デジタル大好き人間がデジタルデトックスをしたら衝撃の結果に
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:野部寛人(ライティング・ゼミ10月コース)
デジタルデトックスとは、一定期間スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器との距離を置いて、ストレスを軽減し、現実世界でのコミュニケーションや、自然とのつながりを感じるようにする行動のことを指す。デジタル大好き人間の僕がまさかデジタルデトックスするとは夢にも思わなかった。
毎朝テレビのニュース番組を見ながら朝ごはんを食べていた学生時代。別にニュース番組が好きなわけではない。その場所にいったことがないのに、東京のイベント情報、今の都内の状況や東京で流行っているお店の放送がなぜか楽しみだったのだ。
特に、番組内で渋谷のスクランブル交差点を背景に映された天気予報の時間は格別だった。今思えば東京が冷え込むとか、そんなのはどうでもよくて、交差点の信号が青になった瞬間に各方面から多くの人々が交差点の中央に一斉に歩き出す風景がとても異様で新鮮だったからかもしれない。
田舎育ちの僕は、信号待ちをしていてもそんなに人とすれ違わないし、多くても4人程なのだ。
「いつか東京にいってみたい」
そんな思いを胸に秘めたこともあり、大学を卒業後、IT業界に入ることになった。
昔からゲームやパソコンが好きで、時間があればデジタルな物を触ることが多かった。自分の思い通りになる感じや、狙った通りにならなかった時どうしたら解決できるのかを考える時間まで好きだった。デジタルが苦手な人から見たら完全にオタクである。
IT業界にいることもあり、その習慣が社会人になっても抜けず、朝起きてから寝る前ギリギリまで、電車の移動中や休憩時間もずっとデジタルに触れている。スマホだけでなく、腕時計まで体調管理ができるデジタル式である。
ある日、趣味で通ってるヨガ教室で、そこの先生から「ヨガ合宿を兼ねてデジタルデトックスやるんだけどくる?」と誘っていただいた。
「デジタルデトックスですか?基本的にずっと触ってるので、不安になりそうです」
「大丈夫だよ。きっと2日くらいでなれるよ。体調も良くなるっていうし。インドで俺が修行していた時はな、本当に何もなくてだな、美味しものもなくて朝ごはんはバナナ一本だったんだぞ……」
やばい。また変なスイッチを押してしまった。
「分かりました。健康の為にやってみます……」
こうしてデジタルデトックスの1週間は始まった。
デジタルデトックス初日。
相変わらず、行きの道中ずっとスマホを触っていた。最寄り駅についてから目的地の合宿場までタクシーで向かった。
合宿場は都会から離れた村の中で、都会のビルより高い山々に囲まれているのにも関わらず、空の青が綺麗に見れるところだった。
パソコンやスマホを持っていることが恥ずかしくなるほど、デジタルが似合わないそんな場所だった。
到着したら、スマホが自分で勝手に触らないように回収される予定だったが、回収されなかった。
理由は簡単である。その場所は基本どこに行っても圏外になるからだ。一度、再起動して再度電波をキャッチしようと心がけるも、一瞬「3G」と表示されるが圏外になった。
「3Gなんて何年振りだろう」
今の世の中では4Gという通信規格が主流にらなっており、さらに最近では、4Gよりも速い速度で通信できる5Gという高速通信が当たり前になりつつある。
「何もできない……」
LINEもメールも何も受信できないし、漫画もNetflixもAmazonプライムも何もできない。
この村では、スマホがただの光る画面になった。割り切って電源を落とし、カバンの中に泣く泣く入れた。
ヨガの合宿ということもあり。朝ごはんの前と夕食の前に1時間半、ヨガをやる生活をおくった。その他の時間は基本的にフリータイムだったこともあり、難しいヨガのポーズをしたり、買ってきた野菜を使って料理をしたり、近くの山にいって散策したりした。
夜寝る時間も22時に寝た。いつも朝2時過ぎに寝る生活から一気に変わり過ぎて、最初は慣れなかったが少しずつ体が対応してきた。
最初の大きな変化は、すぐに寝れるようになったことである。ベッドに入っても1時間以上は目が冴えてしまって寝れないことが続いていたが、3日目を超えたあたりで、布団に入った記憶があるが気がついたら朝になるという現象が起きた。一瞬で寝れる体験ができた。
4日目に起きた変化は、何も受信しないスマホに興味が無くなっていったことである。
あれだけ普段から連絡が来ていないか不安になったり、調べ物をしたい欲求に応じて触らないと気が済まなかった自分がほとんどいなくなっていた。またスマホ以外の時間を過ごしていたことで、ヨガ仲間との幸せな時間を噛み締めることができた。また調べたいことがあっても仲間と知恵を出しあって解決できたし、仲間との会話や関わり合いの時間で人の優しさにも触れることができた。
そして7日の最終日に自分でも驚いた。スマホの電波が入る場所に戻ってきた時に、電源をつけてみたが、あれだけ気になっていたスマホのことへの興味が薄れて、帰り道は仲間との会話を大切にしようとしていた。
必要な場面や、欲しい情報がある時、実現したいことがある時に便利なスマホをはじめとするデジタル機器。
もちろん便利な道具である認識は間違いでないが、今回の経験を通して自分の時間がデジタル機器によって支配させていたことに気がついた。無くても生きていけることも分かった。
これからまた都会での生活で、プライベートでも仕事でもデジタルに触れる機会が多くなるが、適切な距離を測ろうと思う。
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