて、投稿をしてしまう。

自分のことや、自分の気持ちを必要以上に語ることは、しない方がいいと思っていたし、
アナログ娘は、ソーシャル・ネットワークもあまり信用していなかった。ましてや、誰かといた事実を不特定多数に知らせるなんて、意味がわからなかった。
だけど、今、その「信じられなかったこと」に、価値を、見出してしまった。
というより、彼のせいで、そう信じ込まされてしまったのかも、しれない。

それから、その価値のために、「あること」をしてしまうのだった。

そして、悔しいことに、わたしの中の「何か」が壊された結果、わたしの毎日は、楽しくなってしまったのだ。
あー、悔しい。
悔しいけど、仕方ない。

だって、彼は、職人だったんだから。

「幸せな時間の種」を、彼と出会ったみんなに、配っていく。
種をつくって、みんなを幸せにすることが、彼のお仕事なのだから。

その証拠に、「待ち合わせ場所」には、わたしと同じように、彼に一目ぼれした人、惹きつけられて気がついたら足を運んでいた人が、たくさん集まっていた。京都に住んでいる人だけじゃなくて、大阪や、奈良の方からも、たくさん来ていた。

そして、みんなで、本を読んだり、お話をしたり、好奇心をくすぐる様々なことをしたり、おいしいものを食べたり、するのだ。
不思議なことに、そこには、面白い人がたくさん集まって、興味深い話が溢れてきて、
それに、連鎖して、さらにさらに、アイデアが溢れて、
やりたいことも、夢も、気持ちも、自然と口から零れてきて、
その場は、わくわくする空気に、包まれるのだった。

それから、みんな、「書く」のである。
とにかく、書いている。彼も、彼に会いに来た人も、みんな。文章を書いているのである。
気が付いたこと、思ったこと、伝えたいこと、面白いこと。すべて、文章のかたちにしていくのである。まるで、ひとつひとつ違う、個性的な柄をした織物を、糸を紡いでつくるように、みんな言葉を紡いでいる。

だから、集まれない時間も、わくわくした気持ちや、幸せな気持ちは続いて、
そこに来れなかった人も、まだ文章を書いていない人も、その言葉で、同じような気持ちになれるのである。
そして、その「共有」が嬉しくて、また、彼に会いに行って、みんなと話して、新しい発見をして、そして「書く」のである。
そうすると、言葉を紡いでいたはずが、
自分の時間、自分の一日、そして、自分の素敵な人生を、紡いでいると、気づくんだ。

一瞬、一瞬を、とりこぼしたくなくて、
せっかく巡ってきた機会を見過ごしたくなくて、
わくわくすることをしてみたくなって、
哀しく切ない気持ちさえも、どうやって素敵な絵柄にしようかと、考えて。

何気なく流れていた日常が、
一瞬、一瞬、が、
機織り機に、一回一回通していく、糸のように、
映画のワンシーンのように、小説のある一行のように、
手に取るように、見えてくる。

自分の一瞬が、大切な物だと、思えると、
どこか、勇気が、湧いてくる。

そうして、希望が溢れ出して、どうしても、それを叶えたくなって、ついつい口に出してしまう。

そこをうっかり彼に聞かれたら、やるしかなくなる。
彼は、「幸せな時間の種」を配っているから、叶えるしかない状況にしてしまう。

でも、結局、みんな、信じてしまう。彼のことも、そして、自分の中の、本当の気持ちも。

信じられると、強く、そして、優しくなれる。

そうなれたら、楽しいことは、たくさんたくさん、あなたのもとに、やってくる。

ね、ほら。
あなたの中の、不安とか、迷いとか、閉じこもった気持ちなんて、全部、彼に、壊されて、
怖いくらいに、楽しくなって、
人生、おかしく、なっちゃうでしょ。

いやいや、そんな大げさなものいらないよ。別に「書きたい」わけじゃないし・・・・・・。

うんうん、それも、そのとおり。でも、彼は、「ある休日の時間」を幸せにする種だってもっているし、仕事の文書をつくる時間も、レポートを書く時間も、心地よいものにして、そこで、ちょっとしたすごい発見が見つかるかもしれない。デートの準備の時間だって、もっともっと幸せにして、もしかしたら、「ときめきの時間の種」だって、もっているかもしれない。

あっ、言い忘れた! 彼は、とってもとっても魅力的だけど、わたしも死ぬほど好きだけど、彼がもっているのは「種」だから、あなたが来なくちゃ、その時間は、はじまらない。だって、「時間」は、あなたがもっているんだから。

ほら、だから、買い物や通勤の寄り道に、ふらっと、そこに立ち寄ってみて。
彼も、彼に会いに来た人たちも、そしてわたしも、あなたに、会いたい。

四条通を祇園の方に歩いて行って、南座のある脇の路地に迷い込んだら、あなたの時間は、素敵に素敵に、狂い始める、から。

あっ、肝心な、彼の名前を、伝えるのを忘れていた!

彼の名前は、ね、「天狼院書店」って、いうんだ。

もうすぐ、「京都天狼院」の入り口が、開いて、あなたを、待っているから。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2017-01-04 | Posted in チーム天狼院, 京都天狼院, 記事

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