天狼院で過ごした6年の中で一番忘れられない日。《湘南天狼院準備室 スタッフ募集開始》
「山中菜摘」(チーム天狼院)
ここで働いていて、一番印象に残っていることはなんですか
と聞かれたら、私は間違いなくあの日のあの時を思い出します。
2013年に天狼院書店ができてから、おかげさまで今年で7年目を迎えることができました。 私といえば大学生だった2014年の2月頃からここでお世話になっていて、今となっては全国に社員、アルバイト合わせて50名ほどいる中で1番の古参メンバーとなってしまいました。
ここで働いてきた6年の中でこの本屋さんにどんなトピックがあったかと振り返ってみると、
本当に思い出せば思い出すほどに様々なことがわーーーーっとでできて、
自分でも懐かしく、常に濃い時間を過ごしていたのだなと改めて思います。
2013年に東京天狼院オープン
部活形式でのイベントの開催
タイトルをかくして売る「秘本」シリーズがスタート
ライティングゼミの前身ライティングラボが50名満席
雑誌「READING LIFE」の制作、発売
映画の撮影、上映
書籍の編集出版
福岡天狼院のオープン
表参道ヒルズの真裏に天狼院STYLE期間限定オープン
天狼院ROADを使っての全店繋いでのイベントの開催
ゼミ形式でのイベントがスタート
天狼院秘本が30時間で1000冊完売
スタジオ天狼院のオープン
京都天狼院のオープン
大文化祭の開催
福袋の販売
天狼院旅部で里山十帖さん貸切
ライティングゼミの累計ご参加人数が7,000名突破
天狼院トラベルとして旅行業取得
池袋駅前店 オープン
天狼院フォト部メンバーが1,000名突破
Esola池袋店 STYLEforBizオープン
小説家養成ゼミ受講生のの坂上泉さんが松本清張賞受賞
あげればあげるほどに、一つ一つの出来事が濃くて。またそれを塗り替えるように濃くて。
もう、思い出すごとに息切れしてしまいそうでした。
もちろん、これも私の頭の中でパッと思いつくものをあげただけで、まだまだ拾いきれていない様々ない出来事が無限にあるような気がしています。
とにかく常に全力疾走してきた中で
だいぶ無理もしたし、その中で奇跡のようなこともいっぱい起きてきました。
秘本が1000冊、30時間で売り切れてしまったことも。
新たな地に新店舗をオープンできることも。
イベントに全国の皆さんにご参加いただけることも。
壮大なことのようで、でも本当におかげさまの奇跡で。
トピックだけ聞くと本当に凄いことで、でも私たちにとっては毎日をただただ必死に過ごしていただけで。
でも、そんな濃いい出来事たちがあった中で一番に印象に残っているのは
今となってはもう、何年の何月何日かも覚えていない、とても静かな東京天狼院の店番の日でした。
まだその時は、南池袋に東京天狼院が1店舗しかなくて。 畳を床に直接敷いてその上にこたつがあって。入ってすぐ左手に半畳ほどのレジカウンターがあって。黒船と呼ばれる本棚がドーンと出迎える。まだ何も改装もしていない本当に初期の頃でした。
私はまだその時学生で。
天狼院には火曜日と木曜日のお昼から夕方までの時間にアルバイトとして店番をしつつ、
土曜日はフォト部マネージャーとして写真のイベントを運営させてもらっていました。
おかげさまで今となっては多くのメディアでも取り上げていただいてますが、そのころはお店自体の知名度もまだまだで、
シフト時間にやってくる数名のお客様に、こんなところまでわざわざ足を運んでくださってありがとうございます!!とゆっくり接客しつつ。お客様がいない時は、事務作業を終えると今度どんなフォト部のイベントをやろうかと計画しているような時間が多くありました。
その日はいつものようにお客さんが来るか来ないか、どうかなーという昼下がりで、
珍しく店主の三浦が天狼院で作業をしていました。
お店のことはスタッフに任せて外で仕事をしていることが多かったので、
この日はなんだか珍しいなぁと思いながら、集中して仕事をしているその背中を少し気にしつつ、私は私で本の発注か何かをしていたように思います。
「ねぇねぇ、なっちゃん」
集中が切れたのか、ひと段落ついたのか。奥のテーブル席で作業をしていた三浦さんがレジ横のカウンター席に移動して呼びかけてきました。
「なっちゃんはさ、どうなりたい?」
その呼びかけに、急ぎではない作業を止めて、深く考えてしまいました。
とてもざっくりとした質問でしたが、言わんとしていることはとてもよくわかる。
というのも、その頃から天狼院にいるスタッフは皆、何かに没頭して、何かになりたくて、何か夢があってそれを達成するために様々なことに挑戦している人が多かったのです。
女優をやる傍ら、劇団を主催したり。文章を書くことに目覚めて、小説や記事をどんどん書いていたり。
将来という大きな目標でもいいし、いついつにこんなことをしたいという直近のものでもいい。
こうしたい!ああしたい!将来どうなりたい!と良い意味で下心があって、野心があって、
だからこそ、ここにいるのだ! とみんな明確「なにか」があったように思います。
でも、私はその質問にすぐに答えることができませんでした。
突然に聞かれたからとか、考えがまとまらなくてではなくて、ただ単に。
どうなりたい。のイメージが申し訳ないほどに沸かなかったのです。
「さきはさ、文章かくって張り切ってるじゃん。海鈴も何か企画していきたいっていってたし。なっちゃんはあれか、写真?」
写真……、写真なのかな。
でもフォト部の担当をやらせてもらっているけれど、企画と運営を楽しんでばかりで実際のところ、レンズも全然持っていないし。撮影もできていませんでした。
しばらく経ってから、ふっと言葉にできたのは
「笑ってたいです」
という言葉でした。
時間をかけて出すような答えではなかったかもしれません。
でもその時はただそう素直に思ったのです。
近い将来も、遠い未来も笑って過ごしていたい。
そんな漠然とした夢なのか願望なのかを口にしてみたら、そこから頭の中にイメージがふつふつと湧き出でくるようでした。
親しい友人とお世話になっている方と、お客様と、海の見えるカフェでゆっくり話していて、私はエプロンをしてコーヒーを入れている。
ゆっくりした時間が流れてる。
店内には新刊の本の匂いと、コーヒーの匂いが優しくて薫っていて
看板犬がみんなに撫でられるのもお構いなしに、ほかほかと昼寝している。
ふーんと、そんな想像を妄想を三浦さんに簡単に伝えました。
「そうしたら、湘南天狼院だね」
「湘南……!」
こう聞いて、パシッとと何かがはまる感覚がありました。
神奈川県横浜市出身の私にとって、湘南エリアは特別な場所でした。
友人と休日にぷらっと遊びに行くところであり、
母とちょっぴり贅沢なランチを楽しむ場所であり、
自転車を借りて目的もなく1日走り回った場所であり、
毎年浜辺で花火大会を楽しむ場所でした。
一番日常に近い、非日常な場所。
私の想像の中の場所は間違いなく湘南という場所でした。
「いつかできたら、絶対に私が店長やりますから。よろしくお願いしますね」
それだけははっきりと、強い目標を持って言葉にすることができました。
まだ1店舗しかなくて、お客様もなかなか来ない、駅から15分も歩く、
こんな小さな本屋さんで。
他の店舗も、ゼミも何もなかった中で、なぜかそれだけくっきりとイメージできたのか。今でもとてもとても不思議で仕方ありません。
来る、2020年5月1日。
いよいよ天狼院書店「湘南天狼院」がオープンいたします。
過ごす皆さんが笑顔になれるようなお店を目指して。皆様のご来店を心よりお待ちしております。
❏プロフィール
山中菜摘(Natsumi Yamanaka)
神奈川県横浜市生まれ。
天狼院書店 「湘南天狼院」準備室室長。雑誌『READING LIFE』カメラマン。天狼院フォト部マネージャーとして様々なカメラマンに師事。天狼院書店スタッフとして働く傍ら、カメラマンとしても活動中。
メディア露出
雑誌『週刊文春』/雑誌『Hanako』/雑誌『月刊京都』など
WEB:ダイヤモンドオンライン/サントリーWEB/マガジンハウス『&premium web』など
【天狼院書店へのお問い合わせ】
TEL:03-6914-3618
天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら
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