READING LIFE

その1枚を見るまで、雑誌の編集なんかに関わらないでおこうと心に決めていた。「人生を変える」雑誌『READING LIFE』予約受付開始!《2017年6月17日(土)発売/東京・福岡・京都店舗予約・通販申し込みページ》


記事:永井里枝

そのページを見た瞬間に、「運命」という2文字が頭の中に浮かんだ。
なぜ、私が天狼院という場所で働き始め、なぜ、表現するということをやめられないのか。その答えが、全てここにあると思った。

断言しよう。
私はこの1枚のためだけに、『READING LIFE』という雑誌を買いたいと思った。だからこそ、こんな面倒な「編集」という作業に首を突っ込んでしまったのだと思う。

私が働く天狼院書店という場所は、およそ「書店」というものからは想像できないような様々なことを運営している。ゼミやイベントについて挙げればきりがないし、おそらく今後もどんどん増え続けていくだろう。
働き始めてしばらくは、その魅力的なイベントに目移りするばかりだった。今日は写真のイベントで、次は劇団。自分でも、今働いている場所は本当に書店なのか? と思う日々だった。

年が明けてしばらくすると、三浦がいきなりこんなことを言い出した。
「雑誌やろうよ。『READING LIFE』作ろう!」
ああ、あれか。
面倒なことになった、と瞬間的に思った。
黒々とした表紙で、店のあちこちに置かれている『READING LIFE』創刊号の存在を思い出した。天狼院に入ったばかりにころに読んだが、2年半前に作られたとは思えない、まるで今の天狼院の「予言の書」のようだった。

あれを、また作るのか。
雑誌の編集というものをしたことがない私でも、どれだけその作業が大変なのかは想像に難くない。256ページにも及ぶ創刊号を目の前にして、もう一度これを作ろうというのは、途方もない作業のように思えた。
本屋らしくないことばかり企画している本屋が、本屋らしい「雑誌の編集」をしようとしていることに対して、どうしても前向きな気持ちになれなかった。
できるだけ、関わらないようにしよう。
今回の『READING LIFE 夏号』の企画が動き出した時、そう思ってしまったことをここで懺悔しよう。

もともと天狼院に通い始めたのは、自分の表現の幅を広げたかったのが理由だった。4年ほど前から自分で歌を作り、自分で歌うという活動を細々と続けている中で、もっと「表現する」ということを磨きたいと思い、天狼院と出会ったのだ。

だから、「書きたい」とは思った。
しかし、「編集をやりたい」とは思わなかった。

それが、たった1枚の写真で覆された。

企画会議の日、福岡天狼院の店長をしている川代が、副編集長に名乗りをあげた。ただでさえ人手が足りず、ライターとしての仕事も抱え、時間などいくらあっても足りないはずの彼女が手をあげるなんて、正直やめてくれと思った。
同じ店で働く者として、校了までのしばらく間、仕事のしわ寄せがくるのではないかと思わずにはいられなかった。
でも、彼女は知っていたのだ。
この雑誌がどれほどのクオリティになるのか。明確に、そして鮮明にイメージできていたのだ。

毎週の編集会議に出て、どこのページに何を載せるかが書かれた「台割」と呼ばれるものを目にしても、どんな雑誌になるのか私にはなかなかイメージすることができなかった。正直なところ、校了に向けて、会議が進んでいるのかどうなのか、怪しいと思うこともあった。なぜ、そこまでこの雑誌にこだわるのか、三浦と川代の怨念めいたものすら感じた。

最初の会議から数ヶ月が経ち、「校閲」の段階に入った。誤字脱字や表記の統一などを複数の目でチェックしていく作業である。デザイナーから次々とあがってくるページを印刷し、順番に並べ、一番上にきたそのページを見た瞬間に私は息を飲んだ。
そして、「運命」という2文字が頭の中に浮かんだ。

宇宙で一番美しいであろうこの星の神秘が
シンプルに、この島にすべてある気がしました。

この書き出しで始まる見開きのページには、これまでに私が見たどんな星空よりも美しい写真があった。いや、美しいだけではない。そこに立つ人の視線の先にある「明日」というものを、私もこの目で見てみたいという衝動に駆られた。
その1枚の写真は、飛行機が嫌いで、車が嫌いで、旅というものに魅力を感じていなかった私に「旅に出たい」と思わせるには十分の説得力を備えていた。
そして、ほんの一瞬で、完全に私の心のど真ん中を撃ち抜いた。

表現者としての私が、目指すべき一つの到達点だと思った。
きっと、この写真を撮るまでには、膨大な時間が費やされているのだろう。しかし、見た者の心が動くまで、たったの1秒もかからない。有無を言わせぬ、圧倒的な、それでいて繊細で、ファインダーをのぞいているカメラマンの人柄さえもうかがえるようなその一枚に、表現というものの真髄を見たような気がした。

「私、校閲するわ」
そう川代に告げた。
できるだけ関わらないでおこうと思った雑誌の編集を、やりたいと思った。
雑誌の発売前に、この写真を目にすることができる人間は限られている。編集に関わる私たちだけが、今、その素晴らしさを享受しているのだ。
興奮せずにはいられなかった。
発売までの間この感動をぶつける先は、校閲作業しかないように思えた。
それからは川代と一緒に、三日三晩ほとんど徹夜で作業したので、記憶があやふやである。最初の星空の写真がなければ、きっと、やり抜くことはできなかっただろう。

校了を迎え、発売を待つだけの今、正直に言うともどかしくて仕方がない。
私たちだけが知っているあの写真を、早くお見せしたくて、うずうずしているのである。
そして、非常に残念なことは、数に限りがあるということだ。日本全国の、できるだけ多くの人に見て欲しい。天狼院の店舗もそれほど大きくはないし、通販用に倉庫を借りるわけにもいかない。そんな事情を考慮しても、限定3000部というのは少なすぎるように思えた。

あの写真1枚のためだけに雑誌を買ってもいいと、純粋な消費者として思った。そう思う人は、きっと少なくはない。それなのに、あの星空の写真に引けを取らない記事が、その次のページからも170ページ以上、続くのである。

発売開始まで、約10日。
私たちだけが知っているという優越感に浸れるのも、あと10日。

【雑誌『READING LIFE』予約する際の注意と通信販売について】
いつもありがとうございます。雑誌『READING LIFE』副編集長の川代でございます。
『READING LIFE』は3,000部作りますが、発売日にお渡しできる分の数に限りがございます。確実に手に入れたい方はご予約をおすすめ致します。初回限定特典として、ご予約先着順にて、雑誌『READING LIFE創刊号』(2160円相当)を差し上げます。この創刊号のお渡しは、なくなり次第終了となります。ご了承ください。
また、万が一予約が殺到した場合、予約順でのお渡しとなりますのでご了承くださいませ。

店頭、お電話、メール、下の問い合わせフォーム、Facebookメッセージなど、あらゆる方法で予約受付致します。

 雑誌『READING LIFE2017夏号』2,000円+税
6月17日(土)19時から東京天狼院、福岡天狼院、京都天狼院各店にて発売開始・予約順のお渡し

今回は通信販売も同時に受付開始します。通販での受付も予約受付順の発送となります。PayPalでの決済完了時間が予約受付時間となります。
通信販売の場合、送料・手数料として500円別途頂きますが、その代わりに天狼院書店でご利用頂ける「コーヒーチケット(360円相当)」をおつけしますので、店舗に来る際に、ぜひ、天狼院でご利用頂ければと思います。
通信販売分は、発売日より、予約順に順次発送致します。

《一般先行予約》*雑誌『READING LIFE創刊号』つき
雑誌『READING LIFE2017夏号』2,000円+税





《通販先行予約》*雑誌『READING LIFE創刊号』つき
雑誌『READING LIFE2017夏号』2,000円+税
送料・手数料 500円(*360円相当コーヒーチケットつき)
発売日から予約順の発送





 

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