雑誌『POPEYE』を読んだら妄想が爆発した。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:しんごうゆいか(チーム天狼院)
私事ではあるのだけれど、最近雑誌の『POPEYE』を買った。今月の特集は「ガールフレンド‘18」。表紙の女の子がものすごく好みで、思わず手にとってしまった。買った後でその表紙の女の子が小学生だと知った。その時の衝撃たるや、私の女としての将来性の無さに落胆してしまうほどのものだったのだが、これはまた別のお話。
今回は、その雑誌の特集である「ガールフレンド‘18」を読んで、私の妄想が爆発したことで、これは書くしかないとなったことから始まる。『POPEYE』では、毎年このクリスマスの時期にデート特集を出しているらしい。今年初めてこの特集の『POPEYE』を読んだ私は、どうして毎年買わなかったんだと後悔した。感想としては、めちゃくちゃいい。こんな感想しか出ない自分の語彙力に溜息しか出ないが、とにかくめちゃくちゃいいのだ。私に恋人がいたら、こんなでデートがしたいし、そういうことを考えていてほしい。ひとり自室で雑誌のページをめくりながらにやついた。傍からみるとものすごく気持ちの悪いものだったと思う。そして『POPEYE』を読み終えた後、妄想癖のある私はことごとくその妄想を爆発させた。特集では出てこなかったが、私がデートしたい街一位は、下北沢である。ベタだとわかってはいるが、そうなのだから仕方ない。
私の理想とするデートは、こうだ。
陽当たりが気持ちのいい休日。午後12時に下北沢駅の南口で彼と待ち合わせの約束をする。彼は、大学でサークルが同じで一つ上の先輩。付き合って三ヵ月程であればなおよし。なんなら、黒髪で少しマッシュのさらふわな髪型で、ピアスは控えめなリングなどしていてる彼ならば、さらによし。
駅には私が少し早めに着きたい。待つのは全く苦痛ではないし、何より、改札を出る少し前に私に気づいて、小走りに私のほうに来て
「ごめん、待たせた」
とちょっと申し訳なさそうにする顔が見たい。その後に、
「僕のほうが早めに着くつもりだったんだけどなあ……」
とこちらを見ないまま言うのも忘れないでほしい。完全に私の好みである。
そんなこんなで、時間には遅れていないけど私より少し遅かった彼をからかいながら、南口商店街という飲食店の多い通りを歩く。
「お腹減ったね~」
「ぺこぺこだよ~」
「何食べよっか」
そんな会話をしながら、なんとなく雰囲気のいいお店に入るなどしたい。いろいろ見解はあるだろうが、私的に下北沢と言えばスープカレーである。
お互いに違う種類のカレーを頼んで、一口ずづ交換しあうのも、またよし。
辛いものが苦手な彼が私の少し辛いカレーを食べて渋い顔になっているのを笑うのも、絶対にしたい。
そうしてお腹を満たした後は、下北沢にきたなら欠かせない古着屋巡りだ。私も彼も、どちらかというと古着が好きで、真剣に服を選ぶ。お店に入ったら別行動だ。
時々彼のほうを見て、似たような服を鏡の前であてて睨めっこしているのを眺めたい。そして隣に行って、
「こっちのほうが好き」
「え、やっぱり? じゃあこっちにする」
なんて会話もいい。
私が真剣に服を見ていると、「ねえねえ」と後ろから声をかけられ、振り返るとへんてこな眼鏡とへんてこな帽子を被ってふざける彼がいて、「センスひどすぎ(笑)」と爆笑するのも古着屋巡りの醍醐味だ。
それぞれ満足いくまで古着屋を巡った後は、またぶらぶらと街を歩く。ふと気になった雑貨屋や古本屋に入って一緒に見るもよし、別行動で没頭するのもよしだ。
そうして歩き疲れたら、純喫茶なんかで休憩だ。珈琲が好きで、知識も豊富な彼のおすすめのコーヒーとケーキを注文して、窓際端っこの特等席に腰を落ち着ける。
「たまにはこんな落ち着いた雰囲気のお店もいいね」
なんて言いながら他愛のない話をする。大学の話、サークルの話、バイトの話、友達の話……。気づいたら、私ばかりが話している。そう思って彼の表情が穏やかで、こっちを見る視線が柔らかくて、なんだか落ち着かなくなる。
「ねぇ、なんで何も話さないの?」
急に恥ずかしくなって、ごまかすように聞いてみる。彼は、ん? といって少し考えるふりをしながら、
「見てるだけで、落ち着くから?」
なんて答える。こういう時だけ、ふと大人っぽい表情をするからずるい。ごまかすつもりが余計に恥ずかしくなって、俯く。
そんな私を見て笑いながら、彼はカバンから何かを取り出して私のほうに差し出した。
「さっき、買った。たぶん似合うと思って」
茶色の紙袋を受け取って中身を見ると、さっき古着屋巡りをしていたときに買ったのだろうか、可愛いピアスが入っていた。だけど、自分なら選ばなさそうな、持っていないタイプのピアスで少し驚く。
「そういうの、あんまり持ってないかなと思って。でもたぶん、似合うよ」
自信ありげに微笑んで、付けてみて、と促す。
「……どう?」
鏡も無くて、自分のピアスを付けた様子がわからず、少し不安になって聞いてみる。
「めちゃくちゃ可愛い。よく似合ってるよ。さすが僕の見立て」
そういって、彼は上手に私を喜ばせる。
……今度自分でもこういうの、買ってみようかな。
なんて考えてから、ちょっとずつ彼に影響されていく自分に気づいて、恥ずかしさ半分、嬉しさ半分。
今度は私が何か彼に似合いそうなものをプレゼントしよう。やられっぱなしじゃ、なんだか悔しいし。
そう心に決めて、「ありがとう」を自分のできる、精一杯の可愛い言い方で彼に言う。
「どういたしまして」
また大人っぽく微笑む彼には、当分勝てないかもしれないけど。
とまぁ、こんな感じだ。書きながら必死ににやけるのを抑えるくらいには、私の趣味嗜好が詰まったものになってしまった。
ちょうど今はクリスマス時期。もし、あなたが下北沢が好きで、好きな彼、彼女がいるのならぜひ行ってほしい。素敵な時間がきっと過ごせるはずだ。
え? 自分はこのデートを現実にはしないのかって? あー、それは、まぁ、込み入った事情で現在は不可能なんです。
……相手がいないんです。言わせないでください。
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