チーム天狼院

波に乗れなくても、進み続けるために。〜何もツラくはなかったけれど、7年目で転職した理由〜《2020年度4月入社スタッフ大募集》


記事:永井聖司(チーム天狼院)
 
「俺たちが若い時はさ〜」

恐らく多くの人は、こんな言葉で始まる話が嫌いだろう。
また始まった。先輩たちの武勇伝か。何度も聞いてるよ。そんなことを考えながら、職場の飲み会などでガマンして話を聞いていることだろう。

 

「俺たちが入社した時は前の年に会社が赤字でさ〜、入社した時も会社全体の雰囲気がすごい暗くてさ、最悪だったよ」

今から3年ほど前、前の会社で入社6年目を迎えていた僕も、とある先輩の話を、『前にも聞いたことあるな』と思いながら聞いていた。
僕は当時、広島に本社を持つ出版と採用コンサルの会社に勤務をしていた。採用部門にあるコールセンターで、課を取りまとめる主任の肩書を持っていた。

「だからさ、仕事もめちゃめちゃ大変だったんだよ。その時の上司はろくに指導してくれないしさ。だから何でも一人でやったんだよね、自分で考えてさ……」

そこから始まる先輩の苦労話は、確かに前にも聞いたことのある話だった。
でも、感じ方が違うことに、僕は気づいた。
苦労話を、どこか羨ましく聞いていたのだ。
 

その先輩は僕よりも3年先輩で、同じ採用部門にある営業として活躍していた。
中四国・九州を飛び回り、一人で数千万クラスの売上を上げていた。お客様に合わせた提案でお客様からの信頼も厚く、先輩・後輩関わらず周囲の空気を大切にし、暗い雰囲気になっていたら明るいギャグや話で、いつも場を盛り上げてくれていた。人間的にも、『こんなに優しい人が世の中にいるのか!』と思うぐらい、優しい人だった。

そんな、尊敬できる先輩の背景にはこんな苦労があったのか、と改めて思ったのだ。
そうした経験があったからこそ、当時の僕からみてもすごい数の仕事をこなし、成果を出している先輩の状態になっているのだと思ったのだ。

 

そして自分自身を振り返り、不安になった。

『僕は、そんな経験をしてきただろうか? 苦労をしてきただろうか?』

傍から見れば確かに大変な時期もあった。そこからなんとかリカバリーして、先輩・上司やお客様からも信頼して頂けるようになった。

でも、先輩と、当時の自分を比べてみても、まるで違うのだ。
3年、時が過ぎた後に、先輩と同じように、もしくは先輩を超えられるぐらいの実力を身につけられているだろうかと想像してみたけれど、まるでそんな未来が思い描けなかったのだ。

それから僕は、機会があれば先輩や上司、取引先の人たちから話を聞くようになった。

「俺の入社当時は今よりもっとめちゃくちゃだったよ、毎晩スナックに営業に行って……」
「マニュアルなんて何もなかったから全部、私の代で作った」
「出社したら社員が全員辞めてたってことがあってさ……」

出るわ出るわ皆が皆、壮絶な苦労をしてきていた。

 

対して僕はどうだったか。
入社して以後、会社が赤字になったことはなかった。
マニュアルもあった。研修制度もあった。
会社のお金で、外部研修にも行かせてもらった。
ミスをしても、誰かに聞けば対処法がわかった。
助けてもらえた。愚痴も不満も聞いてもらえた。
ボーナスもあった。1年間に1度、1週間程度の長期休暇も取れた。行きたいところに一人旅できた。
それでも生活に余裕があった。時間にも余裕があった。心にも余裕があった。

そしていつの間にか、誰からも叱られることがなくなっていた。

テレビや本や、人生の先輩達の話で聞いていたその状態が、やってきたのだった。

ミスをしなくなったわけではない。でも、ミスの対応を含め一人で出来るようになってしまったのだ。

安定している。波風のない日々だった。
ライフジャケットを着て、南国の穏やかな海を漂っているようだった。溺れることもない。快適だ。

 

そして漂いながら、ずっと先にあるいくつもの人影を見ている気分だった。

野獣のような行動力とアイデアで、事業をすすめる社長。
『気遣いの天才』の上司。
強気な営業で、取引先の社長とも対等にやり合う先輩。
いつもは飄々としているのに、仕事に関しては恐ろしいぐらいに細かい先輩。
先輩に対しても臆せずアイデアを次々と出して、自分のやりたいことを成し遂げていく先輩。

苦労や経験という名の、速い海流で隔てられた先に、先輩や上司がいた。そして少しずつ、その一団に後輩たちも混ざろうと、海流の中に飛び込んでいっていた。
時に会社の床で寝る日々を過ごしながらも、雑誌を作り上げていく後輩や、毎日終電生活を続けながらもMVPを穫る後輩。

 

やばい、と確信した。
このまま、この穏やかな海の中を漂っていても、どこにもたどり着くことなんて出来ない。

自分の体を見てみれば、海流を乗り切るための筋肉なんてまるでついてないのだ。
この先、生き残れるはずもない。
経験・体験と言う名の、海流に飛び込まなければいけない。谷底に突き落としてくれる人がいないなら、自分から谷底に突っ込んでいかなければいけない。

 

「今、海の見える本屋って計画が進んでるんですよ!」

天狼院書店店主の三浦社長と会ったのは、そんな時だった。
今から3年前、28歳の時。
海流を乗り切るための筋肉が少しでもつけば、次のキャリアにつながる何かが手に入れば。そんな気持ちで、『人に読まれるような』文章を書けるようになるというライティング・ゼミを受講し始めたのだった。

「今度、『殺し屋のマーケティング』って本が出るんですけどね」
「劇団をやろうと思ってて」
「新しい店舗の話が進んでて」

三浦社長は講義の度に、新しい、これから実現する未来について語っていた。
いつも講義の直前にやってきて、講義中も、ワークショップの間など自分が登場しない部分ではメールを返したり文章を打っていたり、いつもいつでも忙しそうなのに、話をすればいつでも穏やかで、笑顔だった。
憧れていた先輩たちと、重なるところがあるように感じた。

 

『戦力を募集しています』

Facebookや講義の合間などで、三浦社長が言っていた。
言葉通り、戦力が足りないだろうことは、明らかだった。
当時、ライティング・ゼミで提出した課題のフィードバックが返ってくるのは夜中の2時3時が当たり前。ライティング・ゼミの受講生は100人ほどいるはずなのに、メール対応や、現場の対応をしているスタッフはいつも同じ、2〜3人で回しているようだった。

 

飛び込むべき海流は、谷底は、ここかもしれないと思ったのだった。

採用の募集要項に目を通し、履歴書を送った。

 

それから1年半が経った。
選択は、何も間違っていなかった。

ライフジャケットを脱いで飛び込んだ先は、思った通りの、激しい海流だった。
飛び込んですぐ、どっちが上か下か、進行方向がどちらからもわからなくなった。

書店としての業務を行いつつ、ゼミやイベントの運営を行う。
同時に、前職のコールセンターでの経験を生かして、お客様とのメールのやりとりや対応を行った。

「永井さん! ライティングやってたから出来ますよね! 池袋のスポットを紹介する記事を書いてほしいんですけど!」

ようやく進行方向が見えたと思った頃に、仕事という名の新たな波がやってきて、方向が狂わされる。

「永井さん! ライティングのフィードバック担当お願いします!」
「永井さん、アート好きでしたよね? 美術に関するこんな本の紹介いただいたので、イベントやってみませんか?」
「永井くん、演劇やってたんだよね? 今度、演劇・映画・落語に特化した、シアターカフェ天狼院っていうの作るから、そこの店長ね」

海流の中で様々な方向に振り回され、溺れそうになりながらも方向を見極めて、手を動かし続けて、どうにか泳ぐ。

 

その内に、どうにか息ができるようになる。
筋肉がついて、少しずつではあるけれど、望む方向に進んでいることを感じられるようになる。
これまでとは違う、新たな景色が見えるようになる。

そして横を見れば、一緒に必死に泳ぐ、仲間も見える。

前の職場の時に、ずっと遠く、海流の先にいた先輩たちを眺めていたのとは違う。

同じ波に一緒に立ち向かい、もがきながら、みんながみんな、進む方向を考える。誰かが溺れそうになったら、引っ張り上げる。

速い海流の手前にある穏やかな海を、思い出すこともある。
でも、戻りたいとは思わない。
戻ったらもう2度と、この海流に挑もうなんて思わないだろう。

1人で飛び込むには、怖すぎる。
一緒に波に立ち向かい、少しずつ、波を乗り越えた時に、喜びあえる仲間がいるから、やっていける。

 

2020年5月1日、海の見える本屋、湘南天狼院オープン。
2020年6月18日、天狼院カフェSHIBUYAオープン。

また、新たな波がやってくる。
乗りこなそうとは、思わない。
波の中で、やるべきことと進むべき道を考えて、体と、頭を動かす。

 

波は、終わらない。
波に合わせて、自分のやり方で、泳ぎ続けるしか無い。

楽ではないことは、知っている。
それでも、泳ぎ続けたい。

憧れた先輩たちと、同じ領域にはたどり着けないかもしれない。

それでも、僕は泳ぎ続ける。
先輩たちの中に見た『何か』が、この先にあると、確信しているから。

この波の中、一緒に泳ぎ続けてくれる人を、募集します。

□募集要項


募集職級:正社員候補/契約社員/2022年4月入社新卒正社員候補/中途入社/アルバイト
業務内容
①店舗オペレーション・スタッフ
②編集本部候補スタッフ
③経理・総務スタッフ
その他、天狼院書店および運営会社が関わるすべての業務
*編集本部候補スタッフは、基本的には店舗オペレーション・スタッフの中から職能および適正がある方を選抜するが、すでに経験がある中途入社の場合はこの限りではない。
応募資格
・正社員候補/2022年4月入社新卒正社員候補は、4年制大学卒(見込みも含む)以上が望ましい
・業務に支障がないレベルでパソコン等を扱える方
勤務時間:配属部署の規定による
*店舗オペレーション・スタッフは営業時間に応じたシフトによる契約シフト制
待遇:当社規定(グレード制/職級制度)による
*基本給+インセンティブ給(インセンティブ給与は年に2回のボーナスの際に支給)+諸手当
*正社員・契約社員社保完備
*交通費は1回往復500円まで月に20,000円まで支給
*交通機関を使わずに10分以内の距離に住めば、住宅手当支給(正社員・契約社員のみ)
*各職級、昇給あり
*アルバイトは8週間毎に昇給の可能性あり(*昇時給上限:基本時給+250円)
*読書手当あり
試用期間
①正社員になることを前提に契約社員として新たに採用した者については、採用した日から6か月間(契約期間)を実質的な試用期間とする。
②アルバイトの試用期間は3ヶ月とする。
*試用期間は設けない場合がある。
勤務地:全国の天狼院書店および編集を担う者は任意の場

〔店舗オペレーション・スタッフ募集店舗〕
天狼院書店「東京天狼院」(池袋)
天狼院書店「STYLE for Biz」(Esola店/池袋)
シアターカフェ天狼院(WACCA店/池袋)
天狼院書店プレイアトレ土浦店(茨城県土浦市)
天狼院書店「福岡天狼院」(福岡)
天狼院書店「京都天狼院」(京都)
*東京池袋は基本的に全店舗兼務
*正社員は転勤あり
*新店舗立ち上げの担当をしていただく場合もございます

特記事項
面接時および契約時に申告した雇用契約の条件に反する場合は、直ちに試用期間を打ち切り、解雇するものとする。
(例:土日出勤できるとの履歴書への記載、面接時および契約時の申告があったにも関わらず、守られなかった場合)
*店舗オペレーション・スタッフの場合、固定シフトの空きを埋められるかどうかが、採用の大きな判断基準になります。勤務可能な時間帯は、正直に申告してください。または、勤務できない可能性がある曜日、時間帯は勤務できる時間帯として申告しないでください。
*面接を合格し、契約に進んだとしても、契約時と面接時の申告に相違がある場合は、契約を見送ります。

□応募の流れ〔エントリー方式〕


1.「お問い合わせフォーム」にアクセス
・必要事項の記入
・題名:スタッフ募集への応募
・本文:簡単な履歴と希望職級(例:正社員候補/アルバイト)、希望勤務地
上記、記入の上、送信してください。
*数日以内に、担当者から折返し、メールをお送りします。

2.選考書類の送付 *担当者からのメールの返信に「添付」すること
① 履歴書(証明写真添付)のPDF *必ずPDFファイル形式
② 【社員希望者のみ】志望動機2,000字程度(Wordファイル) *PDFファイルでも可※アルバイトスタッフ希望の方に関しては、志望動機のご提出は必要ありません。

*この書類審査を1次選考とし、担当者から「合・否」をメールで通知します。

3.面接(2次選考)
*合格者のみに担当者から「合・否」をメールで通知します。

4.契約
・面接の内容を双方確認し、それに基づき作成した「雇用契約書」に双方署名(または記名)、押印
*新卒正社員候補の場合、正社員への登用自体は2021年3月末までに判断します。

*募集時は、毎回、数多くの応募がございますので、お早めのエントリーをおすすめします。
*定員に達した場合、予告なく、募集を打ち切ります。


募集詳細ページ

【全国の天狼院書店】店舗拡大に伴う新スタッフ大募集《正社員候補/契約社員/中途入社/アルバイト》


【天狼院書店へのお問い合わせ】

TEL:03-6914-3618

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら


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