僕はこれまで83回の月末を乗り越えてきた。《天狼院通信》
天狼院書店店主の三浦でございます。
天狼院には起業ゼミという人気講座があるんですが、そのキックオフで、何度も確認したことがあります。
それは、
「起業は、やめたほうがいいと思います」
ということです。
もちろん、起業ゼミはビジネスでやっているんで、ひとりでも多くの人が来てくれたほうが、天狼院としては儲かります。
しかし、やはり、嘘はつけない。
起業は、やめたほうがいい。
もし、起業しなくて済むのななら、それに越したことはない。
たとえば、僕に子どもがいたとして、
「将来、起業して社長になりたいんだけどさ」
って、相談されたとしたら、全力で反対します。
そもそも、そうならないように、小さいときから、ちゃんと教育しようと思います。
それは、言ってしまえば、子どもが「戦争に行きたい」というのと、ほとんど変わらない意味だからです。
そう、ビジネスとは「銃声なき戦場」であり、起業とは「自ら戦場に赴くこと」に近い。
「激務」を超えて、「酷努」というくらいに働いたとしても、食べていけるとも限らず、頑張ったところで、誰もほめてくれはしない。
ビジネス界でよくこう言われます。
「起業とは、崖から飛び降りながら、飛行機を組み立てるようなものだ」
まさに。
まさに。
これを「まさに」と思えるのは、たぶん、起業をしたことがある人だけでしょう。
どんな優秀な大学を出ようとも、大企業で重役を務めていようとも、この感覚は起業した人にしかわからない。
まずは、「月末」の捉え方が、起業家と会社員の方とでは、180度くらい違う。
会社員の方の多くは、給料を支払われることが多い、「月末」は好ましいものでしょう。
逆に、多くの中小企業の起業家や経営者にとって、「月末」は川中島の戦いです。
生きるか、死ぬかの死闘です。
たとえば、全く同じDNAを持った双子の方がいたとして、片方が起業家として、片方が会社員として過ごし、両者とも生きのびたとすれば、12ヶ月後には、大きな開きが出ることでしょう。
起業家の方は、ある種の野性を帯びて、たくましくなることでしょう。
けれども、会社員の方は、野性を帯びることは難しい。
これは、完全に才能の問題ではなく、意識の問題です。
起業家は、生きるか死ぬかの「月末」を幾度となく経ることによって、否応なく、たくましくなります。サバイバルするための術を体得して行くことになる。
つまり、極めて純度の高い「当事者意識」を身にまとうことになる。
ビジネスの世界に、ほとんどキレイ事や正義は通用しない。
サバンナと一緒で、食うか食われるかで、あまりに残酷かつ明確な弱肉強食の食物連鎖が展開されています。
社員に払う給与がなく、
「頭は下げるためにある」
と、半ば自己暗示をかけて、頭を下げて歩き、生き延びるためのお金を工面し、あるいは、翌月はこうなるまいと、必死で考えるうちに、わずかに、ほんのわずかに、活路が見いだせるようになります。
それを「光」と表現しても、一向に構わないと思います。
未来に対して「行けそうだ」という「感触」のことです。
これは、とても言葉にしづらい感覚であって、戦場をくぐり抜けて「野性」を帯びてくると、この「感覚」がわかるようになる。
真っ暗闇の中、峻険な山岳の、あたかも体育館にあった平均台のように極細い稜線を全力で走るのが起業だとすれば、それは分厚い雲から一瞬だけ差し込んだ月光のようなものです。
このまま全力で走ってもいいんだ、という確信を、あるときに得ることになる。
僕は起業して、まもなく、8年目になります。
今日は、2016年の3月1日。
これまで83回の月末を乗り越えてきたことになる。
幾度となく、稜線を踏み外し、谷底に突き落とされて来ました。
けれども、そのたびに、爪先に血を滲ませながら、必死で岩を掴み、稜線へと這い上がってきました。
そして、ようやく、暗闇がわずかにのぞいた月光によって、微かに稜線が照らさせるのが、うっすらと感じられるようになってきました。
――たとえば、この感覚を、データに落としこむにはどうすればいいかと、今、京都天狼院の出店資金を調達するために、金融機関向けの事業計画書を制作しながら、苦慮しています。
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