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人生はエンターテイメント〜「教養」は更新すべきもの〜《女子大生編集者海鈴のノート》



こんにちは、天狼院スタッフの海鈴でございます。

大学生をしていると、日常の中で、こんな会話が飛び交うことがよくあります。
「俺、センター試験の数学、○○点だったんだよね~(自慢げに)」

と、三年も前の栄光を語りだす人。そういう人に限って、真面目に授業に出席していなかったり、かと思えば、テスト本番でいい点数を取り、ちゃっかり単位をゲットしていきます。そういった戦略も、最低限の時間効率で、最低限の大学生がなすべきこと(=単位の取得)を果たす意味では、賢い戦略なのかもしれませんが。

また、大学の垣根を越えて学生が集まるイベント(たとえば、インターンやセミナーなど)の場において学生同士が交流する際、必要以上に、自分の出身大学の名を強調するものもいます。

「うちの大学、周りに起業する人が多いんだよね~」

「やっぱり、うちの大学って、バカなこと好きだからさ」などなど。

もちろん、自分の希望する大学に入るために、必死に勉強をし、入学試験をくぐり抜け、憧れを現実のものとした事実は、誇るべきものだと思います。

しかし、私は問いたいのです。
その上であなたは、何を叶えたくて、そのために現在何をしていますか?と。

13日の金曜日に天狼院書店で行われたイベント、
『これからは「教養」の時代だ!出版界のスーパーブレイン柳瀬博一さんと一緒にLIVE形式で「最強のリベラルアーツ棚」を創ろう!』

に、私も参加いたしました。業種も年齢もさまざまな30名以上の方々が一堂に会し、「教養とは何か?」というテーマのもと、白熱したLIVEが繰り広げられたのでございます。

印象的だったのが、柳瀬先生のおっしゃった、この言葉。
「教養は、更新しないとダメなんです」

 

大学で、学生運動が盛んに行われていた時代。当時、大学を主席で卒業し、“金時計”を手にすることがステータスであったといいます。以前のような、いい大学に入学すれば大企業に入社でき、将来有望の出世コースに乗ることができるという、いわゆる「学歴社会」は、少子化、大学・学部の新設を経て「大学全入時代」となった現在とは大きく異なった状況にあると、実際に学生をしていて感じることが多々あります。優秀な学生に、大学名など関係ないのです。企業の中には、就職面接を、大学名を伏せておこなっているところも出てきています。もちろん、大学を成績優秀で入学・卒業することは学生の本業なので、非常に素晴らしいことであると思います。

しかし、過去の出来事は、ただその当時成績がそうであった、というだけで、大事なのは、目指すものに対して、今自分がどのレベルのラインに立っているかを把握し、そのギャップを埋めるだけの努力をしているかということ。さらに、大学名だけでその人の能力を計ることができなくなった現在、希望の大学に入学するのがゴールではなく、ではその先に何を目指して、何をするのか?この部分が何よりも大切だと感じるのです。(次年度から大きく変化する、就職活動の体系に関しても、「大学」の部分を「企業」に置き換えれば、同じことが言えると思うのですが。)

時代を常に面白くしてきたのは、“ファーストペンギン”の存在であると、柳瀬先生はおっしゃいます。

実はこのお話、初めて聞いたのは、私が中学生の時でした。当時の国語の教科書に載っておりまして、非常に感銘を受けたのをよく覚えています。(脳科学者・茂木健一郎さんの評論『最初のペンギン』であったと思います。)

南極の氷の上にいる集団のペンギンを思い浮かべてみてください。彼らは、氷上をうろうろするばかりで、なかなか海に飛び込んで行こうとしません。誰か先に飛び込む者がいないか、周りの状況をうかがっています。もし、海の中に外敵がひそんでいれば、自分の命が脅かされる危険性があるからです。しかし、餌である魚を確保するために海に飛び込まなければ、そのうち餓死してしまいます。
そのような牽制状態の中、やはり存在するのです。最初に海に飛び込んで行くペンギンが。
一匹が飛び込むと、他のペンギンたちもそれに追随して、次々と海に飛び込んで行きます。結果として、集団としての新しい可能性が切り拓かれるといいます。

ここで、「教養」とは、世の中の出来事の本質を捉えるのに必要な要素であり、それまでの常識から一歩踏み出して、いつも時代をけん引してきた“ファーストペンギン“という存在になるためには、欠かせないものだと思うのです。

医者になった後、内務大臣として関東大震災後の復興に尽力した、後藤新平にしてもそうです。彼は、医師の見解があったからこそ、人々の暮らしには水道・下水の整備が必要不可欠であると考え、公衆衛生を第一優先とした街づくりを行いました。おかげで、現在、東京は世界有数の大都市へと発展できたといいます。

今や生活の一部となった宅急便のサービスも、ヤマト運輸の創業者・小倉昌男が、独自に編み出したものでした。彼は、それまでの業界の常識であった「小口の荷物を一回ずつ送るのは効率が悪いため、ある程度まとめて送る方が採算が取れる」という考えに疑問を投げかけました。「小口の荷物の方が単価が高いわけだから、それを扱うことでより多くの収入が得れる」と考え、宅急便を始めたところ、消費者のニーズに対応できる便利さが支持され、今では人々の生活に浸透した欠かせないサービスとなっています。

いつでも時代を切り拓いてきたのは、常識にとらわれず、想像力を駆使し、荒波にも負けず海に飛び込んで行ったファーストペンギンたちばかりです。
しかし、ただ闇雲に飛び込めばよいというわけではなく、敵がひそみ、視界が悪い海の中において、いかにして餌を早く見つけるのかという工夫=想像力を働かせることが大事なのだと思います。
天候や海流とともに、海の中の状況も変化していきますから、以前の常識の範囲内で行動してしまうと、現在の状況に対して、その選択はベストではなくなっているかもしれません。
情報や知識があることで、常識にとらわれず、物事の本質に気付くための想像力を働かせることができます。想像力を働かせる材料となるものがいわゆる「教養」なのであり、それは、いくら持っていても、持ちすぎるということはありません。ベストな選択をする上で、選択肢が増えれば増えるほど、可能性は広がるのですから。

3時間にも及ぶLIVEを通して、柳瀬先生の目が、終始キラキラ輝いていたのが印象的でした。

何よりも、本人が楽しんでいる、それがバシバシ伝わってきました。私も、本当に楽しくて、時間が過ぎるのが早く感じてしまいました。
何よりも、大事なのは、根底に「楽しむ」気持ちを持って取り組むことだな、そう思いました。楽しむ気持ちがあることで、より多くの「教養」を得ようという活力になるのです。

柳瀬先生は、「教養はエンターテインメント」とおっしゃいましたが、私は、それに付け加えまして、「人生はエンターテインメント」。これくらいの気持ちを持って、生きていこうと感じました。

柳瀬先生、貴重なお話を、本当にありがとうございました。

 

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