メディアグランプリ

イケオジ見たさに思い切って行動した先に見えたもの

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:河口真由美(ライティング・ゼミNEO)
 
 
恥ずかしくて誰にも言ったことはなかったけど、イケオジが好きです。
今まで心の中でひっそりと温めていたけど、実は大好きなんです。
誰にも言えなかったのは、私の好きなイケオジは、現実世界ではなく2次元の世界に生きているからです。
 
例えば、漫画やアニメのキャラクターで例えると、
『ONE PIECE』でいえば、ロロノア・ゾロよりも、鷹の目のミホーク。
『呪術廻戦』でいえば、虎杖悠仁よりも七海建人。
『風の谷のナウシカ』でいえば、アスベルよりもユパ様。
 
人間の深みのようなものを漂わせて、いかなるときも冷静に、主人公たちを導き、あくまでもサポートに徹しながらも、心の中には内なる闘志を秘めている。そんなイケオジたちを見ていると、ドキドキして、幸せになれるんです。
 
 
先日、ショッピングモールの本屋さんへ行くと、休日ということもあって、多くのお客さんで賑わっていた。どのカテゴリの本棚にも、誰かしら一人は立ち読みしているような状態だ。
私はアート、デザイン、イラストレーター関連の書籍が置かれている本棚がお気に入りで、いつものように視線をジグザグ泳がせながら、気になるデザイン本を探していた。すると、1冊の本に目が釘付けになった。その本は私の視線をガッチリ掴んで離さない。
 
『オジ』というキーワードと一緒に写っているのは、上半身裸にミリタリージャケットを羽織った兵士風のイケオジで、バキバキの腹筋とマッチョな体で、ただならぬ色気を放っている。そして、憂いのある表情で私を見ている。
 
ゴクリ……。思わず生唾を飲み込んだ。
見たい。見てみたい。兵士のような「戦うイケオジ」なんて、超ドストライクじゃないか。
実写ではなく、イラストというところがたまらない。
 
-いや、まって。そこに手を出すのはヤバイでしょ。漫画でやめときなよ。
 
頭の中のもう一人の私が、私を止めようとする。
 
見るだけ。見るだけならいいでしょ? だって、棚差しじゃなくて、表紙が見える平置きだよ? しかも目線の高さに置くなんて、この書店も推してるってことでしょ?
 
-でも、その本を手にしてる姿を誰かに見られてもいいの?
 
確かに。それはちょっとマズい。イケオジの趣味をさらけ出す勇気はない。
私がどの本を手にするかなんて、誰も見てもいないだろうけど、万が一、万が一にも見られてしまったら。
「うぁ、あのオバさん、引くわ~」なんて思われたら、恥ずかしすぎる!!
 
 
私はグッと我慢して、書店を後にした。
でも、それからずっとあの本のことが気になって仕方がなかった。
学生時代に、同級生の男の子が、週刊誌の袋とじを見たがっていた気持ちがなんとなくわかる気がする。
別に本が欲しいわけじゃない。どんなオジたちが載っているかを、チラっとみたいだけ! チラっとね!
 
 
後日、我慢できずに、平日に再び同じ書店を訪れた。人も少ないから、手に取って立ち読みができそう。そう思ったのに、あの本は、本棚から消え去っていた。平置きから棚差しに変わったんじゃないかと、隅から隅まで探しても見当たない。
誰よ、買ったの! 悔しい! 私も見て見たかったのに。
人間、見れないと思うと、どうしても見たくなるものだ。禁断の手だとはわかっていたが、Amazonで検索することにした。できることなら、したくなかった。
『イケオジ』というワードで検索してみると、検索結果の中から、あのミリタリージャケットのイケオジが私を見つめてきた。と、同時に「おすすめ商品」として、たくさんのオジ系の本がズラリと表示された。
ついにAmazonにオジ好きとして認識されてしまった。きっと、今後もどんどん推してくるだろう。これがあるから、検索はしたくなかったのに。
でも、見てみたいから仕方ない。
 
ポチッ。
 
好奇心には勝てなかった。
 
翌日、ポストに届いた。
さっそく中を開けたら、ミリタリージャケットのあの人がいる! 書店で手に取ることができなかった、あの人が私の手の中にいる!
ワクワクして、中を開いてみた。
 
えっ?
 
パタン! 慌てて本を閉じた。何かの見間違いだろうか?
もう一度、恐る恐る本を開いてみる。
 
ん? ちょっとまて。次のページは違うかもしれない。
パラパラページをめくる。
 
なんだコレは。
 
 
本の中には、予想をはるかに超えたオジたちがいた。
もはや人間ではない悪魔の姿をしたオジや、入浴中のオジ、弁慶風のオジたちが、惜しげもなくその肉体美を披露している。あまりにも刺激が強すぎて、直視できなかった。
 
「前に言ってた、イケオジを買ってみたんだけどさ、ちょっとすごすぎて、見てくれん?」
恥ずかしながら、夫にも見せてみると、彼も仰天してた。そして、彼はあることに気づいた。
「あれ? ちょっと待って。さっきから『イケオジ』って言ってるけど、これ『艶オジ』って書いてるやん!」
「艶(つや)!?」
良く見てみると、確かに「艶オジ塗ってみる?」と書かれていた。書店で手にできなかった悔しさで、内容もよく見ないで購入したら、まさかの『艶オジの塗り絵』だった。
 
結局、私には刺激が強すぎて、それ以上開くことができずに、手放すことになった。期待していた本とは違っていたけれども、不思議と嫌な気分ではない。
自分と同じように2次元のオジに惹かれる人たちが他にもいたということ。
『イケオジ』よりさらに上級者向けの『艶オジ』という世界があったこと。
それをただのイラスト集として売るのではなく、塗り絵として売るという面白い発想を知ったこと。
見てはいけないと思いつつ、恐る恐る見てみる、いつか感じたようなドキドキ感。
どれも新鮮で面白かった。
これらはすべて、買うつもりがなかった本を、思い切って買ってみたからこそ出会えた発見だ。
 
 
気になったら、あれこれ考えずに、まず手を出してみるというのは、ひとつの手かもしれない。それで失敗することはあるかもしれないけど、新しい発見に出会えるチャンスにもなるだろう。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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