腐女子になったほうが良い思う理由≪弥咲のむしめがね≫
腐女子と聞いて、あなたはどう思いますか?
「まじかよ」と引いてしまったり、ちょっとひるんでしまうんですかね、普通は。
でも、私は腐女子がめちゃくちゃ羨ましい!
腐女子の友人は、腐女子であることを告白すると、友達が減ってしまいそうだから、変な人だと思われるから、とずっと腐女子であることを隠しています。普通の女子っぽく擬態しています。
腐女子に絶対に勝てる気がしない、と思うのです。
腐女子は最強です! っていうか、腐女子を冷ややかな目で見るのが理解できない! 彼女たちってほんとすごいんですよ。
残念ながら、私は腐女子ではありません。
男性同士が仲良くしているのをみて、それ以上のことは考えませんし、BLを読んでもあまり面白いと思いません。腐女子になりたいと思っても、そのコンテンツを心から楽しめない私は、そちら側に行けません。はあ、悔しい。
「それでよかった」と思う方もいるかもしれませんが、そんなことない。だって腐女子は最強ですからっ。自分でも気持ち悪いと思うくらいには腐女子に恋していますが、当たり前ながら彼女たちのことをぜーんぶ分かっているわけではないので、まあ小娘のラブレターだと思って、あたたかい目でご覧ください。
私が腐女子に憧れるようになったきっかけは、仲の良い友人が実は腐女子だったことです。
趣味が一緒で彼女とは仲良くなったんですが、まさか腐女子だなんて思いもよらなかった。当時は腐女子という言葉も世間にあまり浸透していなくて、ましてや受け入れられてもいなくて、変人扱いされていました。
彼女が腐女子であることをカミングアウトしたとき、私はそのことをすぐには理解できなくて、距離を感じてしまいました。他人に対するちょっとした感受性の違いだけなのに、自分と異なる感覚を持っている人を理解できなかったんです。
でも、彼女はひるむことなく私に接してくれました。「ねえねえ、これ面白かったの!」とおすすめの本を教えてくれたり、「次の休みにここ行こうよ!」と誘ってくれたりしました。
そういう彼女の姿を見ていると、腐女子だから距離を感じるとか全く関係なくて、毎日楽しく生きているかが大切なんだと思うようになりました。実際に、彼女はアニメグッズにお金使いまくり、同人誌買いまくり、ゲームしまくりで、私から見てもやりすぎだと思うけれど、彼女はすんごい楽しそうに毎日を過ごしていました。それに、カミングアウトしたからか話の表現がどんどん洗練されて、私じゃ到底思いつかないようなことも言ったりして、自分のキャラを確立していました。私は、人生楽しんでいる彼女が羨ましくて、私の知らない世界を知っている彼女に憧れました。
人生を楽しんだり、知らない世界を知ったりすることは、腐女子になるかどうかと関係ないはずですが、それでもやっぱり私は腐女子に憧れた。なぜなら、彼女たちは、とてつもなくぶっ飛んだ妄想力を持っているからです!
なーんでもカップリングして「受け」と「攻め」にして興奮できちゃう、常人離れした想像力が、私はめちゃくちゃ羨ましい。
そう、腐女子の方々は、人間でもモノでもペアにして、どちらが受けかで、どちらが攻めかを考えちゃうらしいのです。そりゃ普通の人でも、ドラマを見ていて「この二人がくっついてほしいなー」とか「この人はSっぽい」とか思うことはあるにせよ、ストーリーの脈略無視でカップリングしちゃうのはすごいですよ。しかもそれがモノでもいけるなんて。
友人は「ティーカップが受けで、ティースプーンが攻め」とか言っていて、ちょっと理解できなかったんですが、「えっ、だって、ティースプーンっていろんな角度からかき混ぜまくってさ、いやいや絶対攻めじゃん」と言われると、どこか納得してしまいました。真の腐女子たちは、この妄想を昼夜問わず行っているらしく、そのストイックさと妄想力には感服です。凡人は、紅茶を飲んでも味以外の想像はできないし、攻めと受けに気づいても面白さを感じないのに、腐女子はついつい想像しちゃって興奮しちゃいます。本人はこれを嫌がっていたけれど、私は自分で楽しいことを生み出せるっていう力を持っている彼女を尊敬します。
なんとなく生活していると、目の前の事象の裏や先に隠れている何かを覗くことをついつい怠ってしまいます。他人の気持ちも考えずに発言してしまったり、適当に作業してしまったり。そんなふうに生活をしていても、生きていくのには問題ないですが、本当に楽しいのか、と腐女子たちは訴えているんじゃないでしょうか。
彼女たちの妄想の本質は「目に見えないものを見る」ことだと思います。そして、彼女たちは、目に見えないものを見つけて、それを感じて、楽しんでいます。身の回りのモノをカップリングするのは一見変わっているかもしれないけど、その想像力は凡人が気づかなかった面白さを見つけているわけで、これは素晴らしい発見だと思います。
変化がない、と感じている日常であっても、腐女子たちのように目に見えないものを見ようとすると、なにかが発見できるんじゃないでしょうか。大事なのは、カップリングをしているとか、攻めと受けを思ってしまうとか、そういう話じゃなくて、気づかなかったものの面白さに気づくことだと思います。ふとした瞬間に感じた面白さが、きっと毎日に彩りを与えてくれると思います。
だから、私は腐女子になりたい。
私は、腐女子を尊敬しています。
はあぁ、妄想力を鍛えたいなあ。
記事:弥咲(京都天狼院スタッフ)
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