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チーム天狼院

まさか、ウサギに泣かされるとは思ってもみませんでした。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 

記事:吉岡 莉奈(チーム天狼院)

 

「新成人の皆様、おめでとうございます」
大学生になって成人を迎えた。世間的に大人になった。
だけど、至る所で祝われる〝成人〟に自分は含まれていないような気分で、なんとなく他人事だった。

朝五時から髪を美容院でセットしてもらって、キラキラの振袖を着て、久しぶりに中学の友人と会っても、

大人になり切れていない感覚はやはりそのままだった。

 

しかし、そんな私も「大人にならないとなあ」と嫌でも思わされるイベントに参加中だ。

そう、就職活動。
毎日ベージュのトレンチコートに真っ黒のスーツを着て、毎日説明会やらリクルーター面談やら集団面接やらエントリーシートやら……

働いたことなんかないくせに「私は御社においてこの強みを発揮して〇〇を成し遂げたいです」と言うのにも、もう飽きた。

 

「あーーー、今日も疲れた」
帰宅して早々、ベッドにダイブして一人呟く。
階段下から「もー! コート脱ぎっぱなし! シワ出来るよ!」とお母さんの怒声が聞こえるけれど、今は気にしない。

窮屈なヒールとスーツを脱いでスエットに着替えて、ベッドでくつろぐ。
この時間が至福だ。
寝転びながらツイッターを漁るのも日課となった。

いや、こんなことしている間にエントリーシートの一つや二つを完成させるべきなんだろうけど。
そうしてツイッターを漁っていると、オススメユーザーのあるアカウントが目に留まった。

「……うさ、……お?」

緑の背景に、神妙な顔つきで寝そべるウサギのアイコン。
アカウント名は、usao。

「何なんだ、このウサギは」

最近ラインスタンプでよくある感じのゆるキャラかなあと思い、ツイートを見てみた。
どうやら、うさおと呼ばれるウサギのキャラクターを中心とした、動物キャラの漫画を描く人らしい。

たまに絵日記漫画も含まれている。基本的に四コマか五コマの漫画で、ほのぼのとした雰囲気だ。

 

「へえ〜、ゆるくて可愛い! 」
そうしてツイートを遡るうちに、ある漫画を目にした。

『だれかに』
そう題された漫画は、コアラが自分で「だいじょうぶ」と書いた紙を壁に吊るして、それを見て涙が溢れる……そんな内容だった。
たった、五コマしかなかった。
だけど、何故だろう。

鼻がツーンとなって、気づけば、

 

ぽろぽろ、

ぽろぽろ、

 

とそのコアラと同じように泣いていた。

「え、え」
焦った。一体何なんだ。

何が起こったんだ。

泣けると話題の映画を見たわけではない。
なんなら最近は泣こうと思っても泣けなくなった。
なのに、どうして泣いているのだろう。しかも全然止まってくれない。困ったな。

 

私、自分では気付いていなかったけれど、ずっと『だれかに』『だいじょうぶ』だよって言って欲しかったんだ。
成人式を迎えて、準備が出来ていないまま大人認定をされて、気付いたら就職活動が始まって、社会の波にのまれて、溺れた。
ずっと不安だった。
私の今向いている方向は正しいのか、間違った道に進んでいないか。
「実は怖くて怖くて仕方がないんだ」って、誰かに話を聞いて欲しかった。

 

でも、大人だから。
大人だから、甘えるのはカッコ悪い。
大人だから、弱みを見せるのは恥ずかしい。
大人だから、泣いちゃダメだ。

そう思って、感情に無理矢理フタをして、気づかないフリをしていた。
何も感じてないよ。へっちゃらだよ、って。

でも、大人だって。
大人だって、苦しい時は泣きたくなる。
大人だって、寂しい時は誰かに会いたい。
大人だって、『だいじょうぶだよ』と言って抱き締めてほしい。

うさおは、私たちのそんな弱い部分も認めて、寄り添ってくれる。
欲しかった言葉を掛けてくれる。
溺れる私たちに、手を差し伸べてくれる。

うさおは、就活生の……いや、頑張る大人たちのヒーローだ。

 

一人でも多くの人が、うさおに出会えますように。
うさお、これからもどうぞよろしくね!

 

***

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